大福 りす の 隠れ家

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みち  ~道~  第169回

2015年01月20日 15時09分22秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第160回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

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『みち』 ~道~  第169回



「嬉しいわ。 これで決まりね」 更紗のその言葉を聞いて

「いや、本当に嬉しいですな。 これも更紗さんと野瀬君のお陰です」

「まぁ、私どもは何もしておりませんわよ」

「琴音さんと知り合えたのは更紗さんと野瀬君がいて下さったお陰ですよ」

「今回はそうだったかもしれませんけど 多分、私達が居なくてもどこかで知り合えたと思いますわ」

「どうでしょうかな。 ま、もしも話は分かりませんからな」

「そうですわね。 ・・・でも良かったわ・・・琴音さんがやる気になってくれて」 正道を見ていた目を琴音に移した。 その目は優しく包むような目だ。

そしてそれまでずっと黙っていた野瀬がボソッと

「織倉さんがそんな風に考えていたなんて全然知りませんでしたよ」 琴音を見ていた更紗が野瀬を横目で見た。

「だって、野瀬君と琴音さんって縄文時代の話しかしてないんでしょ?」

「それはそうですけど・・・そう言えば織倉さんが何を考えているかとかって話したことなかったなぁ」

「私自身もずっと忘れていましたから。 今、正道さんのお話を聞かせて頂いて思い出したくらいです。 それに野瀬さんと居る時はいつも私が読んだ本の話ばかり喋ってましたから」

「ほぅー、琴音さんは読書が趣味なんですか?」

「趣味というほどではありませんが何か気になる事があればすぐ本を読んでしまっています」

「そうですか。 縄文時代という事は野瀬君も琴音さんも歴史が好きなんですか?」

「そうなんですのよ。 二人揃って縄文時代の話をよくしているらしいんですの」

「縄文時代ですか・・・」

「あら、正道さんまで縄文時代のお話をなさらないで下さいね」

「イヤイヤ、私には何の知識もありませんから話したくても話せませんよ。 ただ、ご先祖様を知ろうとするのは宜しいことですな」

「え? ご先祖様ですか?」 思いもよらない言葉に琴音が反応した。

「ずっとずっと遡っていくとそこにはご先祖様がいらっしゃる。 ご先祖様を知ってどうにかなるものではありませんが 人に知ってもらうという事は誰もが嬉しいことですからな」 それを聞いた琴音が

「更紗さん、確か和尚もそんなお話をされていましたよね。 『人間誰しも人に見て欲しいんです』 って。 それと同じことですよね」

「そういえばそう仰っていたわね。 そうよね。 肉体があってもなくても人に知ってもらうのは嬉しいことなのかもしれないわね」 

「和尚がそんなことを言われておりましたか」 正道の言葉に琴音が

「え? 正道さんと和尚はお知り合いなんですか?」

「何度かお会いしたことがありますよ。 毎回更紗さんも一緒でしたな」

「そうでしたわね。 でももう長く会ってらっしゃいませんよね」

「そうですな。 久しぶりにお逢いしたいもんですな」

「あ、そうだわ。 和尚で思い出したわ。 忘れる所だったわ」 全員が更紗を見た。

「あのね、琴音さん。 この前会った時に和尚から聞いていた話をまた今度するって言ってたじゃない? 覚えてる?」

「はい」

「和尚に琴音さんのことを話すと覚えてらっしゃって 最初は祓い方を教える必要は無いんだけどって仰ったのよ」

「どういうことですか?」

「でしょ? 私もそれを聞いたのよ。 するとなんて仰ったと思う?」

「うーん、分かりません」

「琴音さんには近く師がつくからその方が教えてくださるでしょうって仰ったのよ。 ただ、その師を選ぶかどうかは琴音さん次第だけどって」

「え!?」 目を丸くした琴音。

「ふふふ。 正道さんのことよ」

「あら、私ですか?」 話を聞いていた正道が驚いて聞いた。

「そうですわよ。 琴音さんのことをお願いいたしますわよ」

「こりゃ、大役ですな」

「そう言えば・・・和尚の所に行った時 『その時がきたらきちんとした師に付きなさい』 って言われていました」

「まぁ、さすがは和尚だわ」

「和尚は何もかもお見通しだったというわけですな。 こりゃ、参りましたなぁ」

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