日本文化のユニークさ5項目のうち3)に自然災害に関する文章を付け加えて次のようにした。
3)大陸から適度に離れた位置にある日本は、異民族(とくに遊牧民族)による侵略、強奪、虐殺など悲惨な体験をもたず、また自文化が抹殺される体験ももたなかった。一方、地震・津波・台風などに代表される自然災害は何度も繰り返され、それが日本人独特の自然観・人間観を作った。
これと、さらに4月6日のエントリー:東日本大震災と日本人(3)「身内」意識に関連して、もう一歩踏み込んで考えてみたい。
上のエントリーで「身内」という言葉は比喩的に、日本人全体がいわば「家族」のような雰囲気の中で生きているという意味で使った。異民族による侵略や虐殺、支配などを歴史上ほとんど受けなかったから、なかば「身内」のように信頼しあう社会が保たれたのだろう。しかも日本人は、基本的に人間は相互に信頼し合えるものだという人間観を、無自覚に日本人以外の人々にも適用して接しているふしがある。
ところで同じ東アジアの隣国である中国や韓国など「中華文明圏」では、社会構造が宗族(そうぞく:男子単系の血族)が細胞のように存在し、その寄せ集めによって成り立っているといってもよい。宗族は、倫理的には儒教の影響を受けた家族観の上に成り立ち、強力な血縁主義でもある。中華文明圏では、アイデンティティの根拠が深く血縁集団に根ざしているため、非血縁集団への帰属意識は、日本人には考えられないほど低いという。異民族間の抗争・殺戮が繰り返され、社会不安が大きいだけ、血縁しか頼るものがないという意識が強くなる。
宗族のそれぞれが砂粒のようにばらばらで、各宗族の人々は究極的には一族の繁栄しか考えていない。いくつかの宗族で権益を独占し、這い上がってくるものを蹴落とす。このような伝統社会を背景としているため、中国の共産党独裁や朝鮮王朝のような政治形態が出現せざるを得なかったのかもしれない。宗族中心主義は、「自己絶対正義」という姿勢の根幹をなし、その影響は現代の東アジアの外交問題にまで及んでいるようだ。
一方、日本文明はイエ社会であり、男系の血族だけでは完結しない。それは、婿養子のあり方を見ればわかるだろう。その分、社会がフレキシブルになっている。また日本人は、独裁よりも合議制を好み、そのため談合も絶えないが、合議制を無視する独裁者は、めったに生まれない。これも、日本列島では異民族の侵入、略奪、異民族との熾烈な抗争といった経験が、ほとんどなかったことと関係する特性だろう。歴史的に、独裁的な強力なリーダーシップをあまり必要としなかったのである。
もちろんこの点は、今回の大震災や原発事故後にはっきり示されたように、日本人の短所にもなっている。
《関連図書》
☆新しい神の国 (ちくま新書)
☆日本人ほど個性と創造力の豊かな国民はいない
3)大陸から適度に離れた位置にある日本は、異民族(とくに遊牧民族)による侵略、強奪、虐殺など悲惨な体験をもたず、また自文化が抹殺される体験ももたなかった。一方、地震・津波・台風などに代表される自然災害は何度も繰り返され、それが日本人独特の自然観・人間観を作った。
これと、さらに4月6日のエントリー:東日本大震災と日本人(3)「身内」意識に関連して、もう一歩踏み込んで考えてみたい。
上のエントリーで「身内」という言葉は比喩的に、日本人全体がいわば「家族」のような雰囲気の中で生きているという意味で使った。異民族による侵略や虐殺、支配などを歴史上ほとんど受けなかったから、なかば「身内」のように信頼しあう社会が保たれたのだろう。しかも日本人は、基本的に人間は相互に信頼し合えるものだという人間観を、無自覚に日本人以外の人々にも適用して接しているふしがある。
ところで同じ東アジアの隣国である中国や韓国など「中華文明圏」では、社会構造が宗族(そうぞく:男子単系の血族)が細胞のように存在し、その寄せ集めによって成り立っているといってもよい。宗族は、倫理的には儒教の影響を受けた家族観の上に成り立ち、強力な血縁主義でもある。中華文明圏では、アイデンティティの根拠が深く血縁集団に根ざしているため、非血縁集団への帰属意識は、日本人には考えられないほど低いという。異民族間の抗争・殺戮が繰り返され、社会不安が大きいだけ、血縁しか頼るものがないという意識が強くなる。
宗族のそれぞれが砂粒のようにばらばらで、各宗族の人々は究極的には一族の繁栄しか考えていない。いくつかの宗族で権益を独占し、這い上がってくるものを蹴落とす。このような伝統社会を背景としているため、中国の共産党独裁や朝鮮王朝のような政治形態が出現せざるを得なかったのかもしれない。宗族中心主義は、「自己絶対正義」という姿勢の根幹をなし、その影響は現代の東アジアの外交問題にまで及んでいるようだ。
一方、日本文明はイエ社会であり、男系の血族だけでは完結しない。それは、婿養子のあり方を見ればわかるだろう。その分、社会がフレキシブルになっている。また日本人は、独裁よりも合議制を好み、そのため談合も絶えないが、合議制を無視する独裁者は、めったに生まれない。これも、日本列島では異民族の侵入、略奪、異民族との熾烈な抗争といった経験が、ほとんどなかったことと関係する特性だろう。歴史的に、独裁的な強力なリーダーシップをあまり必要としなかったのである。
もちろんこの点は、今回の大震災や原発事故後にはっきり示されたように、日本人の短所にもなっている。
《関連図書》
☆新しい神の国 (ちくま新書)
☆日本人ほど個性と創造力の豊かな国民はいない
クールジャパン★Cool Japanを最近知りました。yuuinuiとモウシマす。
ブログルール了解しています。
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世にいる「知ったか(ブリ)小僧・受け売り爺さん」の一人ですので
あちこちツギハギではありますが読後考えたことをコメント
いたします。人間信頼に異論ありです。
日本人 死ぬほど怠惰で受け身な人々
失われた20年・地震・津波・放射能汚染
さてさてこれで変われるか?。
第二次世界大戦
明治維新
260年の江戸幕府
豊臣政権
織田政権
島国根性 歴史を振り返れば
大陸を逃げ回り大陸に生き残った者
大陸を逃げ回り禍神だらけの島国に押し込まれもう逃げ場は無いと観念した者
「日本人の発明」(ワカッテイマス勝手な持論です)
いかなることが起ころうと集団で生きる事。
ただあらゆる権威・権力を認めず、信じず、作らせない、
必要に迫られれば主体的に確立する前に集団で既成のことのごとく振る舞い殉じる事。
雲蚊のごとくたかり尽くす底意地の悪さ(つい最近も米高官がボヤイテいましたネ。)
主体的に確立していない権威・権力はいずれ裸の王様となり自滅する。
「日本人の発明」からすると次の「ごとく」へ動き出すのだろうか?。
それとも「オマエが言ったんだろう」と被害そっちのけで
最後の「権威・権力」者イジメに今しばらく勤しむのか?
いずれにしても、新たなる権威・権力を自任する人たちは
「ごとく」が始まった時に呑込まれるか?
いつまで「権威・権力」でいられるか?
の準備のしどころだろうと思います。