馬場あき子の旅の歌【砂の大地】『飛天の道』(2000年刊)186頁
参加者:H・A、T・S、藤本満須子、T・H、鹿取未放
レポーター:欠席
司会とまとめ:鹿取 未放
◆ レポーター欠席のため、元のレポートはありません。
235 ゴビはいまも苦しむ大地皺深し文明は行き行きてここに止まらず
(意見)(2010年8月)
★「行き行きて」は「伊勢物語」東下りに例がある。歴史的な問題もあるだろう。(藤本)
(まとめ)(2010年8月)
「ゴビ」はモンゴル語で「草がまばらに生え、若干の動物が生息する荒れ地」の意味だそうだ。「皺深し」は「苦しむ」からの連想、あるいは「苦しむ」の縁語だろうが、ゴビ砂漠を皺深しと感覚的表現にしたところが本質を掴んでいる。昔からそうだったけれど、今も変わらず苦しむ大地なのだとの把握が深い。
シルクロードはここゴビを通って営々と東西文明が行き来した。しかし、東西の文明はいつでもここゴビを通り過ぎるだけであった。そして今もゴビは苦しむ大地なのである。不毛の地は人が住むことを許さず、文明がとどまることは不可能だ。「ここに止まらず」という結句の認識が苦い。(鹿取)