大福 りす の 隠れ家

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みち  ~未知~  第108回

2014年06月13日 15時05分33秒 | 小説
『みち』 目次



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『みち』 ~未知~  第108回



テレビに映し出された画面を見ているが琴音の目にはただ画像が流れているだけだ。 何も頭に入っていない。 耳においては閉ざされている。

その耳が「はぁー」 と言う自分の溜息に反応した。 それがきっかけとなり頭が蘇ったようだ。

「ああ、ボォッとしてたわ。 ・・・昔の事・・・変なことを思い出しちゃったわ・・・」 大きく深呼吸をして

「それより、和尚様のお話」 リモコンを持ってテレビを消した。

和尚の話を思い出そうと記憶を辿る。

「たしか・・・肉眼で見えないものが見えるって・・・」 考えた。

「あ・・・あれの事?」 そうだよ、あれのこと。 肉眼で見えない色んなものを見たよね、何度も。

「そうよ、どうして私にそんなものが見えたの?」 ま、文字は怖かったかもしれないけど綺麗だったろ? 

「それにあの女性が言ってた守護して下さってる方の声? あれって愛宕山で聞こえたときの声の事?」 金平糖もあっただろう? 琴音が覚えていないだけで他にもあるんだよ。

「あ、それに空也滝で感じた誰か・・・。 もしかしたら守護霊様だったの? っていう事は私の守護霊様は着物を着ているの? あ、違うわ着物じゃなかったんだわ。 ああ 混乱してきたわ」 大きく溜息をついて

「えっと他に何があったかしら」 思い出そうと頭を抱える。

「あ、そうだわ。 チャ・・・なんだったかしら? 第何とかで・・・何とかが閉じてて・・・えっと・・・平均的にって・・・」 思い出せそうに無いかい?

「あ、人間不信が良くないって仰ってたんだわ」 あー、そっちへ行っちゃったか。 まあ、悪いわけではないけどね。 

「確かに人は苦手だけど・・・そういえば文香にもよく言われるわね・・・人間不信がよくないか・・・」 冷めたコーヒーを一口飲んだ。

「そうだわ。 その時がきたらって 『きちんとした師に付きなさい』 って・・・『それが今日の目的』 って・・・。 うーん、何の事かしら? あ、それにチラシを見て来たって言った時、たしか『貴方でしたか』 って仰ったわよね。 それに・・・確かあの女性が火曜日の夕方に予定がキャンセルになったって言ってたけど『貴方と話をする事になった』 とも言ってたわ。 それってどういう事なのかしら・・・」 少し考え、気付いた。

「えっと、待ってよ」 誰も急かしてないよ。

「カウンセラーよね。 カウンセラーが私を見てとっても気になったとか、話しかけなきゃって思ったっていう事は・・・私の顔って悩み顔なのかしら?」 それってどんな顔だい?

「あ! あの日・・・確か生ゴミの日の前日だったわ。 だから火曜日よ、そうだわ。 また前日にゴミを出してるわって思ったのよ。 会社から帰ってちょっと神社まで行って・・・帰ってきたのは夕方だったわ・・・あの女性が言ってたときと同じタイミング?」 鳥肌が立ちそうになった。

「こんな事ばっかり考えてると肩が凝ってきそうだわ」 自分の肩を揉みかけて

「あ、そうだわ肩凝りがなくなったんだったわ。 見ただけで肩凝りってどうして分かったのかしら? 私の顔って肩凝り顔をしてるの?」 またかい? 皺が増えるよ。

「そうだわ、流れを滞らせちゃいけないんだったわ。 もっと気楽にならなくっちゃ。 肩凝りになるのはコリゴリだわ。 考えても分からない事は考えないでおこうっと。 あるがままよね。 それに和尚様も言ってらしたものね、その時がいつか来るんでしょうから 考えても考えなくても一緒よね」 ちょっとは考えておくれよ。

「あ、チラシ・・・」 鞄からチラシを出しよく見てみた。

「うそー・・・。 ちゃんと大きな字で『セミナー、ワーク』 って書いてあるじゃない。 どうして気付かなかったのー?」 気付いたら行かなかっただろう?

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