DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

プーチンはアメリカ右派の希望の星なのか

2014-02-27 00:12:59 | 太平洋情勢乱雑怪奇

ウクライナ情勢は毎日なんかおかしいけど、とりあえず私はこの結果として、EUが全ウクライナを引き取る、すなわち加盟国にするなんてプランを持っているなんてことはまったく信じていない。

そもそも、去年ウクライナへの資金援助を盛大に行う気がなかったのはEU。で、これは全然悪くなくて、はっきりいえば崩壊したマフィアだらけの国をEUが情熱をこめて救済する必要性は全然ない。

で、結局のところ、損得以上の問題でウクライナを気にかけられる国は地球上でただ一つ、ロシアしかない。そんなことはEUの主要国、とりわけドイツはよく知っているだろうと思う。

(結局、日本を含めた国際社会に請求書をまわそうとするEUは単なる、引き続き、いつものように無責任な恥さらし)

にもかかわらずこうやってへんな事件を起こすのは、ロシアへの恐怖感の裏返しなんだろうと思う。

ではなぜそんなに恐怖するのか? 多分考えられる理由は3つ。まぁ地理的優位性が大きいことから欧州人はデフォで恐れているというのが一つ。

もう一つは、にもかかわらずロシアとドイツの関係は見た目上より悪くなく(オリンピックはまぁ付き合いではないの?)、ロシアと日本の関係も悪くなくなりつつある。つまり、ロシアにとって風が吹いているので、英米の反ロ勢力にとってこれはゆゆしき事態なんだろう(あんたら何者?ではあるんだが)。

もう一つ、ロシアと中東との関係があたかもソ連時代みたいに良好になっていることか。でもそれって別にロシアのせいじゃなくて、欧米の大将たるアメリカの中東、北アフリカ政策が誰の目にも筋が通らず、しかも強くもないことが根本的に問題だからだろう。

しかし、そうは考えられない人々がいるわけで、とりわけアメリカ人は自分たちが強くないことばかり気にしているみたいだが、線の引き方、建て前でも合理的に見えるやり方を失ってることに気がいってないように見えるのが悲しいものがある。

なにせ、いつもなぜだか武装している「反政府組織」なる人たちがいて、その人たちはたとえアルカイダに近かろうとも「善人」で、独裁者だろうがなんだろうがあの血の気の多い地域でそれなりの秩序をもたらしていた人たちが「悪人」という構図を何度も見せられているのだから、いかな一般人といえども、なんかおかしいと思うだろう。

私が根本的に欧米はおかしい(昔もへんだが)と思ったのは、ユーゴ紛争のあたりかな。結果的にコソボの大将たちは善人でもなんでもなかったことがわかったのは何年も経ってからだったが。

さて、そういうわけでアメリカの弱体化というより、アメリカが出張っていくことの正統性さえ揺らいだ状況になっているのが現在なのだが、それは当然のことながらアメリカ国内にも影響してくる。

正しいじゃないか、プーチン:ゲイ問題

アメリカ国内では、一部の人々の間とはいえ、過去数年間持続的に、プーチンは正しいのじゃないかというムード、いや愛着?が見え隠れしている。なによりもまず、Russia and Russians first(ロシアとその国民を第一に)という姿勢が素敵、と。

それだけならマッチョなアメリカ人の話だったがのが、もう一つの導入口があった。それは「へんな左翼めいたアジェンダ」で、とりわけ、ゲイの権利なるものが大統領がオリンピックに出席しない立派な理由にまでなっているあたりで、なにかこう吹っ切れている人が散見できる。

それに対して、ロシアのプーチンはこの件に関して基本的にな反対者。しかし、イスラム世界のそれとは違って、ゲイが悪いというんじゃない、でも奨励するもんでもないだろう、まして子供に、あたりで線を引いている。ロシア人も基本的にヨーロッパ的な価値観を共有しているから、そのあたりの人権的配慮ができないわけでは全然ない。

で、これにさえ反対しているのがアメリカの現政権および左派。そして欧州各国。

この状況に怪しく?反応しているのがアメリカ国内の右派。わけてもパット・ブキャナンで、最近ではプーチンに無茶苦茶好意的になっている。

リベラルのアジェンダといわれる、いわゆる平等とか少数者の権利とかとかの拡大が力を持ちすぎて、それに反対する自由は奪われ、政治的な適性に合致した言論以外口にできなくなっているアメリカを呪っているブキャナンから見れば、プーチンの方こそ保守的な価値の擁護者ではないのかと言う。

ブキャナン氏のこれ関係の記事は何本かあるんだが、昨年末のこのへんがよく事情を表していると思う。
Putin’s Paleoconservative Moment
http://www.theamericanconservative.com/putins-paleoconservative-moment/

正しいじゃないか、プーチン:介入好きなネオコン問題

ここに至るまでにも前史があって、そもそも、アメリカの右派の孤立主義派は、他人の戦争にかまけるのは反対という立場なので、ロシアにちょっかいをかけ続けているアメリカ政府、とりわけネオコングループを疎ましく思っていた。

2004年のオレンジ革命もそうだったが、一つのピークを作ったのは、2008年アメリカのネオコンが後ろに張り付いていたと言われているグルジアがロシア軍に叩きのめされたあたり。彼ら孤立主義者からすれば、マジでアホなことをするやつがいるというのが明らかになった事例ともいえる。しかもロシア相手に。

クリントンとかケリーとかの民主党の人はもうあきらめの対象だろうが、そもそもは仲間だったであろうジョン・マケインなどがここらへんから批判の対象になっている。マケイン氏はロシア嫌いで知られるが、嫌いなら嫌いでいいが、こそこそあちこちで焚き付けるのはやめろ、そんなことでマジで戦争になったらだどうするつもりなんだ、アメリカ人と縁もゆかりもない土地でロシアと戦争する覚悟なんかあるのかボケ、ロシアがロシアのシマを守って何が悪いんだ、アホ、というロジック。(そしてまたまた今回のウクライナの暴動の前に、マケイン氏はウクライナのあの広場で激励を飛ばしていたらしい)

■ いやいやそれでもKGB

で、今日発見した面白い記事は、アメリカン・コンサーバティブという、その名もずばりのアメリカの保守派というグループのウェブ。

The Right’s Putin Problem (右派のプーチン問題)
http://www.theamericanconservative.com/articles/the-rights-putin-problem/

ここでは、上で私が書いたような経緯から、どうも右派の中にプーチンこそ味方なんじゃないかみたいなことを言う人がいて、おそらくブキャナンがその先兵だろう。しかし、そういうことじゃない、プーチンは厳然たるKGB出身の、極右の専制的な人物でどうしたこうした・・・・と、まぁそのあまり本質的に応えられていないことを取り上げていた。一般人に注意を促したいという意図なんだろうと思う。

いやぁ、しかし、逆にこの記事によって一部の範囲とはいえこういう傾向が厳に存在していることが確認されたようで、私としては面白い。そうだと思ってたから。

実際、これはやっぱりアメリカの右派の人たちにじわりじわりと浸透していると思う。なんせ、今のアメリカ左派(概ね民主党+ウォールストリート共和党と言われてる人たち)は、からっきし唯物的というか、無神論的だから。金を稼げばそれでよし、のみならず、移民大歓迎で足らないものは外から持ってくる方式でアメリカ人を育てようという発想がゼロ。さらに、クリスマスの挨拶といわず、季節のお便りといいましょう的な政治的是正にもまいっている。

正しいじゃないか、プーチン:クリスチャン問題

上で紹介した記事のコメント欄に面白い発言があった。

“During the Cold War I was told to hate the Russians for being godless. Now I’m told to hate them for being Christians.”

「冷戦中は無神論だからロシアを嫌うよう言われていた。今、私は彼らがクリスチャンだからという理由で嫌えと言われている」

まさにこれっしょ。アメリカ人の右派の人にとっては、アメリカの現状が呪わしい。それなのに、ロシアでは、ソ連時代を捨てて混乱はあったが変化を遂げている。右派にとってうらやましい方向に。

強いリーダーが、国民のために何が一番いいかを語り、我々の伝統を、クリスチャンとしての伝統を守れる国にしましょう、みたいなことを語る。もれ聞くところでは、プーチンのお母さんはあのソ連時代にもプーチンをひそかに洗礼させたというではないか。いい話だ、みたいな。

さらに、ここには全く触れられていないが、白人ファクターもあると思う。プーチン率いるロシアは正教のクリスチャンであることを恥じることも隠すこともなく、かつ、白人が白人であることを理由に差別される、みたいな話はない。そもそもプーチンが青い目をしたバルト海沿岸によくいそうなスラブ顔の白人おじさんだ(ロシアは別に白人の国ではないのだが、アメリカの白人さんたちの目に現在映るプーチンはそうだ)。

アメリカでは、白人はマジョリティなので白人嫌い、白人を呪うことが大っぴらにOKな風潮の中反撃できない。反撃したら差別主義者になる。そして、結果的に白人は次第に少数者になる運命にさえある。つまり、マジョリティをマジョリティとして守らなかった現状に対する嘆きがここにある。

そういうわけで、今やロシアは、白人クリスチャンの最後の希望みたいになっていると思う。「右派のプーチン問題」はなんら解決されていない。

白人でもクリスチャンでもない私だが、マジョリティの集団的価値を打ち壊してnationをバラバラにしようとする左派的風潮を嫌う点で、私もこの一群の中にいるなとは思う。




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アメリカは左翼なんです | トップ | アメリカの右と左 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

太平洋情勢乱雑怪奇」カテゴリの最新記事