かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

渡辺松男の一首鑑賞『泡宇宙の蛙』25

2017年09月23日 | 短歌一首鑑賞

 ★★「渡辺松男研究」に参加してくださる方を募集しています。
     母胎は「かりん」の鎌倉支部ですが、
     短歌経験の無い方、他の結社の方でもかまいません。
     どうぞお気軽にお越しください。
     場所は鎌倉駅東口2分の「鎌倉生涯学習センター」
     (0467-25-2030)です。
     次回は10月は14日(土)です。


  渡辺松男研究2の3(2017年8月実施)『泡宇宙の蛙』(1999年)
    【四葉鵯】P23
     参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部慧子
     司会と記録:鹿取未放

25 にんげんの時間は背骨のなかにある樅を見上げてわれ息深し

      (レポート)
 生まれ死ぬまでの人間の時間を思えば、個人差もあろうが縦に積み上がるより横に流れるという意識で捉えることが多い。だがここでは、人類として経てきた時間を尾てい骨に残す背骨に思いを致す。その遙かな感覚に「われ息深し」なのだ。(慧子)


      (当日発言)
★樅と縦とどっちも木偏でそれも在るかなと思いました。(慧子)
★文字は似ているけど縦は木偏ではないですね。(鹿取)
★樅の木は縦線の目立つ樹ですよね。(慧子)
★背骨の中に進化してきた歴史が刻まれているんですね。上句は見方によっては理屈っぽいのです
 が、下句は樅の木と〈われ〉が交流し合っていて暖かくて深々としたよい歌だなあと思います。
   (鹿取)
★「われ息深し」に時間が流れていていいと思います。(真帆)