大福 りす の 隠れ家

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みち  ~未知~  第101回

2014年05月20日 15時03分52秒 | 小説
『みち』 目次



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『みち』 ~未知~  第101回



「僕ももう少し若ければ理香に言わずにご両親の所へ行こうとも思うんですけど ご両親と殆ど変わらない歳ですから突然行くなんてことをすると それもちょっとご両親には衝撃かと思いまして・・・理香がちゃんとご両親に話をして、それから僕を紹介してもらえるといいんですけど」

「そうですか。 ・・・ねぇ、理香ちゃんこんな風に言っていただいてどうなの?」 琴音は自分の昔の姿を重ねた。

「絶対両親は反対しますよ」

「うーん どうしようかなぁ。 ・・・あの、桐谷さん」

「何でしょうか?」

「とても失礼な事を言ってしまいますが宜しいですか?」

「はい、何なりと」

「私は今日初めてお逢いしただけで桐谷さんのことを何も知りません」 桐谷が頷く。

「もしかしたら理香ちゃんを騙しているのかもしれません。 理香ちゃんは遊ばれているのかもしれません」

「先輩! そんな事ないです!」

「うん、そうね。 ごめんね。 でもね今日あったばかりの桐谷さんがどういう方なのか私には分からないらないから」 その言葉を聞いた桐谷が理香に言った。

「理香、織倉さんの話を聞かせてもらおうよ」 理香がまた口を尖らせた。

「桐谷さんがどういう性格の方かも私には分かりません。 ですから簡単に理香ちゃんのご両親に紹介するという事に協力はしかねるんです。 分かっていただけますでしょうか?」 桐谷が大きく頷き

「勿論仰るとおりです。 いや、申し訳ない。 私が無理なお願いをしてしまいました。 この歳なのに少し焦ったみたいですね。 お恥ずかしいです」 両方の握り拳を足の上に置き頭を下げた。

「いえ、こちらこそ失礼な事を言って申し訳ありません」

「なにー? 二人だけの大人の世界じゃないですかー。 先輩! 理香も仲間に入れてくださいよー」

「もう、理香ちゃんたら何言ってるの」 琴音のその言葉を聞いて桐谷が

「会社でもこんな風だったんでしょうかね?」 理香を見ながら微笑ましく琴音に聞いた。

「はい、こんな感じですよ。 あまり変わりませんでしたね」 琴音が笑いながらそう返事をするとすかさず理香が

「えー! 先輩なんてこと言うんですかー!」 そして暫く3人で話し、理香とそれに受け答えをする桐谷の様子を見ていた琴音がこう言い出した。

「あのね、理香ちゃん」

「はい、なんですか?」

「本当に桐谷さんと結婚したいの?」

「勿論です」

「桐谷さんと幸せになりたいの?」

「当たり前じゃないですかー」

「だったら桐谷さんの願いを叶えてあげるのも理香ちゃんの幸せにならない?」

「え?」 理香も勿論だが桐谷も思わず琴音を見た。

「私は理香ちゃんに幸せになってもらいたいの」 頭の片隅に和尚の話があることを意識しなかった。

「理香ちゃんはご両親のこと好き?」

「えぇー? そんな事考えた事ないです」

「じゃあ、いつまでも元気でいて欲しい?」

「う・・・ん。 それはそうですね。 ・・・そう言えば、周りの友達の親が入院したとか死んだって聞いたこともあるけど うちはまだ若いですから両親が病気になるとか死ぬとかって考えた事なかったなぁ」

「もし時間があったら小さい頃のアルバムを見てみるといいわよ。 きっと愛情に溢れた写真を撮ってくださっているわよ」 琴音は今までに何度か理香から両親の話を聞いている。 

初めての子供の理香をどれだけ愛しているかを感じていたのだ。

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