シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

RENT/レント

2006-05-09 | シネマ ら行
いやーGWサボりまくってしまいました。そして、GW明けた昨日もちょっと仕事がバタバタしてましたので、更新が遅くなっちゃいました。(と言ってもたいした忙しさじゃないんだけどね。貧乏なくせにヒマがあるワタクシ。イヒヒ)そろそろ更新しないと読んでくださっている方々に申し訳ないですよね。最近、「Vフォーヴェンデッタ」効果か、500人台の方がアクセスしてくれていたりして嬉しい限りです。何度も来たのに更新されてなかったゾという方ごめんなさい

さて、5月1日映画の日に見に行った「RENT」です。

この作品はいわずと知れた大ヒットミュージカルの映画化。これも「プロデューサーズ」同様、ブロードウェイに行けないワタクシには「待ってました」でした。

1989年のクリスマスイブからの1年間(52万5600分)のお話。80年代が終わりを告げ、90年代を迎えるNY。いよいよ本格的に20世紀の終わりに突入し、暗い世紀末を予感させるかのように、エイズという不治の病が蔓延している。これより前は、まだエイズという病気の感染経路がはっきりしておらず、ドラッグの注射の回し打ちの危険性もSAFE SEXの必要性もまだ知られていなかった。そのためにこの物語に出てくるようなエイズに侵された若者がアメリカには大勢いた。

エイズのほかにもこの物語のキーワードがいくつかある。若者、アーティスト、同性愛、ドラッグ、ホームレスそして「RENT」これは「家賃」という意味で、家賃もロクに払えないNYの若いアーティストたちの青春物語で、原作者のジョナサンラーソンの自伝的とも言える作品。

反抗心旺盛なアーティストの卵たちはみなそれぞれに悩みを抱えながらも自由奔放に生きている。その悩める子羊たちを導く役割を果たすのがエンジェルウィルソンジェレマインヘレディア。名前の通りエンジェルのような彼女(「彼女」と呼ぶべきだろう)が歌う「Today 4 U」が彼女の人を優しく包む精神を表している。このエンジェル、最後に本当に”エンジェル”という役目を果たしてもくれるのだ。その彼女と恋人になるコリンズジェシーLマーティンと路上で「僕の家で一緒に暮らせばその代わりに1000回のキスをあげるよ」と歌うシーンが素敵。

この物語の最も中心的な語りべとなる映像作家を目指すマーク(男性)アンソニーラップ、彼の元恋人のモーリーン(女性)イディナメンゼル、モーリーンの今の恋人ジョアンヌ(女性)トレーシートムズの奇妙な三角関係、というかモーリーンのわがままぶりをネタに奇妙な友情が芽生えてしまうマークとジョアンヌがおかしい。この二人が踊る「モーリーンのタンゴ」は最高だし、ようやく身を固める決心をしたモーリーンが女性同士ながらジョアンヌと婚約パーティを開くのだけど、その席さえもモーリーンの浮気グセが原因で大喧嘩になってしまったりと落ち着くひまなんかあったもんじゃない。

中盤のクライマックスでNYのアーティストの卵が集まって自分たちの魂を高らかに歌う「La Vie Beheme」のときに、リベラルな彼らが保守的な連中を挑発する姿にはスカッとしたなぁ。

楽しいシーンばかり挙げたけど、実は結構深刻なテーマが語られていて、ミュージカルなのに人物ひとりひとりの掘り下げが素晴らしいし、舞台よりも楽曲を減らしてその代わりに登場人物たちにセリフとして語らせたところも映画的に成功だと思う。

時代背景が少しだけさかのぼるので、現代と15年ほど前の違いを感じながら、それでいてどの時代にも共通する普遍のテーマを同時に感じることのできるこれからも何度も再演されるであろうミュージカルでした。

オマケアンソニーラップ演じるマークって、オリエンタルラジオのめがねくんに似てませんか?


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16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (mig)
2006-05-10 16:04:56
こんにちは♪TBありがとうございます。



ブロードウェキャストでの映画化、

とても贅沢ですよね



もっと大きな劇場で観たいと思ってしまいました☆

単館上映とは、もったいないです
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migさんへ (coky)
2006-05-10 16:13:02
こちらこそありがとうございます。



オリジナルを見れないワタクシみたいな者にとってオリジナルキャストに近い形で演ってくれるのが一番嬉しいですね。



公開前はもっと大きな扱いになると思っていたのですが、小さい扱いで意外でしたね。単館でもいろんな地方を回ってくれたらいいですね。
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Unknown (きさらぎ)
2006-05-10 21:28:51
こんばんは。はじめまして。

TBありがとうございました。

ブロードウェイオリジナルのCDを購入しましたら、ミミの声が全然違って別のイメージになりました。オリジナルもぜひ見たいです。

ドラッグも同性愛もエイズも、決して他人事ではなくなった日本だけど、あんなふうに力強く自信を持って自分を表現したい!っていうエネルギーはなかなかもてないものですね。

また、ときどきお邪魔します!

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よかったです! (kino)
2006-05-11 08:03:34
TBありがとうございました。

前々から このミュージカルの噂は聞いていたけど

舞台は観たことなかったので、今回の映画化、

とっても嬉しかったです。

音楽もどれもよかった!もっとたくさんの映画館で上映して欲しいですね。
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コメントありがとう (coky)
2006-05-11 09:23:56
きさらぎさんへ



>ミミの声が全然違って別のイメージになりました



そうなんですかぁ。ミミとジョアンヌはオリジナルキャストじゃないんでしたっけ?



日本の若者の間にエイズが増えていると聞きます。先進国の中でエイズが増えている国というのは恥ずかしいことだと思います。それが恥ずかしいよりSAFE SEXを話題にするほうが恥ずかしいというのが勝ってしまうんですよね…問題です。



kinoさんへ



ワタクシも同じように前々から映画化を楽しみにしていました。クリスコロンバスが監督すると聞いたときはイメージが違って大丈夫かな?とも思いましたが、素晴らしい演出でしたね。
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はじめまして! (こでまり)
2006-05-11 09:42:18
TBありがとうございました。

テーマはとても難しいんだけど、さわやかさが残ってしまうのは、

歌の素晴らしさのせいでしょうか。

映画を見終わって、速攻サントラ買いました

これ、ミニシアター系扱いなんですよね。もったいない・・・

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こでまりさんへ (coky)
2006-05-12 09:10:03
>テーマはとても難しいんだけど、さわやかさが残ってしまう



登場人物たちの生き方が潔く、固定観念にとらわれずに人生を謳歌しているからではないでしょうか。置かれている状況は過酷でも、そこにある生命の躍動がさわやかさにつながっているのだと思います。
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TBありがとうございます。 (ジダラク妊婦)
2006-05-14 00:14:28
TBありがとうございます。

なんと言っても、ホントに歌が良かったですね~~。

時代背景が少し前なので、当時のアメリカはエイズに対する考えもこうだったのかな~なんて考えながら見ました。

実際のミュージカルは見てないのですが、やっぱり生歌を聞いて見たい!っと思いました♪



「Vフォーヴェンデッタ」まだ見てないんですよ!ちょっと迷ってますが、多分行くかと・・・また遊びにきます♪

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観てきました! (e-mon)
2006-05-15 11:01:17
HIVキャリアになって、いつ発病するか?を心配する毎日ってとても辛いものでしょうね。

夢を追っている最中の若者たちにとってそれは、耐えられないものだろうと思います



それにしても、劇場が空いてたよー。ミュージカル映画だからかな。

曲の内容を追ってて、自分に置き換えて色々得るものもありました。

観て良かったわ♪
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コメントありがとう (coky)
2006-05-15 15:21:18
ジダラク妊婦さんへ



微妙に少し前の時代背景ってちょっと珍しいですよね。ほんの10年くらいでも時代の流れって早いもんだなぁと感じますよね。エイズに関しては、まだまだ世界的に大きな問題ですね。正しい知識を得るのもなかなか難しい部分があるのかもしれません。



e-monさんへ



最近、先進国ではキャリアの期間が長くなっていると聞きました。その原因は知らないですが、、、いつ発病するか考えて暮らすとつらいでしょうね。でも発病が遅まれば、その分薬の開発とかにも希望が持てると思います。



ワタクシが行ったときは、まだ始まったばかりだったからか、結構混んでました。日にちが経つとやっぱり空いてたんですねー。単館で正解か…
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