『みち』 目次
『みち』 第1回から第130回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。
『みち』リンクページ
『みち』 ~道~ 第139回
季節は寒さを感じるようになってきていた。
この時までに何度も愛宕山を上り、空也滝に出向いていたが
「そろそろ雪が積もりそうね」 山道を登れば上るほど端にチラホラと雪が見える。
「足元が危ないから今年はもうこれが最後ね・・・って、どうしてこんなに何回も登りに来てるのよ。 もう、意味が分からないわ・・・あ、更紗さんの言ってたお陰様? その方が登れって言ってらっしゃるのかしら・・・」 何回も登ったお陰で体力も付き、声をだす余裕ができた。
週末、夕飯を食べ終えた時 家の電話が鳴った。 文香だ。
「久しぶり~。 どうしてる?」
「元気にしてるわよ。 文香こそどうなの?」
「もう毎日仕事でクタクタよ。 琴音のほうは仕事どう?」
「暇を持て余してる」
「わぁー、羨ましい」
「何言ってくれてるのよ、暇を潰すのって結構疲れるわよ」
「それって贅沢な悩みじゃない」
「まぁね、お給料も削られるわけじゃなくて、ちゃんと貰えてるから有難いとは思ってるんだけどね」
「暇ってどれくらい暇なの?」
「一日の仕事をゆっくりやっても半日で終わっちゃうわ」
「えー! そんななの?」
「酷い時には 1時間もあれば終わっちゃうもの」
「それでお給料もらってるって給料ドロボーじゃない」
「何てこと言うのよー。 気にしてるのにぃー」
「あははは、気にしてるんだぁー」
「薄給とは言えやっぱり気になるわよ」
「でもそんなので会社、よくやっていけてるわね」
「儲かってた時の貯金の切りくずしよ」
「へぇー 儲かってた時があったんだ」
「その時は凄かったらしいの。 でも考えたら今の会社に入社してその勢いのままだったら きっと仕事の失敗が多かったと思うわ。 暇だから一つ一つを丁寧に出来て失敗がないんだと思うわ」
「琴音の性格からしたらきっとそうね。 一つの事を何度も見直すもんね」
「そうなのよ。 特に何の慣れも無い職種だけにね。 それよりどうしたの? 何かあって電話してきたの?」
「うううん、特には何も無いんだけど」
「だけどって?」
「うーん、別に不服があるわけじゃないからいいんだけどね。 職場の移動辞令が出たの」
「移動って、いつから移動なの?」
「もう2ヶ月ほど前から移動してるんだけどね」
「えっ? そうなの? 何処に移動なの?」
「営業・・・」
「ええ! 文香が営業? どうしてまたそうなったのよ。 何か大きな失敗でもしたの?」
「失礼ね違うわよ。 失敗なんかしてません! それと逆に買ってもらったって言う感じみたいなのよ。 私も辞令が出る前に話を聞いたときには営業なんて性に合わないから断ろうと思ってたのね。 でも詳しく話を聞くと営業って言っても普通の営業じゃないみたいだったから ちょっとやってみようかなって思ってね」
「普通の営業じゃないって?」
「新しくプロジェクトが出来たのよ。 ま、その内容は言えないんだけどね。 今はまだそのプロジェクトの下準備って言うのかな・・・結構楽しくてやめられないかも」
「へぇー、文香の口から営業が楽しいなんて意外だわ」
『みち』 第1回から第130回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。
『みち』リンクページ
『みち』 ~道~ 第139回
季節は寒さを感じるようになってきていた。
この時までに何度も愛宕山を上り、空也滝に出向いていたが
「そろそろ雪が積もりそうね」 山道を登れば上るほど端にチラホラと雪が見える。
「足元が危ないから今年はもうこれが最後ね・・・って、どうしてこんなに何回も登りに来てるのよ。 もう、意味が分からないわ・・・あ、更紗さんの言ってたお陰様? その方が登れって言ってらっしゃるのかしら・・・」 何回も登ったお陰で体力も付き、声をだす余裕ができた。
週末、夕飯を食べ終えた時 家の電話が鳴った。 文香だ。
「久しぶり~。 どうしてる?」
「元気にしてるわよ。 文香こそどうなの?」
「もう毎日仕事でクタクタよ。 琴音のほうは仕事どう?」
「暇を持て余してる」
「わぁー、羨ましい」
「何言ってくれてるのよ、暇を潰すのって結構疲れるわよ」
「それって贅沢な悩みじゃない」
「まぁね、お給料も削られるわけじゃなくて、ちゃんと貰えてるから有難いとは思ってるんだけどね」
「暇ってどれくらい暇なの?」
「一日の仕事をゆっくりやっても半日で終わっちゃうわ」
「えー! そんななの?」
「酷い時には 1時間もあれば終わっちゃうもの」
「それでお給料もらってるって給料ドロボーじゃない」
「何てこと言うのよー。 気にしてるのにぃー」
「あははは、気にしてるんだぁー」
「薄給とは言えやっぱり気になるわよ」
「でもそんなので会社、よくやっていけてるわね」
「儲かってた時の貯金の切りくずしよ」
「へぇー 儲かってた時があったんだ」
「その時は凄かったらしいの。 でも考えたら今の会社に入社してその勢いのままだったら きっと仕事の失敗が多かったと思うわ。 暇だから一つ一つを丁寧に出来て失敗がないんだと思うわ」
「琴音の性格からしたらきっとそうね。 一つの事を何度も見直すもんね」
「そうなのよ。 特に何の慣れも無い職種だけにね。 それよりどうしたの? 何かあって電話してきたの?」
「うううん、特には何も無いんだけど」
「だけどって?」
「うーん、別に不服があるわけじゃないからいいんだけどね。 職場の移動辞令が出たの」
「移動って、いつから移動なの?」
「もう2ヶ月ほど前から移動してるんだけどね」
「えっ? そうなの? 何処に移動なの?」
「営業・・・」
「ええ! 文香が営業? どうしてまたそうなったのよ。 何か大きな失敗でもしたの?」
「失礼ね違うわよ。 失敗なんかしてません! それと逆に買ってもらったって言う感じみたいなのよ。 私も辞令が出る前に話を聞いたときには営業なんて性に合わないから断ろうと思ってたのね。 でも詳しく話を聞くと営業って言っても普通の営業じゃないみたいだったから ちょっとやってみようかなって思ってね」
「普通の営業じゃないって?」
「新しくプロジェクトが出来たのよ。 ま、その内容は言えないんだけどね。 今はまだそのプロジェクトの下準備って言うのかな・・・結構楽しくてやめられないかも」
「へぇー、文香の口から営業が楽しいなんて意外だわ」