『煙霧』というよくわからん気象用語を知った日に船橋まで。
駅を出てから開催地まで、サングラスかける状況だったので、本当に室内コートでよかった。会場はまだ新しい施設でスタッフの対応もよく、なにしろ出展メーカーも多いのでお得な試打会だった。
少人数グループに分けられ、メーカー毎のプレゼン聞くのに結構時間食ってから試打開始。
最初に手に取ったのは、話題の「スピンラケット」、Wilson STeam99S。ネットにいるコーチ相手のストロークだったり、サーフェースが柔らかめの毛並み?のカーペットだったりの条件ではあったのだが、正直期待していたような弾道や回転は出せなかった。ウィルソンの「ハンマー構造のツアー系統」らしい振りやすさと、n時代からどんどん硬くなっているので中空らしい振動は少し残るもののウィルソンらしい許容範囲の大きなフレームでネットは越しやすい(厚さの割りに何が何でも真っ直ぐ飛んでゆく傾向は抑えられている)。が、僕の打ち方だと何度やっても弾道がしっかり山を描けない。ならばとボールを積極的に潰してゆくスタイルに変えると、少ない横糸が力をボールに伝えきれない感じで、肝心の縦糸もよく動いているような手ごたえが得られず、まるで糸と糸の隙間からボールがはみ出してしまっているような感覚。スライスも同様に回転力アップには繋がらず、前に飛ぶ力も削がれる印象が強かった。やっぱりシャフトのしなり前提で打つスタイルが体に染み付いてしまっているのだろう、自分用にセッティングしてある90インチの方がずっと回転をかけやすかった…
ということで益々誰の参考にもならないようなレビューを続けると、次に試したのはヘッドのプレステージS。MPの軽量版ということで、プレステージの特性がより手軽に手に入るかと試してみると…何故かネットを連発。軽いからかな?と思いヒット時の面の角度に気をつけてみるのだがどうもだめ。手応えの方は振動は抑えられているものの、ミッドはもとよりMPより圧倒的にしならない感じだ。自分の技術を棚上げ前提で言うとこれがネット連発の原因かなと。軽量化して強度を保つため、シャフトの断面が他のプレステージと違うのだ。バイクのフレームと似ていて、シャフトがうまくしなってくれるとラケットが「誤差」を吸収してくれる。プレステージは更に重量配分や空力的効果諸々であの重さをあまり苦にせず使えてしまう。が、SタイプはMPより更にミッドから遠い特性という印象。
ヨネックスで試したのはまずVCORE Xi 98。コアフォームを「濃い目」に詰め込んだということだったが、完全に振動を消しきるというわけではないようだ。また、平均ウェイト305gという割には重くごつく感じたかな。ここらへん不思議なもので、ブリヂストンのX-Blade 315やスリクソンのREVO X2.0(旧)を試打した時のように、何故か最近の国産ブランドってカタログ値より扱いづらく感じてしまうのだ。ああ、プロケネックスのKi5 315もそうだからアジア系ということになるのだろうか、全体重量や重量配分と硬さのバランスがどうも合わない。もっと重いラケット普段使ってるのに振り遅れたり打ち負けることが多くなる。もちろんあくまで個人的な印象だが、ウィルソンやヘッド、プリンスもそうかな、あそこら辺の製品は全体重量が重くなるほど(ヘッドの)初速が上げやすく、振っても打ってもしなやかな感触が強くなってゆくのだ。だからサンプラスモデル(KPS88)のようなやや極端な設定はさておき、重いモデルでも結構使えてしまう。
同じヨネックスでもS-FIT α 112(105?)はまた全く違う特性。近年伊達先生が好んでいるシャフトに大きな切れ込みが入っているモデルで、“スイング開始時から”非常に安定性が高く、フラット~スライスがしっかり打てる。逆に言うと僕はこのラケットでどうもワイパースイングができなかった。で、ウィルソンもFXモデルで謳っていたこの「四つ又」シャフトの振動吸収性だが、結論から言うと振動結構出ます。以前ウィルソンのコブラFX?を試打した時は、フレームにヒビでも入っていたのだろうと思ったのだが、やはりS-FITも同様の振動が確認された。何だかシャフトの数が多い分軽量化のために肉厚を落としているような感触だ。
ちなみに「本物の」伊達モデルを持たせてもらったが、グリップが異様に太く、バランスもイーブンに近いため絶対重量ほどの重さ(扱いづらさ)は感じなかった。
プリンスで試したのは新しいREBELシリーズ。95は10g程重くなっていたが、98ともやはり非常に振りやすい。で、ボックス形状のシャフトのおかげかしなってうまく“調整”してくれる。ボールをぶっ潰してエッグボールを打つのが最も容易なモデルだ。ストロークの快感をとことん追求するのならそのなかでも95を選ぶことになる。ただ、旧モデルから細かな振動が残る特性も受け継いでしまっていた。まあ振動と言ってもプロスタッフ系やプレステージと比較してということなので、多分殆どの人は気にならない程度と思う。
バボラのピュアドライブも触ったが、これは皆さん試したことがあると思うし、ストリングの設定で結構印象が違うように思うので特に触れない。
終盤ボレーやサービス中心に試したのはウィルソン プロスタッフ6.1シリーズの90と95、そしてヘッド プレステージMP。特にプロスタッフ6.1の95を試すのは今回の試打の大きな目的であった。で、どうだったかというと…あんまりプラス5平方インチのご利益というのは感じなかった。昔プロスタッフ85からn6.1の90に乗り換えたときは、面が大きくなっただけではなくフレームが柔らかくなったので、違和感無く楽に打てる印象が強かったのだが、今回はどうだろう。少し軽くなった分ラケットヘッドは出やすいかな。ただ決して反発力の大きな仕様ではないので、軽い分確実に速く振らないといけない。プレステージMPよりスピンはかけやすい気はする。90の方は“グローバル仕様”なので、ジャパンモデルを使ってきた僕にはやはり少し重い。特に試打に用意されていたのはグリップサイズが2のレザーむき出しだったので、余計その印象が強かった。ただし、会場に来ていたメーカーの方によると、ジャパンモデル(320g版)が本数限定で出る予定があるらしい。この「やや軽」版のニーズは日本以外のアジア地域や欧米でもニーズがあることはネットで確認済みなので、僕はきちんとしたバリエーションとして入ってくる(戻ってくる)のではないかと思うがどうだろうか。
ということで、時間の問題もあってかなり偏ったレビューとなってしまった。特にスピンラケットと並んで年末から話題になっていた(というよりウィルソン同様メーカーの宣伝がすごかった)ヘッドのスピードシリーズは結局試せなかった。ただ、重量配分をいじってパンチ力を出すというコンセプトは特に新しいものではないので、「すごく」なっているとしたら他の要因も大きいのだろうと推察する。ちなみに、重量配分を変えるとどうなるかということについては、昔このブログにも書いたことがあるが、人間の感覚と言うのは不思議なもので、「どこに」重りを足したかということも結構わかるものだ。ラケットに貼る重りは専用品を買わなくても100円ショップで調達できるので色々試すと面白い。