大福 りす の 隠れ家

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みち  ~未知~  第104回

2014年05月30日 15時14分09秒 | 小説
『みち』 目次



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『みち』 ~未知~  第104回



「まだ腑に落ちない?」

「いえ、そういうわけではありませんけど」

「それって他の女子社員の事かな?」

「・・・」

「彼女に逆らったらどんな目にあうかみんな知ってるんだよ。 例えば君のようにね。 今までも何人か虐めてきていたからね。 みんな泣いて辞めていったよ。 だから彼女のすること、言う事に逆らわない」

「辞めた人がいたなんてそんな事があったんですか・・・」

「そうだよ。 何かでクサクサしたら誰かをターゲットにして虐めてたんだよ。 君のように半年もった子はいなかったよ」

「あの、教えてくださって有難うございます。 どうしてあんな事になったのか分からなかった事がスッキリしました」

「泣き顔は無かったけどずっと暗い顔だったからね。 これで元気になれるかな?」

「はい」 

「おっ、いい笑顔。 じゃあ、仕事頑張ってね」

「あの」

「なに?」

「すみません。 どこの部署の方でしょうか?」

「え? 知らないの?」

「すみません」

「僕はこんなにハンサムなんだから覚えてもらっていると思ってたのになぁ」

「え?」

「あははは、冗談だよ。 本気に取られたらこっちが困っちゃうよ」 その時

「こら、何をやってるんだ。 仕事中にナンパか」 

「あ、違いますよ。 織倉さんを元気付けてただけですよ」

「え? 君が織倉さんなの?」

「・・・はい」

「大変だったね。 よく我慢できたね」 優しい目で琴音を見つめた。

「そんな事は・・・」 今まで我慢してきた涙が一気に溢れた。

「わ、課長 女の子を泣かしたー」

「うるさい! ごめん織倉さん。 その・・・泣かす気があったわけじゃ・・・」 張りつめていた糸が一気に緩んで言葉にならなく涙が止まらない。

「今日の仕事はもう終わろう。 ね、机を片付けて。 えっと・・・そうだ、ご飯に行こう。 おい、双葉お前も付き合えよ」

「うわぉ! ラッキー、行きますよ勿論。 織倉さん早く片付けよう」 双葉が琴音の机の物を適当に引き出しの中に入れよとしたとき

「有難うございます」 そういいながら琴音が自分で片付けだした。

「じゃあ、僕達も片付けてくるから。 そうだな、着替えの時間を考えて・・・20分後にロッカーの前に立ってて。 この双葉を迎えに行かせるから」 机を片付け、着替えを済ませロッカーのドアを開けるとそこにはもう双葉が立っていた。

「あ、すみません待たせましたか?」

「そんなことないよ」

「本当にこのまま甘えて連れて行って頂いていいんでしょうか?」

「平気、平気。 あの平塚課長って結構面倒見がいいんだよ。 行こう」 琴音が双葉の斜め後ろを歩いていると双葉が振り返り

「織倉さん?」

「はい?」

「横を歩いてもらえない?」 親指を立てて自分の横を指差した。

「はい」 小走りに双葉の横に付いた。 その様子を見て

「織倉さんっていいね」

「え?」

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