大福 りす の 隠れ家

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みち  ~道~  第158回

2014年12月12日 14時46分17秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第150回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

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『みち』 ~道~  第158回



「いいんです。 それよりどうしたらいいんですか?」

「えっとね、和尚に話したら琴音さんのことを覚えていて・・・ま、このことは後で話すけど取りあえず和尚が言うには そんな気配がしたときには毅然とした態度で『来るな、立ち去れ!』 って言う事だって。 琴音さんだったら気配が分かるだろうって」

「ええ? 気配ですか? それにそんな言葉だけでどうにかなるんですか?」

「そうらしいわよ。 話には続きがあって・・・でもねその話よりも先にする話があるの」

「なんですか?」

「うんとね・・・食後に話すわ。 とにかく今は美味しく食事をしたいから楽しい話をしない?」

「そうですね。 せっかくの美味しいお料理が台無しになっちゃいますよね」 その後は野瀬を肴に楽しい会話をしながらの食事だった。

マンゴ-プリンもペロッと食べ終え コーヒーを飲みながら更紗が切り出した。

「さっきの話の続きだけど」

「はい」

「あのね、正道さんなんだけどね」

「え? 和尚じゃなくて正道さんのお話しですか?」

「そうなの。 琴音さんが初めて正道さんに会った時 野瀬君が言っていたのを聞いてたかしら。 今までと方向を変えるって」

「うん・・・と そんなことを聞いたような気はしますけどはっきりと覚えていません」

「正道さんね、ヒーラーって言ってたじゃない? ずっと人間相手にしてきてたのよ。 それを今度は動物を相手にされるらしいの」

「動物ですか?」

「そう。 色んな切っ掛けがあったみたいなんだけどね。 それで今やっている京都はお弟子さんに任せて ほら、年末 琴音さんが実家に帰ったときに会ったでしょ? あそこの地で動物相手に新しく拠点を作るの」

「ああ、そうなんですか。 それであの時見に来られてたんですか?」

「そう。 もう土地も決めて私も見に行かせてもらってたのよ」

「空気も土も新鮮でいい所ですよ」

「都会の喧騒がなくていいところね。 琴音さん良い所で育ったのね」

「ちょっと田舎ですけど」

「あ、また話が逸れちゃったわ。 それでね、正道さんはそこを住まいにしながらヒーリングの仕事ををしていくんだけど まだこれから建物の設計図を立ててだから今すぐの話じゃないのよ。 それでね、あのね・・・琴音さん、正道さんと一緒にやらない?」

「やるって どういう事ですか?」

「正道さんとそのヒーリングの仕事をやっていかない?」

「ええ! 私がですか? 無理ですよ。 何も出来ませんもん。 それに会社もありますし」

「そうなのよね。 まだ入ったばかりの会社なのよね。 そこがネックなのよねー」

「そこがネックって、それ以前に私、そんなヒーリングの『ヒ』 の字も知らないんですから何も出来ませんよ」

「それは心配ないの。 正道さんが教えていくって」

「え? 正道さんが仰ってるんですか?」

「本当は正道さんからちゃんとお願いしたかったらしいんだけど私と正道さんの合う日がなくて。 で、正道さんと琴音さんの二人のシチュエーションより、私とのシチュエーションの方が琴音さんの素直な返事がもらえるでしょ? だから私に任せてもらったの」

「あはは、確かにそうです。 正道さんと二人っきりでお話なんて 私、カチンコチンになっちゃいます」

「でしょ? 正道さんも筋を通す人だからなかなか譲って下さらなかったんだけど 何とか説き伏せたの」

「でも私には無理ですよ。 いくら正道さんが教えてくださるって仰ってもあまりにも知識がなさすぎです。 それにヒーリングって生まれ持っての何か特別の力が無いと駄目なんじゃないんですか?」

「強い弱いの差こそはあってもみんな力は持っているのよ。 ほら、子供のお腹が痛いと母親がお腹をさすってくれるでしょ? すると不思議なことに痛みがなくなるでしょ? それって母親の掌でヒーリングが行われているのよ。 ま、子供の気のせいだとか、医学的には証明できないとかって言われているけどね。 世間の話は置いといて、だから琴音さんも生まれ持っているのよ。 それも凄いのをね」 

「私がですか?」

「正道さんと和尚の太鼓判付よ。 琴音さんが気付いてないだけなのよ。 ねぇ、やってみない?」

「でも会社もありますから」

「とにかく急ぐ話じゃないの。 考えておいてくれない?」

「じゃ、一応っていうことで」

「お願いね。 それじゃあ、和尚の話は今話すとよくなさそうだからまた今度にするわ。 とにかくそんな気配がしたら毅然として追い払うこと! いい?」

「分かりました・・・って、出来るかなぁ・・・」

「琴音さんなら大丈夫よ。 あら? もうこんな時間だわ。 琴音さん眠くない?」

「子供じゃありませんよ。 それより更紗さんの方こそいつも遅くまでお仕事をされているのに大丈夫ですか?」

「言ってるじゃない。 琴音さんといるのが私の元気の元なんだから。 今までの疲れも飛んで新しくエネルギーがチャージできたようなものよ。 さ、明日からまた頑張れるわ」

「ええ? 明日もお仕事があるんですか?」

「明日はタヌキが来るの」 二人で大笑いをした。

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