大福 りす の 隠れ家

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みち  ~未知~  第107回

2014年06月10日 14時33分35秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第100回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

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『みち』 ~未知~  第107回



いつからか琴音はどこかで視線を感じていた。 不気味な視線。

最初は会社にいるときだけだったが その内、通勤時間にも。 
そしてとうとうその不気味な視線は 朝起きて部屋を出るときから始まった。

「まただわ・・・いったいどこから」 あたりを見渡すがどこにもその姿が見えない。

それは段々とエスカレートしていきマンションに戻れば電話が鳴る。 電話に出ると無言だ。
朝、会社に行こうとドアを開けるとドアノブにプレゼントがかけてあったり ポストを見るといつ写されていたのか琴音の写真が封筒に入れられていた。

「どうして・・・」 怖さや悲しさ色んな気持ちが押し寄せる。

全て双葉がしているということはすぐに分かっていたが 琴音にはどうすることも出来ない。
そしてとうとう琴音は会社を辞めて逃げるように引越しをした。 

新たに就職をした会社では 双葉との事、平塚とのことも勿論あったが 同時に入社以来の虐めの事もあり人を信用するのが怖くなり 必要以上には誰とも話さず一人で黙々と仕事をこなしていた。

2ヶ月経ったとき、勤めていた営業所から本社に移動してくれないか という話が出た。

「織倉さん悪い。 営業所募集で入ってきた織倉さんには本当に悪いんだけど 本社で急に一人辞めたらしいんだ。 それでこっちの営業所から一人回してほしいという事になったんだけど 織倉さん頼めない?」 本社は営業所と比べると前の会社と似た方向になる。

「あの・・・」 返事に困る。

「こう言っちゃあ悪いんだけど 他の子はもう何年もここにいてくれてるから・・・ね」

「・・・はい・・・」 シブシブ返事をしたが 心の中ではまだどうしようかと迷っていた。

「良かったー。 それじゃあ、今の仕事は今日まででいいから、明日から頼むね」

「え? 明日からですか?」

「急で悪いね。 本社がうるさくて。 仕事の続きは他のにさせるから安心していいよ」 迷って考える時間もなかった。 

翌日、仕方なく本社に向かうためマンションを出たが 駅のホームでは自分を言い聞かせている琴音がいた。

「大丈夫よね。 そんなに簡単に逢わないわよね。 同じ場所じゃないんだから」 気持ちを切り替えて電車に乗り込んだ。 

そしてその本社で文香と出合ったのだ。 

人間不信から最初は警戒していた琴音も アッケラカンとしている文香にだけは心を開いて話すことが出来た。 勤めているうちに後輩も出来てくる。 
文香のお陰で溶けだした心は段々と後輩達も可愛がるようになっていた。

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