『みち』 目次
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『みち』 ~未知~ 第102回
「そういえば小さい頃のアルバムなんて何年見てないかなぁ・・・」
「みんなそんなものでしょうけどね。 ご両親が大切に愛して育ててきた理香ちゃんなのよ。 理香ちゃんの思いを全部ご両親に言ってみたらどう? 理香ちゃんの思いをきっと分かってくださるわよ」
「えー・・・。 確かに可愛がってくれましたよ。 今でもそうです。 でもそれだからこそ、両親の理想とする人と結婚させたいと思っているに違いありませんよ」
「うーん。 それって・・・一度でもそんな風にご両親が仰った事があるの?」
「無くはないです。 テレビなんか見てて理香もこんなお金持ちと結婚出来たらなぁ、とかって言ってますもん」
「それって、やっぱり娘に貧乏をさせたくないって この世の中に生きてればどうしても親としては思っちゃうことだけど 具体的にお金持ち以外は駄目って仰ってるわけじゃないでしょ?」
「それはそうですけど。 でも普通に考えて自分とそんなに変わらない歳の男が娘婿は無理でしょ?」
「普通か・・・普通って何だろうね。 普通ってその人その人で違うんじゃない? 理香ちゃんが言おうとしてる事は確かに分かるわよ。 それって世間一般にそう思うわよね。 でも 世間一般がそう思うから全員がそう思うっていうのは思い込みかもしれないわよ。 それに世間一般が何もかもに当てはまるとは限らないんじゃないかしら。 もしかしたら理香ちゃんのご両親にしたら 年齢より、資産よりどれだけ理香ちゃんを愛して大切にしてくれるかがとっても大切な事で、そう考えるのが普通の親じゃないの? って考えていらっしゃるかもしれないわよ」
「あ・・・」 理香の声が漏れた。
「ね、ご両親にはご両親の考えていらっしゃる普通の価値観をきっと持っていらっしゃるわよ。 それにご両親はこうやってとてもニコニコして幸せそうな理香ちゃんを見るのが一番幸せなことかもしれないわよ。 もし勝手に入籍なんかして理香ちゃんがご両親に後ろめたさを感じていたら、理香ちゃんニコニコできないじゃない? 桐谷さんだけじゃなくて愛して育てて下さったご両親にも幸せになってもらいたくない?」
「そんな風に両親の事なんて考えた事もなかったです」
「ご両親のことを一度考えてみてくれない?」
「そうですね・・・」
「それにね、何も言わないで入籍なんてするのはやっぱり良くないと思うわよ。 みんなに祝ってもらって結婚して二人で堂々と実家に帰って、ってそんな幸せの方がよくない? 紹介するかどうかはまだ置いておいても 色んなことをゆっくり考えた後に桐谷さんの話しだけはしてみれば?」
「はい・・・」
「それで話してみてご両親も会ってくださる事になったら 亀の甲より年の功だからね、ご両親がちゃんと桐谷さんが理香ちゃんを幸せにしてくれる人かどうかを見極めてくださるわよ」
「昇さんは理香を幸せにしてくれる人ですから そこは即、合格ですよ」 それを聞いた桐谷が
「理香」 と恥ずかしげに言った。 その桐谷を見て次に理香を見て一言
「まぁ、それはご馳走様」 空気が和らいだ。 そして
「先輩・・・?」 理香が琴音の顔を覗き込んだ。
「やだ、何?」
「先輩、暫く会っていない間に変わりました?」
「え?」
「今までの先輩からは想像できない言葉が続出なんですけど」
「え? 私何か変なこと言った?」
「先輩の口から 『愛』 なんて初めて聞いたんですけど」
「あ・・・あら、そうだったかしら・・・ヤダ、変なところに耳をすまさないでよ」
理香との話を思い出し
「・・・『愛』 そう言えばそんな言葉、今まで口にしなかったわよね。 大体『愛』 なんて考えもしなかったもの・・・うううん、否定してたもの・・・」 カップにお湯を注ぎ手に持ち 和室に置いてある座椅子に座り込んでテレビを点けた。
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「みんなそんなものでしょうけどね。 ご両親が大切に愛して育ててきた理香ちゃんなのよ。 理香ちゃんの思いを全部ご両親に言ってみたらどう? 理香ちゃんの思いをきっと分かってくださるわよ」
「えー・・・。 確かに可愛がってくれましたよ。 今でもそうです。 でもそれだからこそ、両親の理想とする人と結婚させたいと思っているに違いありませんよ」
「うーん。 それって・・・一度でもそんな風にご両親が仰った事があるの?」
「無くはないです。 テレビなんか見てて理香もこんなお金持ちと結婚出来たらなぁ、とかって言ってますもん」
「それって、やっぱり娘に貧乏をさせたくないって この世の中に生きてればどうしても親としては思っちゃうことだけど 具体的にお金持ち以外は駄目って仰ってるわけじゃないでしょ?」
「それはそうですけど。 でも普通に考えて自分とそんなに変わらない歳の男が娘婿は無理でしょ?」
「普通か・・・普通って何だろうね。 普通ってその人その人で違うんじゃない? 理香ちゃんが言おうとしてる事は確かに分かるわよ。 それって世間一般にそう思うわよね。 でも 世間一般がそう思うから全員がそう思うっていうのは思い込みかもしれないわよ。 それに世間一般が何もかもに当てはまるとは限らないんじゃないかしら。 もしかしたら理香ちゃんのご両親にしたら 年齢より、資産よりどれだけ理香ちゃんを愛して大切にしてくれるかがとっても大切な事で、そう考えるのが普通の親じゃないの? って考えていらっしゃるかもしれないわよ」
「あ・・・」 理香の声が漏れた。
「ね、ご両親にはご両親の考えていらっしゃる普通の価値観をきっと持っていらっしゃるわよ。 それにご両親はこうやってとてもニコニコして幸せそうな理香ちゃんを見るのが一番幸せなことかもしれないわよ。 もし勝手に入籍なんかして理香ちゃんがご両親に後ろめたさを感じていたら、理香ちゃんニコニコできないじゃない? 桐谷さんだけじゃなくて愛して育てて下さったご両親にも幸せになってもらいたくない?」
「そんな風に両親の事なんて考えた事もなかったです」
「ご両親のことを一度考えてみてくれない?」
「そうですね・・・」
「それにね、何も言わないで入籍なんてするのはやっぱり良くないと思うわよ。 みんなに祝ってもらって結婚して二人で堂々と実家に帰って、ってそんな幸せの方がよくない? 紹介するかどうかはまだ置いておいても 色んなことをゆっくり考えた後に桐谷さんの話しだけはしてみれば?」
「はい・・・」
「それで話してみてご両親も会ってくださる事になったら 亀の甲より年の功だからね、ご両親がちゃんと桐谷さんが理香ちゃんを幸せにしてくれる人かどうかを見極めてくださるわよ」
「昇さんは理香を幸せにしてくれる人ですから そこは即、合格ですよ」 それを聞いた桐谷が
「理香」 と恥ずかしげに言った。 その桐谷を見て次に理香を見て一言
「まぁ、それはご馳走様」 空気が和らいだ。 そして
「先輩・・・?」 理香が琴音の顔を覗き込んだ。
「やだ、何?」
「先輩、暫く会っていない間に変わりました?」
「え?」
「今までの先輩からは想像できない言葉が続出なんですけど」
「え? 私何か変なこと言った?」
「先輩の口から 『愛』 なんて初めて聞いたんですけど」
「あ・・・あら、そうだったかしら・・・ヤダ、変なところに耳をすまさないでよ」
理香との話を思い出し
「・・・『愛』 そう言えばそんな言葉、今まで口にしなかったわよね。 大体『愛』 なんて考えもしなかったもの・・・うううん、否定してたもの・・・」 カップにお湯を注ぎ手に持ち 和室に置いてある座椅子に座り込んでテレビを点けた。