おまえが死んだら
オレはまた担いで降りなきゃならない
2年前、ローツェで
パートナーを失くして
その時オレは
そいつを担いで降りたんだ
雪が降っていた
降りるたびに背負った背中は
重く、かたく、冷たくなっていったんだ
あんな思いは嫌だ
もう嫌なんだ
誰かが死ぬのはたくさんだ!
生きて帰ること!
それが山のルールだろう⁉︎
塀内夏子「おれたちの頂」より
恭介に似たシェルパのテラルに
かつてのパートナーの面影をたどる。
それは邦彦の心の整理のためでもあるんだ。
恭介のピッケルはローツェの頂に眠る…。