大福 りす の 隠れ家

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みち  ~道~  第194回

2015年04月17日 14時25分25秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第190回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

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『みち』 ~道~  第194回




風呂に入っていると 瞑った目の前にビジョンが見えた。

(あら? 久しぶりに見えるわ) これは何かと暫く見ていると

(あ、井戸の水を汲み上げるポンプかしら?) するとそのポンプの先から水がジャーと出てきたかと思うと

(あ! お水が漏れてるわ) そのポンプの途中から水がジャージャーと漏れ出したのだ。

(これって私のエネルギーが漏れてるっていうことなの?) 何故かそんな風に思った。 少し考えて

(そんなことあるはず無いわよね。 バカみたい、どうしてそんなことを考えちゃったのかしら。 私の想像力も大した物だわ) だが水はまだ漏れている。

(でも待って。 考えもしなかったことが閃いたっていう事は何かがあるのかしら。 自分を信じてみようかしら・・・) そして思い切って

(私のエネルギーが漏れているという事ですか? それは何処から漏れているのですか?) 誰に向かって、どこかに向って言うでもなくそう聞いてみると目の前からポンプがなくなり黄色がかった黄緑の色が目の前に広がった。

(黄色? 黄緑? どっちなのかしら?) 暫く見ていたがどちらとも分からない。

(黄緑ですか?) さっきと同じように聞いてみた。 すると今度ははっきりとした黄色が見えた。

(黄色だわ。 さっきの色と違う。 という事はさっき見えたのはきっと黄緑よね) そうこう考えていると今度は違う物が見えてきた。

(壁?) あまりに至近距離なのでそれが壁なのかどうかも分からない。

(多分、セメントで出来てるのよね) はっきりとは分からないが質感がセメントに感じる。

(何なのかしら? あ、でもこれ どこかで見たことがあるわ。 何処だったかしら・・・あー、思い出せないわ) すると目の前が真暗になった。 

瞑っていた目を開けて

「どういうことなの? 意味が分からないわ。 誰かと会話が成り立ってたっていうの? ・・・いや、待って。 会話っていったいどういう事よ。 私が心の中で思っただけなのに・・・それに・・・もし会話だったとしてもいったい誰と?」 

風呂から上がり洗面所で髪を拭きながら風呂で見たビジョンを思い返していると

「あ! そうか、そうなのね。 分かったわ!」 気付いたかい?

「第3チャクラは黄色。 第4チャクラがピンク、緑、黄緑だったわ。 きっとここから私のエネルギーが漏れてるっていうことなのね」 ご名答。

「でも、そんなこと考えられるかしら。 それに誰が教えてくれたって言うわけ?」 鏡に写る自分の顔をじっと見た。



とうとう年末。 勿論、年末のボーナスは無い。

「あーあ、年始の親戚の集まりに参加したくないなー」 一人が言うと

「年玉か?」 

「ああ。 どんだけ絞っても一銭も出ないよ」 それを聞いていたもう一人が

「年玉くらいでブツブツ言うなよ。 俺んとこなんて姪の結婚だぜ」

「姪の結婚って、姪ってそんな歳か?」 驚いて二人が同時に聞くと。

「ハモるなよ。 ・・・18」

「18-? 18歳で結婚するのか!? 相手は?」

「学校の先生」

「えー! なんだよそれ」 するともう一人が

「もしかしたら姪っ子の高校の担任とか?」 嬉しそうに聞く。

「ご名答」 ブスッとして答える社員に構わず二人が大笑いをしだした。

「こっちは笑い事じゃないんだよ。 まだまだ先と思ってたのが急に結婚するって言うもんだから・・・それに・・・なぁ・・・」

「もしかしたら出来ちゃった結婚か?」

「そー。 結婚祝いと出産祝い、連ちゃんだよ」 嘆く社員をまた二人が笑った。 その笑いを無視して

「ねー 織倉さーん。 結婚祝い会社から出してもらえませんかー?」

「それはちょっと・・ね」 聞き耳を立てずとも嫌がおうにも聞こえてくる会話。 笑いながら答えると

「お前だけ何言ってんだよ。 織倉さーんうちの年玉もお願いしますよー」 すると全員の後ろから

「なに馬鹿なことを言ってるんだ」 呆れた顔で社長が立っていた。

「うわ! いつからいたんですか?」

「お前が結婚祝いを織倉さんにせびってる時からだよ」 社長の席に歩き出した。

「せびるだなんて。 盗み聞きだなんて社長、性格悪いですよ」

「ここは会社だ。 そんな話をしているほうが悪いだろ」 半分笑っている。 そして

「まぁな、ボーナスが無かったからなぁ。 悪いなぁ。 会長も年末くらい出してやってもいいのに頑として譲らなかったからなぁ」 椅子に座りながら言うと

「退職金大丈夫なんですか?」

「それは任せてくれ。 それより明日は大掃除だけど仕事は片付いてるのか?」

「片付ける仕事がありませんよ」 そう言った社員と社長の目があって

「お前・・・もっと俺を労わってくれよ。 他に優しい言い方があるだろうよ。 あー胃が痛い。 織倉さーん」 ずっと笑いながら聞いていた琴音。

「はい」

「コーヒー下さーい」

「え? 胃が痛い時は止められた方が・・・お薬出しましょうか?」 救急箱があるほうに歩いていこうとすると社長がまた

「薬はいいです。 甘めのコーヒー下さーい」 それを聞いていた一人が

「織倉さん、砂糖抜きで入れてあげてください」 そしてもう一人も

「織倉さん、ミルクも無し。 ブラックで入れてあげるといいんですよ」 後一人は笑い転げている。

「お前ら・・・優しさって言うものが無いのか? 織倉さん、こいつらには毒を盛ったコーヒーを入れて僕には甘めのコーヒーお願いします」 笑いながら「はい」 と返事をすると

「はいって、どういうことですか」 三人が琴音を見た。

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