クロアチアの風  ~茶猫の旅カフェ~

アドリア海の国クロアチアと旧ユーゴの風景をお届けします。旅行情報、写真をお楽しみ下さい。番外編では世界の猫も登場!

総督邸のレリーフ

2010-02-28 17:07:19 | ドブロヴニク
 
 総督邸エントランスを飾るアーチには
 美しい柱頭レリーフが彫り込まれている。
 かわいらしい天使が手に持っている綱のようなものは
 ガーランドと呼ばれる花輪。
 ローマ彫刻のモチーフとして使われてきたものだ。


 
 こちららのレリーフは市民生活を描いたものらしい。
 自信たっぷりのひげの老人は薬屋か?
 蒸留器を焚き付けて抽出しているのは薬か?
 彼の棚の上には壷や器などが置かれている。
 脇に立つ二人は、値をつりあげてをなかな売ってくれないひげの老人を指差し
 「あのケチオヤジが」と影口をたたく市民のようにも見える。

 こんなたわいもない空想をめぐらせながら、この街を歩くのも楽しい。
 

総督邸の影に~ドブロヴニクの歴史を少しだけ

2010-02-28 14:56:52 | ドブロヴニク
 
 春から夏のシーズンに観光客でごった返している旧市街の中心も
 冬はひっそりと人影も少ない。

 アドリア海は冬が雨期にあたる。
 すっきりしない曇天が続き、
 ブーラという台風級の強い北風が吹きつけ、海も荒れることが多い。
 ヴェネチアの船もこのブーラを怖れて冬は航海を控えたという。
 冬のドブロヴニクは観光客も少なく
 夏とはまったく違う表情を見せてくれる。

 写真の左はドブロヴニクの旧総督邸。
 今日は、右の大聖堂と並び、ドブロヴニクで最も重要な歴史的建造物、
 旧総督邸を紹介してみたい。

 総督邸はドブロヴニク共和国時代に、総督がここで住み込みで勤務したところだ。
 現在、かつての総督の執務室、勤務机や家具、寝泊まりした部屋やベット、
 会議場、ボールルームなどが公開され
 そう多くはないが、各国の特使からのプレゼントなども展示されている。

 共和国時代のドブロヴニクは、貴族から選ばれた議員たちが共和制で政治を行ってきた。
 もともと総督はいなかったが、14世紀から置くようになった。
 任期は1ヶ月の名誉職でしかなかった。

 なぜ国のトップの総督の任期がたった1ヶ月、しかも無給だったのだろうか。
 その問いには「専制政治を防ぐため」という決まりきった答えが用意されている。
 だが実際にそんな単純な理由だけのことだったのだろうか。

 総督が置かれた頃のドブログニクの歴史を少し紐といてみよう。

 ドブロヴニクは長きにわたり独立国家だったといわれる。
 しかしその実像は、「独立」ということばから私たちの重い描くような
 英雄的で果敢な面だけを持っていたわけではない。
 
 バルカンの政治地図のまっただ中に位置し、常に侵略の危機と隣り合わせだった宿命。
 ろくな軍備も持たないこの小国に、ヴェネチアやオスマンなどと正面きって向かいあう力など
 はじめから最後までありはしなかった。
 それを自覚していたラグーサの市民たちは
 「頭」と「金」を使って独立を守る道を選択した。

 ビザンチン、ヴェネチア、ハンガリー、オスマントルコ‥‥
 いつの時代にも、ドブロヴニクは周辺の強国への朝貢を欠かさず行い続けた。
 ドブロヴニク市民は名目上の君主に首を垂れながら、名より実をとる海の民の街であり続けた。
 強国を保護国としてまつり、つまり安全保障を約束させながら
 一時たりとも彼らを信頼する事はなく、
 その逆に、稼いだ金を城壁の増強、補強、整備に湯水のごとく注ぎ込み、
 まさにそれら保護国からこの小国の自治と独立と誇りを守り抜いた。
 他国の軍隊も総督も置く事はなく、外交を牛耳られることもなく
 一度も王が存在したこともなく、
 常に貴族たちから選ばれた議員による協議で国の方針を決めてきた。

 ヨーロッパの多くの共和国の地図が王政、帝政に再編成され、塗り替えられていく時代のうねりの中で
 ドブロヴニクは、時代遅れなまでに、その後も一貫して共和制を貫いた。
 これに一番近い政治形態をとっていた国は、やはりヴェネチア共和国ではなかっただろうか。

 総督のおかれた時代に話をに戻そう。
 14世紀半ば、ラヨシュ1世のもとでハンガリーが力をのばし、
 ダルマチア北部、中部の海岸上の拠点都市をヴェネチアから一時的に奪い取った。
 このチャンスをドブロヴニクは逃さなかった
 ヴェネチアからハンガリーに保護国を代えた。
 より実質的な脅威であったヴェネチアの影響を避けようとしたのだ。

 しかしハンガリーが自国の総督をドブロヴニクに送ろうとしたとき
 ドブロヴニクは断固としてそれを拒否し
 逆に自分たちの国から総督を選ぶことを提案した。
 それはハンガリーの申し出を体よく断る口実、自国の独立を守るための方便であった。
 このようなハンガリーとの政治的な駆け引きの中で
 ドブロヴニクは共和制国家にとって全く必要のなかった総督を頭にすえることに決めた。
 ドブロヴニクには専制政治を防ぐ必要など、最初からなかったのだ。
 そのシステムはすでに国にできていたのだから。
 
 給料を払われる事のない総督は、任期の1ヶ月間は妻子からも市民からも隔離され、
 この屋敷に寝起きし、城門の鍵を守り、
 議会できめた事項にサインし、賓客を迎えた。
 交代で形式的な実務に専念し続けた。

 ハンガリーからオスマントルコに宗主国を鞍替えした後も
 ドブロヴニクは決してどの国からも支配されることなく、
 新大陸発見後、縮小の一途をたどる地中海交易の中で
 アドリア海の光の中に溶けてゆく一粒の塩のかけらのように、
 この小さな共和国の独立を1807年まで守り抜いた。
 
 総督邸の見学コースの終わりに、最後の総督の肖像画が飾られている。
 彼がナポレオン軍に城門の鍵を渡した時、この国の独立の歴史は幕を閉じた。
 それは同時に新しい歴史の試練の扉が開いた瞬間でもあった。

 アドリア海に朝の光がそそぎはじめるころ、
 漁船が港に音をたてて戻り、桟橋に綱を投げる。
 城壁の外から来る野菜売りが荷車をひいて城内へ向かう。
 裏通りからパンの焼ける甘い匂いが漂ってくる。
 今、そのまどろみの中にいる街は
 自らの宿命と戦い続けてきた剣を持たぬ戦士達の街でもあった。
 

スポンザ宮殿の巨大イースターエッグ

2010-02-26 00:52:47 | ドブロヴニク
 
 ドブロヴニクの旧市街にあるスポンザ宮殿は、
 ベネチアンゴシック風の建物に
 美しいルネサンス様式の柱廊がたされた趣きのある建造物。

 中世ドブロヴニクが海洋国家として繁栄していた時代、
 ここは税関として使われていた。

 昨年の4月に訪れた時、
 このアーチの上に、巨大な卵がのっかっていたよ。
 最初は??と思ったけど、
 カラフルなイースターエッグだとわかった。
 卵には、クロアチア各地の美しい景色が
 伝統的なナイーブアートを思わせる繊細で豊かな色彩を使って描かれていた。

 イースターエッグは、復活祭に寄せて
 キリストの復活と、春の新しい命の誕生を象徴するものだという。
 食べるだけでなく、幸せの願いを込めて、ペイントしたゆで卵を人に贈ったりするそうだ。
 茶猫もイースターのミサを訪ねたとき、見ず知らずの人から赤いゆで卵をもらったことがあるよ。

 この大きなイースターエッグは、
 少女が春の野の花を髪に飾るように
 象牙色のスポンザ宮殿の春のチャームポイントになっていた。

 季節のシンボルをアートとして、歴史的なl建造物にさりげなくとけ込ませてしまうのも
 街の人たちのセンスのよさのしるしかな。
 イースターのシーズンが終わって再び訪れると、卵はもう取り外されていた。

 ところで今年ももう四旬節に入った。
 ドブロヴニクでもそろそろイースターを迎える準備が始まる頃だろうか。
 今年のイースターサンデーは4月4日だそうだけど、
 街はどんなお祝いをするのかな。
 もしその時期に訪れる人がいたら、クロアチアの街の表情を伝えてほしいな。


ムール貝のブザラ

2010-02-23 21:14:56 | クロアチア料理と食材
 
 ムール貝の料理というとベルギーを思い出す人も多いかもしれないけど
 クロアチアのムール貝もなかなかおいしいよ。
 ニンニクを使った白ワイン蒸しで
 やはりこちらでは「ブザラ」と呼んでいる。

 海岸部のシーフードを扱っている店なら
 たいてい出していると思うな。
 クロアチアでは一年中食べることができるけれど
 季節によってムール貝の大きさが違うみたい。
 やっぱり冬から春先に身が大きくなるような気がするけど
 どうなんだろう?
 シベニックやイストラ半島などでは
 アドリア海に沿った海岸沿いを走るとムール貝の養殖場も見られますよ~
 
 たとえ、ムール貝が小さかったとしてもがっかりしないで。
 このスープが抜群においしいから
 パンをつけて食べたりして楽しんでください!
 もちろんワインは辛口の白できまりですね。

クロアチア風パプリカの肉詰め

2010-02-20 22:29:30 | クロアチア料理と食材
 
 内陸クロアチアは肉料理がおいしい。
 野菜の肉詰めもあつあつで体があったまりますよ~♪

 ロールキャベツも典型的な郷土料理。
 塩漬けにして発酵させた、漬け物のようなキャベツで肉を巻くのがクロアチア風です。

 内陸料理には、オーストリアやハンガリーの影響が感じられ
 イタリア料理の影響を受けた海辺のものとは
 まったく別の国の料理のようです。
 
 
 
 
 


ダルマチア料理の逸品、手長エビのブザラ

2010-02-19 06:08:52 | クロアチア料理と食材
 
 クロアチアの海岸地方でぜひ食べたい料理といえば、
 茶猫のイチオシは、なんといっても手長エビのブザラです♪♪

 ブザラは、ガーリック、白ワイン、オリーブオイル、パセリなどで味付けした
 ダルマチア地方のシーフード料理。
 アドリア海であがる手長エビとの相性が抜群!
 アサリやムール貝のブザラも美味しいよ~♡

 手長エビのブザラにはトマトをちょっと入れることもあるみたい。
 でもゴテゴテのトマト煮とは全然ちがい、
 カニのような手長エビの風味がちゃんと生きてます。

 この料理、もちろん手で食べるのが大正解。
 フィンガーボールか紙ナプキンをだしてくれますからご安心を。

 シーフードサラダのところで紹介したナウティカNauticaのブザラは絶品。
 海は見えないけど、その姉妹店で旧市街にあるプロトProto のも美味しいです。

 プロトProto
  Ul.Siroka Br.1 Dubrovnik TEL 020-323-234

 ちなみにこのレストランは1886年創業のドブロヴニクきっての老舗。
 70年前、ヨーロッパをスキャンダルの渦に巻き込んだ二人、
 イギリス国王エドワード8世と
 離婚経験があり、当時再婚していたアメリカ人のシンプソン婦人が
 クロアチアへ愛の逃避行(?)に来たとき立ち寄ったことでも知られています。

 王室のヨットで航海し、クヴァルネール地方のラブ島でバカンスを楽しんだ二人は、
 ドブロヴニクのこの店でデート。
 「王冠を賭けた愛」とマスコミに書き立てられました。
 そしてクロアチアは
 彼ら滞在した美しいリゾート地として、ヨーロッパの人々の熱い視線を浴びたのです。

 その後案の定、結婚を認められなかったエドワード8世は
 国王の座をあっさり弟に譲り、翌年シンプソン夫人と晴れて結婚。
 「王冠を賭けた愛」の新聞見出しは「王冠を捨てた愛」に変わりました。

 そのとき新しい国王になったのがジョージ6世。
 今の英国女王エリザベス2世のお父さんです。
 
 二人がProtoで手長エビのブザラを楽しんだかどうかは定かではありませんが
 映画のようなエピソードの舞台で食事をしてみるのも一興かも? 

 安い店ではないけれど、Nautikaに比べたら、ずっとリーズナブルです。
 
 
 

ダルマチアのみそ汁? 魚のスープ

2010-02-18 21:33:01 | クロアチア料理と食材
 
 海岸地方のスープの定番ならフィッシュスープ。

 といっても中にたっぷりお魚が入っているわけではなくて
 魚介のダシでとったクリアースープ。
 お米が少し入っていて、ほっとするお味です。
 さしずめ、クロアチアのみそ汁といったところかな?

 ラーメン系の味が恋しくなったとき思わず頼んでしまう一品。
 和風というのではないけれど、なにか通じるものを感じます。
 しかも、どの店で頼んでもハズレがないのが嬉しい。
 
 フィッシュスープは魚料理の前にいいただくのがおすすめ。
 次の魚料理に続く流れを作ってくれます。
 それに対して、肉料理と相性がいいのが麺入りのビーフコンソメ。
 これは内陸部のの定番スープで
 日本のコンソメと違うのはそうめんのような細いヌードルが入っていることかな。
 麺入りのヌードルスープはほかの中欧諸国でもよく出てきますね。
 
 クロアチアの海岸部と内陸部の二大スープ。
 それぞれに、お米と麺が入っているのもおもしろいですね。

 

クロアチアの前菜の定番シーフードサラダ

2010-02-18 06:41:23 | クロアチア料理と食材
 
 アドリア海に面したダルマチア地方の前菜で人気があるのはタコのサラダ。
 小さく切ったタコがたっぷり入ってます。
 タコは生ではなくて、ゆでたもの。
 どこで食べてもびっくりするくらい柔らかい。

 シーフードサラダは、このタコサラダに
 イカ、エビ、ムール貝などが入ってる豪華版。

 どちらもオリーブオイルで合えるのがポイントで
 魚介類の新鮮さ、ゆでかげん、オリーブオイルのおいしさが勝負どころになる。
 お店によってトマトやオニオンが入るみたい。
 あっさりしていて
 キーンと冷やした白ワインとの相性抜群です。

 ちなみにこの写真は
 ドブロヴニクの高級レストラン「ナウティカ」のシーフードサラダ。
 各界の著名人やハリウッドスターがお忍びで訪れることでも知られる超有名店。
 お亡くなりになった先代のヨハネ・パウロ・2世が訪問したときの写真が
 玄関ホールの隅っこにさりげなく飾られている。
 お料理の値段も、パリの3ツ星レストラン並み?? 
 お財布に余裕のある人は行ってみてね。
 
 Nautica / Tel 020-442-526
 ピレ門のすぐ外で、バス停前の広場の海側南側。
 人気の奥のテラス席からは入り江やロヴィエナッツの要塞の眺めが抜群。
 夕食は予約したほうがいいでしょう。
 

 

狙っちゃいますよ~

2010-02-07 21:52:01 | 世界の猫友だち

 ゴミ缶の上でうわの空のトラ猫を
 塀の上からちょいと狙っているお仲間がいますよ~
 あんまり緊張感はないみたい。
 友達どおしなのかな?

 プロヴディフの旧市街には
 猫たちの遊び場がたくさんありました。

 ※ プロヴディフ‥‥ブルガリアにあるヘレニズム時代からの街