Danelectro VS Fender(3)

2009-07-03 20:43:45 | Dano Column
そんなわけで、量産型エレクトリック・ギター、ベースの原型はフェンダーがうまいことやってしまったわけで、あとは材の質を高めたり組込精度を高めてハイエンド化していくか、逆によりローコストにするくらいしかできることはない。ダンエレクトロは後者の典型ということになるだろう。

そんななかでダンエレクトロはニッチ産業的なアプローチをする。変態競争を仕掛けたと言ってもいいかもしれない。そしてフェンダーはこれを受けて立った(ように見える)。

1951年のプレシジョンベースは革命的だった。ウッドベースに比べて持ち運びがしやすいし、大音量を得るのも容易になった。そしてネックにフレットを打ち込んだことで、名前の通り正確な音程を得ることも容易になった。このことはギタリストがベースを弾くことを容易にもしたわけだ。

ギターと同じような感覚でベース演奏が可能になれば、ということでダンエレクトロは1956年に史上初の6弦ベースを出す。現在ではバリトンギターと呼ばれるようになったが、当時はあくまで6弦のベースであり、通常のギターの1オクターヴ下でチューニングするように広告でも明記されていた。もちろん、高音弦をまじえればギター的にも使える。この6弦ベースは主流にはならなかったが、レコーディング等にしばしば使われるようになった。



この、ギターとベースの中間のような6弦ベースをフェンダーも1961年に世に送り出す。これがBass VIである。ビートルズやジャック・ブルースらの使用によって6弦ベースを代表するモデルにはなったが、フェンダーがダンエレクトロに先を越されたといったところ。



ダンエレクトロは4弦ベースにおいてもショートスケールを採用するなど、取り回しが楽で、ギタリストが演奏しやすいモデルを出していったが、1959年にはショートホーンモデルの4弦および6弦ベースを出した。これはギターと全く同じサイズで大胆に15フレットまでしかないネックをつけたものだった。



このショートホーンベースを意識して、ということは実際はなかったと思われるが、フェンダーも15フレットまでしかないベースを1965年に出した。これがBass Vである。このベースは15フレットまでしかなくてもサイズはプレシジョンベースを上回り、高音弦を1本加えた史上初の5弦ベースで、これによってプレシジョンベースの音域をカバーしている。しかし、この奇妙なベースはあまり歓迎されず、現在は半ば忘れられている。



プレシジョンベースやジャズベースといったエレクトリック・ベースの王道のほかにBass VやBass VIといった変り種がラインナップされた背後にダンエレクトロの存在を垣間見るのも面白い。


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