大福 りす の 隠れ家

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みち  ~道~  第156回

2014年12月05日 15時03分58秒 | 小説
『みち』 目次



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『みち』 ~道~  第156回



棚卸しも終わり1ヶ月遅れの琴音の決算業務は前回やっていた事を全てメモに取り 必要書類もコピーをとっていたのでスンナリと事が運んび慌てることなく業務を終えることが出来た。

「はぁ、やっと終わったわ。 あとは帳端がダラダラとあるだけね」 自分で肩を揉んでいる。

「ああ、肩が凝った。 明日からの週末一日中寝てようかしら」 男性社員は皆、残業だが琴音は定時に帰る。 

琴音が一緒に残っていても何の役にも立たないのだ。 それに女性社員が定時に帰るのはずっと慣わしとしてあったと森川から聞いている。 それ故、男性社員がどれだけ忙しくても定時で帰る琴音を誰も責めることはない。

マンションへ帰り着替えをしていると鞄の中で携帯が鳴った。

「更紗さんだわ」 鞄から携帯を取り出し

「もしもし」

「琴音さん? 更紗です」

「お久しぶりです」 更紗とは年末に会ったきりだったのだ。

「お久しぶりー。 もう何年も会ってないみたいだわ」

「4、5ヶ月くらいのものですよ」

「琴音さんと会えなかったから疲れが溜まっちゃってるの。 ね、明日お休みでしょ? 今日、これからいいかしら? ゆっくり出来る?」

「大丈夫です」

「良かった。 今日を外すとまた暫く会えそうに無いみたいだったから」

「お忙しそうなんですね」

「ええ すごく忙しいわ。 私のような仕事が忙しいのは良い事じゃないんだけどね。 それじゃあ、今日は野瀬君が居ないから私がお迎えに行くわね」

「あ、いいですよ。 場所を言ってくださったら私から行きます」

「ふふ、もう近くまで来てるの」

「え? そうなんですか?」

「あ、信号が変わるから 後10分ほどで着くわ。 じゃあね」 携帯が切られた。

「更紗さん、本当に疲れてるのかしら? すごく元気そうなんだけど」 そう思った自分に笑えた。

部屋着から服を着替えてすぐに階下へ降り、マンションの前で待っていると軽自動車に乗った更紗が現れた。 マンションの前に止められた車の窓から琴音が顔を覗かせると車の窓が開き

「久しぶりー! 乗ってー」 すぐに更紗がそう言った。 琴音も車に乗り込み

「お久しぶりです」 シートベルトを締めながらそう言うとアクセルを踏んだ更紗も

「本当にお久しぶり。 もう琴音さんに会えなかったから寂しくって」 

「大袈裟ですよ」

「あら、本当よ。 琴音さんは私のビタミン剤なんだから少なくても月一は会わなくっちゃ」

「もう、更紗さんったら」 車の中は明るい笑い声に包まれた。

「あ、この間行ったお店でいいかしら? 自家栽培のお店」

「はい。 私、あそことても気に入りました」

「そうなの? そう言ってくれると嬉しいわ。 私もこっちに来た時には必ずあそこに行くのよ」

「今日はどんなお野菜があるのかしら。 楽しみですね」 それを聞いた更紗が琴音をチラッと見て

「ふふふ そんな琴音さんが大好きよ」 

「え? ヤダ、恥ずかしい」 掌で顔を隠した。

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