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幽白蔵馬受とかアイマスとか他ゲームとかたまに猫な妄想ブログです

突発SS  おとなのはじまり 4

2016-10-22 10:16:31 | 妄想黄泉×蔵馬SS
ふわあ、と大きな欠伸が一つ。
午前中いっぱい蔵馬と共に癌陀羅の近くの森で
駆け回って昼ごはんを食べて今は午後一時半。
妖怪とは言え幼児。
しかも絶対的に安全な家があり。
全面的に信頼出来る親がいるとなれば。
必然的に睡眠を子供は求めるものだ。
しかも親子三人並んで
座り心地の良いソファに
パパとママ(修羅的に)に挟まれて
気に入りの絵本を読んで貰っているのだから
もう駄目だ。
十分の七くらいは眠りの世界の住民だ。
けれど。
ここでこのまま寝たら。
『一人で寝られない』ことになる。
すっごくここで寝たいけど。
蔵馬に髪の毛なでられたりしたいけど。
パパに背中ぽんぽんされたりしたいけど。
子供のちっちゃなプライドで修羅は葛藤する。
『甘やかしすぎだ。』とか飛影が蔵馬に言ってたのは知ってる。
疲れたとパパに言えば抱っこしてくれる、と
浦飯に言ったら『おめー本当によー・・・』と
呆れていたのも覚えてる。
パパと蔵馬の二人が自分のことを
大好きで大切に(修羅もだが)思ってくれてるのは
確認するまでもなく解る。
大好きな二人と一緒にいたいし、離れたくないけど。


一人で寝れない赤ちゃんだと思われたくない。
目を擦りながら修羅はソファから立ち上がった。
「修羅?」
「どうした?」
「・・・おへやでねる。」
本当は一人でなんて寝たくないけど。
ここでこのまま寝たいけど。
「修羅一人で寝るの?」
「・・・うん。」
「凄いねもう一人で寝れるんだ?」
嬉しそうに笑う蔵馬になんか泣きそうになる。
やっぱりパパと『仲良し』したいんだ。
ボクが居ると『仲良し』できないだろ?と前になんか
躯が言ってたのを思い出す。
手繋いだりとかじゃなくて大人の『仲良し』の
方法が出来ないとかなんとか。
『邪魔しねーでたまには二人きりにさせてやれ』って
言ってた。-飛影は『邪魔しろ』ってボソッとゆったけど-。
「夜も一人で寝るの?」
「うん。」
「そっかあ・・」

あ、泣くかも。
修羅の妖気の揺らぎと表情筋の動きから黄泉はそう認識した。
もしかしたら、だが。
本当は一人で寝たくないのでは、と疑っていたのだ。
今の修羅からそれは間違いないと確信した。
が。
今の蔵馬の話し方では『一人寝推奨』にしか感じられない。
少し口惜しいことに修羅は黄泉より蔵馬の言うことを良く聞く。
蔵馬が一人で寝ろと言えば、修羅は今後黄泉と共に寝ることはないだろう。
でもまだ早すぎる。
せめてあと一、二年。
子供が子供でいられる時間はあっというまだ。
急かさなくともすぐに手を離れてしまう。
ならば今少し、可愛い姿を見ていたいと思って何が悪い。
黄泉は蔵馬に向って反対を唱えようと口を開きかけた。

「修羅と一緒に寝れないの寂しいな。」
「・・・は?」
「え?」
「オレと黄泉だけで昨日寝たんだけどね。」
「パ、パパと蔵馬だけで?‼」
じろりと修羅が黄泉を睨んだ。
「やっぱり修羅がいないとベッドが広くて寂しい。」
「さみしいの?」
「うん。」
「おとななのに?」
「大人でも寂しい時は寂しいよ。」
「ボクと一緒にねたいの?」
「修羅と一緒に寝たいな。寝てくれる?」
首を傾げて尋ねる蔵馬に向って修羅は大きく肯いた。
「しょーがないなあ!
蔵馬が一緒に寝てって言うんだからね!
ボクは一人で寝れるのにさあ!」
嬉しそうに修羅は捲し立てる。
「ごめんね修羅。」
「いーよ!ボク蔵馬のこと大好きだし!」

(えーと。)
開きかけた口を閉じて黄泉は二人の会話を聞いた。
(オレもいるんだが・・・)
修羅はきゃっきゃと笑いながら蔵馬に抱きついた。
蔵馬は微笑みながら修羅に一緒にお昼寝しようかと尋ねている。
良い光景だ。
とは思うが。
(お前たち絶対オレの存在忘れているだろ?)

無言の黄泉に気付いたのか修羅が蔵馬から離れ
近づいて来た。
「どうした修羅。」
「あのさーパパも寂しい?」
一瞬面食らったが蔵馬を見習い肯いた。
「寂しいな。」
「じゃあパパとも寝てあげるよ!」
物凄く上から目線だがまあ、いいと言うことにしておく。
蔵馬が修羅の気に入りのブランケットを取りに居間を出た。
「ねえ、パパ。」
「なんだ修羅。」
「蔵馬と仲良ししたい時はゆってね。」
「・・・ん?」
「そ~ゆーときはボク一人で寝るから。」
「修羅、そんなことどこで。」
「だっていっぱい仲良ししないと赤ちゃんこないんでしょ?
躯もやよいちゃんもゆってたもん。
ボクおとうとほしいもん。
いっぱいあそんであげるんだ!」
にっこ!とおよそ他意なく笑う息子に何と言っていいやら
解らない父親は五歳児に余計な事を吹きこんだ
かつての敵と顔も知らない『やよいちゃん』とやらを
恨んだ。
ついでに本当に真剣に蔵馬に癌陀羅への
移住を願おうと誓った。





~四話って最長記録ですわね。
子供が一人で寝始めるのってきっかけないと難しいですよね。
下の子が産まれたとか部屋貰うとかベッド買ってもらうとか
じゃないとな、と思いまして。
しばらくは修羅はまだ三人川の字で就寝です。
蔵馬さんがおうちにずっと居るってなったら一人寝かな?