DREAM

幽白蔵馬受とかアイマスとか他ゲームとかたまに猫な妄想ブログです

突発SSS 今年は野菜が高騰です

2018-09-02 08:19:51 | 神成屋繁盛記
「でよ」
鼻を膨らませ胸を反らす。
「今年は台風とか水不足とか凄かったろ?
毎年冬場は野菜がたけーから苦労すんだろ、おめーんとこも」
腕組みをしてうんうんと頷き。
「白菜がたけーんだよな全く。葱も。
冬は鍋やったりするし店やってなくても食費あがるし」
ちらりと薄目を開けて。
「大変だよなぁ。
おめーんとこ、うちより儲かってたから野菜の消費量ハンパねぇだろ。
いやあ〜大変だあ〜」
にやにやしながらこちらを見る。

朝の仕込みがひと段落し店員揃って冷たい茶で休憩、
今日も一日宜しくな、と朝のミーティングっぽい事を行なっていた
神成屋に近くの高架下でラーメン屋台を営む商売敵が来襲したのは
五分ほど前だ。
許可もしていないのにポットから冷茶を注ぎ飲み干し一番冷房の当たる
テーブルに腰を下ろし何故か突然『野菜が高い』と宣いだした。

「ほんっと大変だよなあ〜。
まいんち餃子用のキャベツだけでも三玉だろ?白菜もニラも葱もだろ?
ラーメンのスープにも使う分もあるし。
あー大変だ〜」

向かいに座る黒髪の小柄な男はぽつりと返した。
「何が言いたい?」
にやにやにやと笑いながら商売敵ー浦飯幽助はドヤ顔で言った。
「まあ、オレは?
店が軌道に乗ってからは蔵馬に頼んで野菜作って貰ってるし?
あ、タダじゃないぜ?ちゃんと金は払ってるよ。
まあお友達価格で手間賃程度で良いっつってくれてるから
たまにアイツの畑に手伝い行くんだけどよ〜」
黒髪の小柄な男ー飛影は冷めた目で幽助を見る。
飛影の隣に座るもう一人の店員、彼の妹雪菜もだ。
「……そうなんですか」
「おう!
いやあ、ほんっとおまえらの店は今年の冬は大変だぜ?
人気店は人気店で苦労すんだなあ!」
わははと笑う幽助を。
この店の店主、泣く子も黙る闘神雷禅は生暖かい目で見た。
「……バカ息子」
「なんだクソ親父」
「そりゃあ良かったな、羨ましいぜ」
「だろ!良いだろ!?」
「ああ」

傍から見れば商売敵ではあるがお互いに認め合い切磋琢磨する
理想の親子に見えなくもない。
立ち上がり冷蔵庫に新しい冷えた茶を取りに向かった雪菜の後ろから
飛影が小さく声をかける。
「おい」
「はい?」
「あのバカは知らんのか?」
ふ、と憂いを含んだ笑みを雪菜は浮かべる。
「こちらに初めていらした時にコエンマ様がおっしゃってましたけど」
はあ、とため息を吐いて飛影は雷禅に向って
『お友達価格で蔵馬に野菜を作って貰ってるオレ』
を自慢する幽助を見た。なんだかとっても嬉しそうな幽助を。
「トリ頭か」
まあまあ、と雪菜は笑う。
「ニンゲン夢を見るって必要な事ですよ?」
例え泡沫でもと、囁くその顔は飛影には妙に大人びて見えた。



〜久々ラーメン屋。
昨日餃子捏ねてたら思いついた話です。
来週の九日は九蔵の日なんですって。
ので来週は九蔵SSです、サイトで。






突発SS 超法規的措置

2017-09-03 10:26:50 | 神成屋繁盛記
じりじりと陽射しが照りつける夏の繁華街。
開店まであと30分に迫った人気ラーメン店の前には
大変ご苦労なことに10人ほど並んで待つ客がいる。
その中に。
すらっとしたシャープな雰囲気のショートカットの美人がいた。
何やら真剣な表情でラーメン店の看板を睨んでいる。
後ろに並ぶポニーテールの娘は傍目からも解る位様子が
おかしい。
「・・・おい。」
「ぅえっ!?
な、なんどすか?!」
「どすって、何だよ・・・。
飛影がバイトしてる店ってのはココで合ってんだな?」
「え〜っと多分。」
「キツネんとこでも浦飯んとこでもねえんなら雪菜関係じゃないかっつったの
お前だろ。」
「だけどさ〜飛影怒るんじゃないかい?」
ポニーテールーぼたんーの言葉にショートカットー躯ーは笑った。
「心配すんな。
アイツは今日キツネの家だ。」
「何で知ってんだい?」
「雪菜とガキが嬉しそうに連行してったからな。」
「何で?」
「パパがおっきいプール買ってくれたから一緒に入りたいってよ。」
あたしもそっち行きたい〜!とぼたんは身悶えた。
くっそ暑い真夏日に何が楽しくて(あんまり)親しくない人と二人
ラーメン屋に並ばねばならないのか。
アンタだって仲良しな相手いるだろ!
棗とか孤光さんとか螢子ちゃんとか!
何であたしを誘うのさー!?と頭の中で叫んで見る。
「飛影の野郎。
副業するんならちゃんとオレに言えってんだ。」
ちっと舌打ちしながら躯は呟く。
それを聞いてぼたんは冷や汗を流した。

飛影はここ数ヶ月ほど週に3回このラーメン屋でバイトしている。
『あの飛影がバイト!?』とぼたんも驚いたが蓋を開けて見れば
なんてことは無い。ぼたんの上司である霊界の王コエンマが人間界で
開店したラーメン屋(出資のみ)で人手が足りない為に手伝いをしている
だけだったからだ。
とは言え。
働く仲間が皆妖怪なのはアレだが。
平日は北神達ハゲ集団。
どうしても忙しい時に蔵馬にヘルプの電話が入る。
土日祝は雪菜。夏は長時間働けない為たまにぼたんも
店に立つ。接客業は新鮮で楽しかったりする。
コミュ力が不安な飛影だが担当は皿洗いと野菜の仕込み
な上店長が異様に彼の扱いが上手いので何の問題も発生せず
和やかな雰囲気の明るい職場だ。
が。
店長にはちょっとどころでない問題がある。
神成屋の何故か男客に非常に人気のある店長は。

あの、『闘神雷禅』なのだ。

何でだ。死んだろ、オイ!と息子さんが喚いていたが
雷禅がまだ次の段階に進んでいないのには理由がある。
なんだか難しい御託を色々並べられた書類をぼたんなりに
翻訳し納得した。簡単に言えば。
『この人悪い事も良い事も一杯しててどうしていいか解かんない。』
から、全部調べ終るまで霊界に留まらせるしかないと。
何せ本人も自分が何年生きているのか解らないらしく
千年前くらいまでなら資料もまだ読めるがそこから先となると
紙もボロボロ、インクは滲むし資料自体が行方不明。
更に都合の悪い事に霊界でも把握していない希少種族の生態や歴史にも
詳しく学者達は大喜び。関係ないが意外と気さくなワイルドイケメンに
女子職員も大喜び。息子の友人と言う事で世話係に任命された
(とは言え手はかからずもっぱら茶飲み仲間)ぼたんも楽しかったり。
愚痴も聞いて貰えるし〜とポロっとぼたんが言った一言が
運命の歯車を回した(少し大袈裟だけど)。


(あたしが、あの時幽助のチャーシューの話しなければ・・・!)
今更悔やんでも遅いがぼたんはそう後悔する。
幽助のチャーシュー美味しいけどバラ肉だから太る〜と漏らした一言。
それに何故か食いついた雷禅がこんな感じのが良いのか?と
作ったチャーシュー。
えらい絶品だった。今でも涎が湧くくらい。
感動してあやめやひなげし等同僚だけでなく
特に接点のない特防隊女子にもお裾分けし最後に
断腸の思いでコエンマに献上した所。
皿屋敷駅西口商店街の外れに神成屋がオープンした。
あまりの急展開にぼたんはついていけなかった。
あれよあれよと言う間に店は人気店になった。
始めは週に3日夜のみ営業だったはずが何時の間にか
週5昼3時間夜4時間営業に変わっていたり。
店員も雷禅と北神と雪菜のみだったはずが
ハゲ3人が増え、冬に蔵馬と飛影が加わっていて。
(本当についてけないよ・・・)
溜め息を吐きながらぼたんは前に立つ躯を見上げる。
バレてはいないはず。
雪菜も飛影も自分みたいなうっかりさんではない。
蔵馬は安心だし、一番危ないのは偶然事情を知った幽助だが
まさか躯達に話すなんて事はない。
『雷禅が生きていて人間界で人気ラーメン店の店長やってる』
なんて馬鹿で阿呆な事を人前で話すなんてないと思う。
厳密には生きているわけでなくぼたん達がこちらに来る時に使う
人形に入っているわけだけれど。
ぶんぶんと頭を振る。

『神成屋のことは魔界人には内緒。』
と可愛くウィンクしたコエンマをぶん殴りたい。
ついでに賄いで貰ったチャーシューの入ったタッパーを
迂闊にも躯に奪われた飛影も。
躯からの飛影のバイト先に付き合えとの連絡を良く考えずに
OKした寝起きの自分も。
あと。
コエンマにこの株は絶対買いだから〜!ね〜だからぁ
買って〜?儲かったらドバイ旅行しよ〜とか吹きこんで
下さった上大損したことが解った途端バックレてくれた
キャバ嬢も。(それに乗ったコエンマが悪いが)
「楽しみだなーチャーシュー。」
ウキウキと浮かれる躯の後で。
滝汗を流しながらぼたんは祈った。
『誰か・・・誰か助けとくれよ〜!!』


〜カテゴリ増やしてみました。ラーメン屋関係は
これから『神成屋繁盛記』です。
先週蔵馬さんちに躯が集まらなかった理由がこれです。
そんなに美味いのか雷禅さんのチャーシュー。
コエンマの資産が減った理由が・・・(笑)






突発SS  好敵手出現? 4

2017-03-26 10:46:22 | 神成屋繁盛記
テメーこの野郎イチからジュウまでちゃんと話やがれと
憤慨した幽助に仕方ないのうと嫌そうにコエンマが語るに
死んだはずの雷禅が人間界でラーメン屋をやっている理由は。
ひらたく言えば。
『財政難』
の一言だった。
コエンマ曰く。
霊界ではあのテロの後は経済がめちゃくちゃだった。
ジンバブエ並のインフラも起こり得る可能性もあり
経済難からの国家破綻も絵空事ではない。
等とまことしやかに囁かれ始めた時。
たまたま世話役兼茶飲み仲間のぼたんに息子幽助の作る
ラーメンの話を聞いた賓客扱いの雷禅が面白そうだと
暇つぶしも兼ねて作ったラーメンが意外にも旨いと騒ぎになり
そんだけ旨いのならと3界一金の動きが良い人間界で
店舗を借り開店したところ大当たり。
「開店して三ヶ月で売上300万じゃ!」
サムズアップと共に白い歯を見せてコエンマは笑った。
ー因みに雷禅の肉体そのものはもう無いのでこの身体は
ぬいぐるみの様なモノらしい。使ってくうちに馴染んで
生前の本人の肉体に近づいて行くとのこと。
「さんびゃく・・・」
一月あたり100万。
そりゃ幽ちゃんラーメンの売上も減るよな。な金額。
金は天下の周りものとは良く言ったもんだ。
客は取り返すか新規客を増やせば良いとして。
がん!と幽助はカウンターを殴った。
それに反応したのは霊界人のみ。
その他魔界チームは店舗の掃除と明日の仕込みに余念がない。
「・・・で。」
「で?」
「なんでウチの店の近くで開店したんだよ」
「幻海の持っとった物件じゃから。」
ばーさんっ!と頭を抱える。
事後承諾で贈られた財産分与で二束三文の田舎の山を相続させられた時も
頭を抱えたが(相続税とか固定資産税とか)今回もだ。
寧ろ山よりこっちオレにくれよ!である。
「敷金礼金手数料賃料タダじゃからな。
あとは材料費と人件費のみでの。
材料費のうち野菜は蔵馬に頼んどるし麺に
使う小麦粉は持ち込みで製麺して貰っとるから実質
肉代くらいしかかかかっとらん。」
何がそんなに得意なのか知らないがドヤ顔でペラペラと宣う。
「まあ肉と言っても豚骨とチャーシュー用くらいじゃし
開店資金50万は回収したしあとは儲かるだけ!」
得意満面なコエンマは気づいていない。
隣に座る幽助が静かに怒っていることに。(怒りっぱなしだったじゃんとか言わない。)
「・・・なんで店員・・・」
「何を寝ぼけとる。
飲食店で一番金がかかるのは人件費じゃ。
研修中も給料は発生するじゃろうし雷禅が人間でないと
バレても構わんとなるとこれがベストじゃ!」
北神達は雷禅大好き!だから給料はなし(酷い。)でも文句一つ言わない。
雪菜はたまたまバイトを探してるとぼたん経由で知り
男の中の紅一点と採用(こちらは時給千円。賄い付交通費あり。)
「蔵馬は。」
「蔵馬はのー」
視線を蔵馬に向ける。
飛影に餃子の包み方を教えていた蔵馬は自分の名が出たのに気付き
顔をあげた。
「何ですか?」
「・・・おまえ何でコイツの店で働いてんの。」
ぶすっとした表情で幽助が聞く。
ーオレだってたまに、ほんとたまにだけど蔵馬と二人で
屋台を開く。蔵馬は察しが良いし手際も良い客からの
無理な注文も捌いてくれる。気付かないうちに洗い物がなくなってたり
『幽助のご飯に』と片手で摘める物を持参してくれたり。
『幽ちゃん何〜彼女?』『綺麗な奥さんだね〜』
等と言われるのはこそばゆく嬉しい。
それをこのクソオヤジも。
言われてる(はず)のが幽助には耐え難い屈辱だ。
オヤジよりオレのが蔵馬の中で上じゃねーか!普通に考えれば!
手にしていた餃子を作り終えると蔵馬はちらりと飛影を見る。
「なんだ。」
「きゃー」がらがらがしゃーん。
微妙に嘘くさい悲鳴に反応した飛影は奥の倉庫に飛び込んだ。
中には雪菜がいる。
「・・・良いタイミングじゃな。」
「クロに言ってもかまわねぇだろ。」
「いや躯もいますし。」
三人だけで解る会話すんなっつーの。と幽助は悪態をつく。
「えーとですね。
我が事ながら言い難いですが。」
「何だよ。」
「黄泉癌陀羅に今いないでしょう?」
確かに黄泉は今修羅と共に癌陀羅にはいない。
大統領府からの辞令で下層に調査に行っているのだ。
確か帰国は3週間は先。
「それとオヤジの店手伝ってんのどう関係あんの?」
「・・・貰ってるから。」
「何金?オレだっておまえに手伝って貰ったら金渡すじゃん!」
「金じゃなくて・・・・」
蔵馬の目が泳ぐ。
怪しい。何隠してんだこいつら。
「おい。まだるっこしいな。
バカにわかりやすく教えてやる。」
「雷禅!包むんじゃぞ?オブラートに!」
カウンターごしに伸ばした手が幽助の頭をがっしりと掴む。
軽く掴まれてるわりに痛い。
「いいか。お子様。」
「お子様じゃねーよ!」
「ほう。ならバカ息子、蔵馬がオレと働いてんのはな」


「すみません飛影さん。
小麦粉の下に雪ん子がいるなんて吃驚してしまって・・・」
「かまわん。」
暖かいラーメン屋の倉庫に雪ん子のいる不自然さに気付かぬ兄の
意外な阿呆っぽさに兄に見えぬ角度でほくそ笑むと雪菜は
倉庫の扉を開けた。
先程までカウンターにいた幽助はテーブルでチャーシューと煮卵を
前にブツブツと何か呟いている。
不思議そうな兄の側を離れ蔵馬の横に立つ。
包み終わった25人前の餃子にラップをかけているその横顔は微かに赤い。
「・・・幽助さんに・・・」
「包み隠さず全部話したよ。・・・雷禅さんが。」
あー、とだけ雪菜は返した。
幽助や兄や桑原などは朧気にしか知らない蔵馬の身体的事情。
元が狐の妖怪である彼は食事をエネルギーに変換する必要がなかった。
妖孤のエネルギーは男の"精気"。極上のモノであればなお良い。
人間に融合した当初は人間の食事がエネルギーとなっていたが
妖化が進んだ今となっては妖孤としての"食事"が必要不可欠。
男の精気を効率良く摂る手っ取り早い方法と言えば。

「えっちですものね。」
「まあそうなんだけど・・・・」
今現在蔵馬のお相手は黄泉だ。
魔界でも有数の力を持つ極上の精気の持ち主。ついでに蔵馬にベタ惚れ。
抱き合うまでいかなくともキスだけでも軽い食事として完了させられる
ほど相性が良い(んじゃねーかとは雷禅の意見)。
キスしなくても少々なら側にいるだけでも精気を摂ることが
出来る(んですなんでか。とは蔵馬の弁)
愛の力(爆笑)だかストーカーの一念理をまげるだか知らないが。
「そこだけ、聞いてあれですか?」
「うん。」
まあ無理もないとは雪菜も思うが。
お似合いだと思っていた螢子と別れた幽助はいつの間にか
蔵馬を好きだと公言しだした。
何を今更と考えたのは雪菜だけではないはずだ。
その時には蔵馬は既に黄泉と修羅と睦まじくしていたのだから。
とは言え。
仲間内の性事情なんて積極的に知りたくはないだろう。
なんとなく『ヤッた』のは分かっていても知りたくはないはず。
「言っちゃいましたか。」
「言っちゃいました、雷禅さんが。」
うーんと雪菜は顔を雷禅に向ける。
明日のスープの仕込みに余念がない。
(良い方ではあるんですけど。)
精気を貰う訳ではない雪菜からしても雷禅は極上の上。
最高級だと断言出来る。
だからこそ蔵馬は週末以外は就業後ここに働きにくるのだろう
漏れ出る精気を糧とする為に。
『妖孤なんだから好きに抱かれればいいのに。』
とは思わないでもないが。
どうしょうもないやら腐れ縁やら言っているが
魔界には珍しくパートナー以外とは所謂行為を行わない
蔵馬と黄泉。
人間界よりの若い妖怪代表の雪菜からしても
二人は不可思議で面白い。
ちらりと視線を流せば。
真面目に餃子を包む兄。この人も面白い躯さんとは何もなさげなのが
笑えていい。
幽助の傍らでビール片手に慰めなんだか追い打ちなんだかをやっている
コエンマ。財政難は本当だがそれは極一部コエンマの資産のみの話だ。
調子に乗って人間界の株に手を出し泣けるほど失敗したのだ。
暗い顔で煮卵を齧り旨いのがむかつく・・・と零す幽助。
ショックが大きかったのか覇気がない。(無理もないが)
そして。
「何だ?」
雪菜の視線が移る前に気付いた雷禅が問う。
「あの。」
この人が一番不可思議で不思議で面白い。
こんな街指先一つで破壊出来るのに。
真剣にラーメンを作っている"闘神"。
「明日から飛影さんも入ってくれるそうですよ。」
「お?そりゃいいな。
おいコエンマ。クロの制服頼むぞ!
クロ明日五時半からだ。いいな!」
「は・・・・待て!
なんでそんなことに??」
"クロ"呼ばわりは別に気にならないらしい。
「あ、決まったんだ。
じゃ飛影うちから通う?」
「な、あ、ぐ、」
春とは言えまだ寒い。
木の上で眠るのはキツい。
上げ膳据え膳の暖かい家。
さあ今のお気持ちはどっち?!となれば。

「おお飛影も従業員か。時給は500円くらいじゃな。」
何故雪菜の半分の金額なのかは疑問だがコエンマは
うんうんと頷きながらご満悦だ。
「・・・ゅ〜。」
「ん?なんじゃ幽助?」
噛み締める度に脂の旨味と煮込んだ出汁汁の旨味が広がる。
本当に、
「チャーシューはオヤジのが美味え・・・」
絞り出す様な幽助の一言に。雷禅はそれは
良い笑顔で笑った。




〜ラーメン屋!終!
まだ開店してますがね。一応これで。
回によって視点があっちゃこっちゃ行くのはわたくしの悪い癖どす。
本当は煮卵の作り方とかチャーシューの作り方とか
書きたかったんですが止めましたなんか違う世界に行きそうで。
チャーシューとか煮卵とかかいてたら食いたくなって来たので
起きます。




突発SS  好敵手出現? 3

2017-03-19 12:02:29 | 神成屋繁盛記
ラーメンは日本人の国民食である。
ルーツをたどれば中国が『親』で間違いないが
中国の『拉麺』と日本の『ラーメン』は別モノと言っても良い。
『親子』ではあるが近くて遠い。
それはこの二人も同じな様でー。

下からねめつける幽助。
上から見下ろす雷禅。
ラーメン屋のカウンターを挟んでの二人の睨み合いは
神成屋が閉店してから一時間続いている。
流石に開店時間中に喧嘩を吹っ掛けるほど低能でない幽助は
憤怒の表情で「終わったら連絡しろ!」と怒鳴ると姿を消した。
行先は多分パチンコかスロット。
置いて行かれた飛影は訳が解らぬまま何故か臨時で皿洗いの
ポジションに着かされ納得行かないまま素直に丼や皿を洗っていた。
(陰で雪菜が爆笑していたのは飛影には内緒だ。)

「・・・おい。」
「何です?」
「何ですか?」
閉店後の店内で賄いのチャーシュー丼とラーメンを鬼の様な勢いで
食べ人心地着いた飛影が問う。
「オマエ等なんでここに居るんだ。」
血の繋がった妹と不可思議な縁の友人とを見比べながら。
「バイトです。」
にっこり笑って雪菜。こちらは蔵馬がさっと作った野菜炒めを食べながら。
「・・・身体的事情?」
困った様に笑って蔵馬。こちらは焙じ茶を啜りながら。
「そうじゃなくてだな…」
溜息と同時に言いながら飛影は考える。
死んだはずの雷禅。
何故人間界にいてラーメン屋なんぞやっているのか。
その店で働く蔵馬と雪菜。
ー繋ぐ何かがある。
ほらいただろう。
あまり話した覚えはないが(酷い。)
おしゃぶりくわえた可愛くないアレ。
と言うか外見年齢四歳くらいだろう。
四歳でおしゃぶりは無い。歯並び悪くなるけど
おしゃぶりくわえさせておけば寝かしつける時や愚図り始めた時に楽だからとか
そうじゃなくてだな。
居ただろう、あいつ。コエ
「今日も儲かっとるかー。雷禅・・・」
引き戸を景気良く開けた霊界の長は
笑顔のまま固まった。
店内から自分を呪詛の篭った目で睨みつける店主の
息子を網膜に移すと。
700余年の自分の短い生涯の終わりを嗅ぎ取って。

「何が短い生涯だコラ。」
ゴンと殴りつけたのは幽助。あまり力は入れてない。
「やっぱテメーか。コラ。」
ゴン。ゴン。と間髪いれず殴りつける。
「なんでクソオヤジが人間界にいんだ。おい。」
ゴン。ゴン。ゴン。
「どうせ蔵馬と雪菜ちゃんがここで働いてんのもテメーの差し金だろ。おい。」
ゴン。ゴン。ゴン。ゴン。
「って地味に痛いわ!」
耐え兼ねたコエンマが怒鳴り幽助の手を叩く。
フンと鼻息を吐いた幽助はコエンマの襟元を掴んで
自分が先程まで座っていたカウンターの隣の椅子に
放り投げる様に座らせた。
「ちゃんと説明して貰うぜ。コエンマ。」
え〜!と視線を彷徨わせたコエンマが
店内を見回すと厨房の冷蔵庫から野菜を取り出す蔵馬と
目が合う。
「・・・何しとるんじゃ」
「明日の餃子の仕込みです。
飛影にも手伝って貰おうかな、と。」
デカいキャベツを二玉。ニラは三束。白菜も二玉。
生姜と大蒜も其れなりに。
「随分大量じゃな。」
「これでも足りねぇ。
もう一人店員増やさねぇと難しいぜ。」
「今日は蔵馬さんが休出してくれましたけど・・・・」
「北神達も昼も夜もって訳にはいかねぇしよ。」
「う〜む。
あと一人なあ、料理出来んと駄目じゃろ。
となるとなあ。」
「螢子さんはどうでしょう?」
「螢子ちゃんは学校忙しいんじゃありませんか?」
「となると静流・・・」
「静流さんもお忙しいですよ。」
「おい。」
「蔵馬。」
「はい?」
「お前の隣のそれは?」
「おい。」
「飛影ですか?」
「見た所動きも良い。まあ、客の前に立つのは向いて無さそうだが
厨房だけならいけるだろ。」
「だって、飛影どうする?」
「は?」
「おい!!」
自分を無視して展開して行く(多分)オーナーと店員達の会話に
キレた幽助が叫ぶ。
全員の視線を幽助が集めた所。
「雷禅。」
「何だ。」
「こやつはどうじゃ?
同じラーメン屋だし料理も出来る。身内なら給料も
少なくても良いじゃろ。」
しみったれたことをしゃあしゃあと宣うコエンマに
「いい加減にしろ!
このクソ野郎ー!」
と幽助の右ストレートが綺麗に決まる。
奥の壁に叩きつけられたコエンマを見ながら
雪菜は今日のバイト代はいくらになるのか、と考えた。




〜ごめんなさいまだ続くですよ。
ラーメン成分足りない・・・。
煮卵・・・。
大人しく皿洗いする飛影と言う萌をブッ込んでみました😀
会話しながら並んで野菜切る蔵馬さんと飛影くんと言う
ものも可愛いと思います。
・・・黄泉様カケラも出てこないけどここは黄泉×蔵ですよ!

突発SS  好敵手出現? 2

2017-03-12 11:41:00 | 神成屋繁盛記
何故オレがこんなことを。
まだまだ寒い3月中旬。春めいてきましたねーとか
時候の挨拶は交わされるが寒い。
百足(かいしゃ)での激務に加えて躯(じょうし)からの
パワハラに耐え兼ね唯一と言って良い(本人認めたがらないが)
癒しの源(くらま)に会いに来たはずの自分が。
「あ、クソ。ガチャハズレしか出てこねぇ」
チッと舌打ちしながら隣でソシャゲに勤しむ幽助と二人並んで
寒空の下ラーメン屋の行列に並んでいるのか。
(ただ単に幽助がかけた電話に飛影が出たからだが。)
ラーメン奢ってやるから付き合えよ。と笑った幽助に
巫山戯るなキサマとキレなかったのは飛影が腹が減っていたからだ。
蔵馬の作る物は美味いが予告もなしに行くと
食料品がないことがままある。一人だと作る気しなくてとは蔵馬の談だ。
なので最近は飛影は(面白くはないが)黄泉や修羅が訪れる前後を狙って
蔵馬の家に行く。そうすれば確実に飯があるから。しかし残念なことに
ここ一ヶ月ほど黄泉達は人間界に足を踏み入れてはいない。
となると。
衝動的に魔界から飛び出した(家出?)飛影が人間界通貨を所持している
わけもなくーよしんば所持していたとして飛影が料理を注文する姿は
想像し難い。ー何でも良いから飯食いたいと思っていた所での誘い。
『・・・さぞかし美味いものなんだろうな。』
あーまたハズレだクソ畜生無課金勢ナメんなコラとかぶつぶつ宣う幽助を
下から睨めつける。
馬鹿の癖に何故オレより強いのか。
強い癖に何故人間界でらーめん屋など営んでいるのか。
・・・ついでに何故蔵馬に惚れた等と公言するのか。
アイツは(歯軋りするほど認めたくはないが)黄泉となんだ、
あれだ、仲が良いと言うか良すぎと言うかよりによってなんで黄泉だ。
お前黄泉のこと嫌ってなかったか。嫌ってたよな。
それがなんでいつの間に知らんうちに黄泉の子供と手を繋いで
笑い合う様になってお泊りしてー。とか一緒に寝よー。とか
あまつさえ一緒にお風呂入ってー。とかをニコニコと笑いながら
うん良いよ。などと受け入れやがって
がらり。
店の引き戸の音に飛影は我に返った。
店のなかから良い匂いがする。
「有難う御座いました〜。」
可愛らしい声がする。
聞き覚えがある気がする。
旨かったなー。
今日は二人共いるなんてラッキーだ。
神成屋スペシャルきついわやっぱ。
麺4玉にしたお前が悪い。
残さず食ったからいいだろ。
等と口々に言いながら通り過ぎる客達を見送ったあと。
「おまたせいたしました。
三名様奥へ。こちら二名様・・・」
とすらすら続ける店員を目を見開いて飛影は見た。
紺色の作務衣に前掛け。
長い髪は纏めて一つに結んでいる。
その髪は三角巾で隠されていて飛影から見えるのは
前髪と毛先のみだが。
あんな髪色アイツ以外見たことない。
「・・・飛影?」
何処かバツが悪そうに問いかける蔵馬に呆けた様に飛影は返した。
「・・・おまえのかいしゃはふくぎょう許可してるのか?」
「ちげーだろ!」
ツッコミ待ちかテメーら!と幽助が突っ込む。
「蔵馬さん?
餃子の仕込み頼みたいってらい・・・・あら飛影さん?」
「っ!」
雪菜っ?!と出そうになった声を飛影は飲み込んだ。
蔵馬と同じ紺色の作務衣に前掛け。
三角巾で隠した髪をこちらは左右2つに分けて結んでいる。
「あら幽助さんも。」
ぺこと頭を下げた雪菜に釣られ幽助は頭を下げ返す。
「うちのお店のラーメン食べに来て下さったんですね?
飛影さんと一緒に。」
うふふと笑う雪菜に毒気を抜かれ幽助は二人を見る。
ー確かに美人姉妹だ。
眼福だ。
でも欲を言わせて貰えれば作務衣じゃなくスカートが良い。
ラーメンなんだからチャイナドレスのが良い。
今度蔵馬に手伝って貰う時はチャイナドレス用意しとこうと
幽助が決意した時。
店の引き戸がガラリと引かれた。
「お前ら何やってんだ。
客が待ってんだろうが。」
洋画の吹き替え並の低い渋い声。
白い長い髪をゴムで結び。
黒のTシャツにジーンズ。
前掛は蔵馬達より長い。
足元は長靴。
清く正しいラーメン屋スタイル。
間違ってはないが間違っている。
「あ。すみません。でもあの」
「?何だ珍しく動揺しやがって。」
答える蔵馬に笑いかける表情は幽助の知るモノではないが。
感じる妖力は確かにあの野郎のモノ。(当時よりデカく強いが)
現に隣の飛影は固まっている。
「ん?」
ソイツはやっと幽助に気がついたのか(多分ワザとだ。)
ゆっくりこちらに顔を向けるとニヤリと笑った。
「よお。息子。」



〜何か続いた・・・
飛影さんが色々語りだしましたよ。腹に据え兼ねてたんでしょう(笑)
雪菜ちゃんと蔵馬さんがウェイトレスな飲食店なんて
ワシが通いたいわい。

きら☆こんさん。
コメント有難う御座います。
よみはおバカなのが愛しいですよね!
黄泉様は頭良いですがね!千年て凄いなあ!
ラーメン屋・・・ごめんなさいまだ続きます😀
あ、あと一回くらいですが