大福 りす の 隠れ家

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みち  ~道~  第153回

2014年11月25日 14時23分33秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第150回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

  『みち』リンクページ






                                             



『みち』 ~道~  第153回



事務所に居る社員にコーヒーを出したものの応接室に入っていいものかどうか迷い他の社員に聞いた。

「応接室に入っていいんでしょうか?」

「どうしてですか?」

「朝のコーヒー、どうしたらいいのかわからなくて」

「ああ、そうですね。 そうだなぁ・・・どっちがいいかなぁ」 社員が考えている時に応接室のドアが開き

「織倉さん、すみませんがコーヒーを入れてもらえますか?」 社長が顔を出して言った。

「・・・だそうです。 持って行っていいみたいですよ」

「はい」 琴音が社長と社員のコーヒーをお盆に乗せ応接室に入るとそこには重い空気があった。

「まぁ、お前の言ってることも充分わかるけどなぁ」

「申し訳ありません」

「考えは変わらないのか?」

「はい」

「これ以上言ってもお前を責めてしまうだけか・・・」 琴音はコーヒーをそっと置いて応接室を出た。



翌日

「織倉さん、ちょっと応接室に来てくれる?」 社長が琴音を呼び出した。

すぐに応接室に入ると社長がソファーに座り

「織倉さんも座って」 そう促され琴音がソファーに座ると少し間を置いて社長が話し出した。

「昨日ねちょっと色々あって、そこの所はまぁいいんだけど 今日、芹沢が来てないでしょ?」 芹沢というのは昨日社長と応接室にいた社員だ。 ちなみに年末、琴音にボーナスがないか聞いていた社員でもある。

「急な話で悪いけど今日付けで退職という手続きをとって欲しいんだけど・・・」

「あ・・・はい。 今日付けですね」 あまりの急な話に驚いたが、昨日の会話を思い出すと何かあったのかと察した。

「急で悪いね。 退職手続きは初めてだよね」

「森川さんがお辞めになる時に森川さんの退職手続きを一緒にしました」

「そうなの? 知らないのかと思って・・・それじゃあ全部任せていいかな?」

「はい。 退職金の方は規約に基づいてで宜しいでしょうか?」

「うん、そうして下さい。 お金のないときに悪いね。 それとこの話は他の社員と話さないように」

「え? ・・・皆さんご存じないんですか?」

「いや、芹沢が辞める事は全員知ってるよ。 でもちょっと気のいい話じゃないから他の者にもこの話はもうしないように言ってるんだ」

「分かりました」

「じゃあ、頼んだよ。 それだけだからもういいよ」

「はい。 失礼します」 応接室を出ようとしたとき

「あ、ゴメン 織倉さん」

「はい?」

「コーヒーを入れてきてもらえますか? 甘目でお願いします」

「はい」 いつもより甘くコーヒーを入れて応接室に持っていったが、暫くの間 社長は応接室から出てこなかった。

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