大福 りす の 隠れ家

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みち  ~道~  第149回

2014年11月11日 14時48分05秒 | 小説
『みち』 目次



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『みち』 ~道~  第149回




「そう。 正道さんが帰られてから正道さんをどう感じた? って聞いたら柔らかいとか細かいとか温かいものを感じたって言ったじゃない?」

「はい。 確かに言いました」 その言葉に何があるのかが分からない。

「それが正道さんの波動なのよ」 それを聞いた正道が

「ほほぅ、そんな風に感じ取ってくださったんですか?」 その言葉を聞き、まるで琴音を自慢するかのように正道を見て更紗が言葉を続けた。

「そうなんです。 琴音さんってなかなかのものなんですよ」 そう言った時、更紗の携帯が鳴った。

「あ、ちょっとごめんなさい」 携帯を見ると

「あら、笑っちゃう野瀬君だわ。 噂をすれば何とやらだわ」 琴音のほうを見て言った。

「もしもし、野瀬君? うん、うん。 ・・・そう、分かったわ、ご苦労様。 でも今日は早く終わりなさいって言ってたのにまだやってたの? ・・・え? そうなの? そんな話聞いてないわよ」 琴音の顔を見た。

「聞いてないってどういう事ですか?」 電話の向こうの野瀬の声だ。

「だって今、琴音さんと一緒だもの」 キョトンとしている琴音にウインクをした。

「え? 今日は正道さんと出かけてるんじゃないんですか?」 野瀬が話を続ける。

「正道さんと琴音さん、今三人一緒なの」

「うわ! 信じられない。 僕だけ仲間はずれですか!?」

「何 子供みたいなことを言ってるのよ」

「納得いかないなぁ。 帰ったらちゃんと説明してくださいよ」

「分かったわよ、じゃあ切るわよ」 携帯を切りながら正道の方を見て

「すみません」 そして琴音を見て

「野瀬君が琴音さんの携帯に伝言を残しているそうよ」 

「え? そうなんですか?」 慌てて鞄から携帯を出して見てみると

「あ! さっき見た時は全然気付かなかったわ。 急ぎの用だったって仰ってました?」

「縄文話をしたかったみたいよ」 それを聞いた琴音は

「じゃあ、伝言は後で聞きます」 携帯を閉じた。

「私から琴音さんが気付いてなかったって言っておくし、今の電話で状況も分かっただろうから返事はしなくていいわよ」 二人の会話を聞いていた正道が

「野瀬君も忙しそうですねぇ」

「よく働いてくれますわ。 休みなさいって言うのに年末も年始もないんじゃないかしら」

「ちょっと強制的にでもお休みをあげないと身体を壊しますよ」

「そうなんです。 それが気になって私がどれだけ休みなさいって言ってもどうもじっとしていられないみたいなんです。 でも今日は琴音さんに会おうと思っていたみたいですよ。 それが琴音さんと連絡が取れなかったからこの時間まで働いていたみたいよ」 正道の方を見ていた目が琴音に移った。

「悪いことをしちゃいましたね」

「いいのよ。 ちゃんと事前に連絡を取らなかった野瀬君が悪いんだから」

「やっぱり野瀬君もなかなか見る目がありますな」

「ええ。 野瀬君も私も忙しくなると琴音さんに会いたくなるんです」

「分かりますなぁ。 琴音さんは人を癒せる人ですな」

「ええ? そんなことないです」 否定をする琴音に更紗が説き伏せるように

「そうなのよ。 だから私も野瀬君もどれだけ忙しくて疲れていても琴音さんに会ったあとはまた仕事に戻れるのよ」

「恥ずかしい」 顔を赤くして下を向いた。

「わははは コロコロと色んな表情が出て見ていて飽きませんな。 お、もうこんな時間になってしまって、更紗さんそろそろ出ましょうか帰りが遅くなってしまう」

「あら本当。 でも今日は良かったわ正道さんに琴音さんを会わせられて」

「いや、本当にそうですな。 琴音さん今日はお付き合い下さって有難うございました」 深々と頭を下げた。

「いえ、こちらこそ有難うございました」 琴音も思わず頭を下げた。

「これからご実家へ帰られるんですね」

「はい」

「親孝行ですなぁ」

「とんでもないです。 一緒に暮らせばいいのに離れて暮らしている親不孝者です」

「色々あるわよね。 それじゃあ出ましょうか」 更紗が立ち上がり先を歩いた。

駐車場へ向かうと正道と更紗を見送り琴音も車に乗り込んだ。

「あ、電話をしておこう」 実家に電話を入れた。

「あ、お父さん? 今からそっちへ向かうから。 30分ほどで着くと思うわ」 携帯を切り

「あら? そう言えばどうして正道さんと更紗さんがここに居らしたのかしら? ・・・ま、いいか」 エンジンをかけ車を走らせた。

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