大福 りす の 隠れ家

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みち  ~道~  第130回

2014年09月05日 14時46分35秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第120回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

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『みち』 ~道~  第130回



マンションに帰り夕飯を済ませ座椅子にもたれながら本を読んでいると 窓から気持ちのいい風が入ってくる。 すると本を読みながらウトウトしだした。

意識が遠のきかけた時、玄関でガサガサという音がした。 コンビニ袋をこすり合わせているような音だ。

(え? 誰?) 誰かが部屋に入ってきたと思い慌てて目を開け身体を起こそうとしたが身体が動かない。 金縛りだ。

(ヤダ また金縛り!) どれだけ身体を動かそうとしても全く動かない。 

(いったい誰が入ってきたの!) 玄関には誰もいない。

(手だけでも・・・目だけでも・・・首だけでも) あちこちに力を入れて動かそうとするが全く動かない。

そんな時にまたコンビニ袋をこすり合わせるような音がした。 玄関から段々とこちらに歩いてくるような気配だ。 

(違う・・・人じゃない・・・) そうなってくると恐怖が襲ってくる。 正体の分からない恐怖だ。 琴音の頭の中は恐怖でいっぱいになる。

僅かに足を動かせるような気がした。 

(足が動くかもしれない) 思いっきり力を入れて足を動かしてみた。 僅かに右足が動いた。 その時に足元に掛けていた薄手の膝掛けが右足から滑って落ちる感覚があった。 だがそれ以上は動かせない。 そしてまた少しも動かせなくなってしまった。

その音が段々と近づいてくる。 琴音の恐怖は身体中に広がった。 とうとう琴音の頭の近くまで来た時に

(もう止めてー!) その自分の心の声に瞼を開くことができた。 そして目は見えたものの眼球は動かせない。 

(しっかりしなきゃ、このチャンスを逃すとまた金縛りにあうだけ) 眼球を少しずつ動かした。 すると後から身体の各部分が解けていくのを感じる。 身体はクタクタに疲れている。 脱力状態だ。 重い首を動かしキッチンの方を見るが誰がいるわけでもない。

(そうよね。 誰も居るはずないわよね) そして足元を見ると膝掛けはそのままきれいに足に掛かっているままだ。

(どうして? 絶対に足から落ちたはずよ) 足元を見ながらも疲れた身体がまたウトウトとしてくる。 だがそうなるとまた金縛りにあってしまう。 琴音の金縛りは何度も何度も繰り返してやってくるのだ。

(ダメ、これで寝ちゃったらまた金縛りになっちゃう) 重くなっている身体を無理矢理起こして一度立ち上がった。 そうすることでもう金縛りにはあわない。 それに身体の重みも徐々になくなっていき、頭の中の朦朧としたものもなくなりすっきり覚醒できるのだ。 

身体も軽くなり手足も簡単に動かすことが出来るのを確認してから キッチンの椅子に座った。 このときには恐怖感は完全になくなっている。

「絶対にひざ掛けがズレ落ちたはずなのにどうして足に掛かったままだったの?」

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