大福 りす の 隠れ家

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みち  ~道~  第131回

2014年09月09日 14時09分03秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第130回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

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『みち』 ~道~  第131回



会社では歳暮の依頼の季節となってきた。 最近は早く申し込むと割引があるので琴音もそれを利用して早めに申し込む段取りをつけた。 何社かに歳暮を出すが反対に送られてくることもある。

「あ、そういえばお礼状」 前任の森川は手書きで礼状を書いていた。 琴音も森川が辞めてからはそれに習って中元の礼状を手書きで書いていたが、どうもしっくりこなかったのだ。

「森川さんのように達筆ならいいけど 私の字で真っ白のハガキに文字だけなんて面白くも何ともないわ」 そう言ってPCで画像を探し始めた。

「夏はそれなりにイラストがあるけど冬らしいのってそんなにないわねぇ」 色んなイラストを見るが思うものがないようだ。 あちこちを見て最終的に二枚のイラストを組み合わせ礼状の背景にすることを決めた。

「こんなものでいいわね。 この方がもらったら絶対に嬉しいわよね」 PCが役に立っているようだ。 いろんな面でね。

定時になりいざ帰ろうとロッカーに入ると丁度携帯が鳴った。 着メロを聞き

「あ、更紗さんだわ」 鞄の中から携帯を出した。

「もしもし」

「琴音さん? 更紗です。 お仕事終わった?」

「はい。 今丁度終わってロッカーに入ったところです」

「ね、今日あいてる?」

「はい。 何の予定もありません」

「じゃあ、ちょっとお茶しない?」

「いいですね。 更紗さんは時間大丈夫なんですか?」

「うん、キャンセルが出て時間が空いちゃったの。 じゃあ、野瀬君が迎えに行くからお家で待ってて」

「はい、・・・でも あの、くれぐれも」

「分かってるわよ。 軽で迎えに行くわよ」 前回家まで送ってもらった時、あまりにもベンツを横付けしてもらうには抵抗があった琴音はマンションから少し離れた所で降ろしてもらったのだ。

「それじゃあ そうね、1時間くらいで迎えにいけると思うわ」

「はい分かりました」 携帯を切りすぐに自転車でマンションに帰り着替えを始めた。

「野瀬さんが迎えに来てくれるって・・・更紗さんも一緒じゃないのかしら? 野瀬さんと二人っきりの空間? 嫌だなぁー」 人見知りはまだ治っていない様だ。

コーヒーを飲んでいると携帯が鳴った。

「あら? 誰かしら?」 携帯を見ると野瀬からであった。

「もしもし」

「織倉さんですか? 野瀬です。 後10分くらいでお迎えに上がりますが宜しいでしょうか?」

「はい。 あ、この間降ろしてもらったところに行っていればいいでしょうか?」

「場所はこの間お聞きして分かっていますからそのままお部屋でお待ちください。 それじゃあ」 そう言われて携帯を切った琴音だが

「あんな説明で分かるのかしら?」 そうだね、琴音自身が方向音痴だから説明もまともに出来ないからね。 でも大丈夫だよ。 聞いた相手がしっかりしているんだから。

時計を気にして見ていた琴音。

「そろそろ10分になるわね。 せめて下に降りておこうっと」 バッグを持って玄関で靴を履きドアを開けると そこには今正にチャイムを鳴らそうとしていた野瀬が立っていた。

「わ、野瀬さん!」

「え? そんなに驚かないでくださいよ」

「ごめんなさい。 今、下に降りておこうと思ってたから」

「え? 部屋でじっとしててくださいよ。 ちゃんとお迎えに上がると言ったでしょ?」

「はい、そうですけど・・・」

「織倉さんは貧乏性だなぁ」 少し笑って

「更紗さんと偉い違いだ。 行きましょうか?」 二人で階段を降りて行くとそこには軽自動車がおいてあった。

「かわいい。 こういう車の方がほっとします」 

「そうですか? どうぞ」 野瀬が後部座席のドアを開けた。 琴音が乗ると野瀬も車に乗り込みエンジンをかけた。

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