科学者vs超能力者。このテーマにどれほどの人が惹かれるのか知らないけれど、ワタクシはかなり惹かれました。ワタクシは超能力とか超常現象とかそういうものを信じないタイプなので、科学が超能力のインチキを見破ってくれるというのはかなりスッキリするんじゃないかなぁという期待を持って見に行きました。
科学者のマーガレットマシスン博士シガニーウィバーと助手のトムバックリーキリアンマーフィーは大学での授業の他に、あらゆる超常現象のインチキを科学的に暴く研究をしていた。超常現象が起こるという家に出かけ、霊媒師のトリックを見破り原因を追究したり、インチキ超能力者のショーで彼らが秘かに観客の情報を探り、インカムでスタッフが超能力者に情報を流していることを暴いたりした。
そんな彼らの前にサイモンシルバーロバートデニーロという昔一世を風靡した盲人の超能力者がカムバックしてくる。サイモンシルバーはかつて彼を非難する記者がショーの最中に謎の心臓発作で死亡するという事件に遭い、それ以降表舞台からは姿を消していた。
彼を調べようと言うトムだったが、彼の全盛期に彼を調べた経験があるマーガレットは「彼は危険よ」と言って調査を拒んだ。マーガレットはサイモンシルバーに自分のことを見透かされた経験があり、一瞬とは言え彼を本物だと信じてしまった過去に囚われ彼に対峙することができなかった。トムはムキになって一人でもシルバーを調べると調査を始めるが、そのころからトムの周辺では不可解な現象が起こり始める。やはり、シルバーは本物なのか?
一連の不可解な現象の中で、マーガレットが発作で死んでしまうのだけど、その出来事を境に映画の雰囲気が変わってしまう。マーガレットが生きている間はまさに科学者vs超能力者という感じでセリフのやりとりも議論のようなものが多く面白かったんだけど、マーガレットがいなくなってしまってからはすっかりオカルト映画風になって、急にバーン!と大きな音が鳴って観客をびっくりさせるような趣向に変わって行った。ワタクシはマーガレットが生きていたときの映画の雰囲気のほうが好きだったな。
と言っても、後半もそれはそれでなかなかに楽しめたのだけど。
キリアンマーフィーという役者さんは、顔立ちがなんだかエキセントリックで不思議な魅力がありますね。「プルートで朝食を」という作品では、かなり彼の不思議な魅力が生きていたと思いますが、この作品でもシガニーウィバーという存在感が大きな人がいなくなってからの後半をきちんと引っ張れていたと思います。ロバートデニーロを向こうに回すのだから大変だったと思いますが。
この作品には最後に大きなどんでん返しがあります。その結末についてはある意味で“禁じ手”ということもあり、巷では評判悪いみたいなんですが、ワタクシは結構好きでした。このオチは全然予想していなかったので、本気でびっくりしたっていうのもありますが、トムバックリー博士が持っていた“憂い”のようなものが実はそれが原因だったのかと思うとなんか切ない気持ちになりました。その“憂い”を表現するのにもキリアンマーフィーはピッタリだったと思います。
映画はそのどんでん返しで終わってしまい、結局サイモンシルバーのトリックはなんだったのか?っていうのは完全にうっちゃられたままになってしまいました。不可解な現象もどこからどこまでがシルバーの仕業でどこからどこまでがトムのせいだったのか?記者が死んだのもマーガレットが死んだのも純粋にただの偶然だったのか、トムバックリーをフルボッコにしたシルバーの手先の仕業だったのか?ほんであの変な部屋みたいなのもなんやったんやろ?テレパシーのトリックはトムの恋人であるサリーエリザベスオルセンが暴いていましたが、その他の超能力は彼が実は盲人ではないっていうだけでは明かせないものもあったけど、それは映画の最後にはもうどうでもいい話になっちゃいましたね…もっと窮地に追い詰められるシルバーをデニーロがどう演じていただろうと思うと、そういうシーンがないのは惜しい気もしました。
巷の評判はどうあれ、ワタクシはメインキャスト全員が好きなおかげもあってか結構楽しめた作品でした。
オマケ1エリザベスオルセンって「オルセン姉妹」のどっちかの片割れだと思っていたら、「オルセン姉妹」の妹、なんですね。ちゃんと認識しなおさなきゃ。
オマケ2サイモンシルバーが舞台の上で空中浮遊したとき頭の中に「と~もだち~、と~もだち~」というフレーズが浮かんでしまったのはきっとワタクシだけではないはず。
オマケ3シルバーの若いときという設定でデニーロの物まねみたいな人が登場していたので、ちょっと笑っちゃいました。あんなんで良かったなら物まね芸人のテルを出してあげてよって思っちゃいました。
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