大福 りす の 隠れ家

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みち  ~道~  第140回

2014年10月10日 14時27分25秒 | 小説
『みち』 目次



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『みち』 ~道~  第140回




「営業職なんて好きじゃないけど琴音みたいに人見知りは無いからね」

「それは否定しないけど、どんな感じでやってるの? 文香の年齢でいくと指示を出すほうなの?」

「私の年齢じゃなくて私達のでしょ」

「細かいことはいいじゃない。 まさか? 若い子を使ってるの?」

「うん。 一応、・・・営業長だからね」

「ええ! ウソー! 凄い昇進じゃない」
「まだまだこれからだからどうなるか分からないし 営業長って言っても営業の中だけよ。 プロジェクトの中に入れば一社員みたいなものよ」

「うわ、余裕のセリフじゃない。 手当てとかも付いてお給料も変わったんじゃない?」

「うん。 かなり」

「私の薄給とは雲泥の差なんだろうなぁ」

「お給料もあり難いんだけど でもね、違う世界を見られて楽しいのよ」

「文香の喜ぶ違う世界って、変な事?」

「ちょっと、それどういう意味よ」

「ほら、パワースポットとか何だとかって言うじゃない。 そっち系なの?」

「それだったらもっと嬉しいけど多分ついていけないと思うのね。 でもそうじゃなくて現実世界よ。 超お金持ちとお話したりするのよ。 着ていく服もそうだけど感覚についていくのに大変よ。 って、それも楽しいんだけどね」

「超お金持ちさんとお話しするの? へぇ・・・私には無理だわ。 多分何もついていけないわ」

「お互い平凡家庭で育ったもんね。 ま、だからその分こんな時に夢の世界を見させてもらおうかと思ってね」

「へぇー、大きな会社とかに行くの?」

「それも最初はあるけど最近は自宅へ呼ばれるのよ。 まぁー、何処も豪邸よ」

「玄関にトラの絨毯か何か敷いてある感じ?」

「言ってみればそんなところね。 玄関だけで私の部屋がいくつ入るのかって大きさよ。 見たことも無いシャンデリアだったり外車も何台もあったりさ」

「キャー、それってテレビの世界だけじゃなかったのね」

「そうなのよ。 現実の世界にあったのよ」

「一度でいいからそんな生活してみたいなぁ」

「でしょ、そう思うでしょ。 優雅に犬を片手に抱っこしてさ」

「ドレスなんか着ちゃったりして?」

「琴音も夢が膨らむわねぇ。 でも残念、いくらなんでもドレスまでは着てないわよ」 電話の向こうで笑っている。

「じゃあ、どんなお洋服を着て犬を抱こうかしら? あ、大きい犬を横に連れてもいいかもね」 今度は琴音が受話器を持ちながら笑い出した。

「あ、そう言えば・・・」 琴音の笑い声を耳にしながら文香が話し出した。

「なに? どうしたの?」

「それがね、昨日行ったところが意外だったのよ」

「以外って?」

「うん・・・大抵、何処のお宅も犬を飼ってるんだけど大型だったり小型だったり色々なのよ。 それに有名どころの犬の種類を飼ってて毛艶もいいのよ」

「ま・・・まぁ、そうでしょうね。 お金持ちなんだもん」

「それがね、昨日行ったそこは毛艶はあんまり良くなかったり目が見えない犬だったりを数頭飼ってたのよ。 で、どうしてかなと思ってたら奥様が話してくださったんだけどね、お知り合いにボランティアをされている方がいてその方から引き取っていらっしゃるらしいの」

「え? 目の見えない犬をわざわざ? それって飼うのって大変じゃないの?」

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