初心者のクラシック

有名な曲からおすすめの曲まで、できるだけ初心者にも分かり易く紹介します。

ヴァイオリンソナタ第4番

2007年04月30日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第4番です。

ベートーヴェンのヴァイオリン!と言うと、個人的にはとても甘くやわらかなフレーズのイメージが、あったんですが、この曲にかんしては、どこか影が差したように、やや暗いフレーズで始ります。
なので、ちょっと意外な感じにも聴こえましたが、しばらく聴いてみると、とてもしっとりとした、ベートーヴェンのヴァイオリンのちょっと変わった一面を聴く事ができる曲だとも思います。

有名なピアノソナタのように、激しい曲調という訳ではないんですが、聴いた後にもどこか、気になるところを残したまま終わってしまうような、そんな曲です。


 第1楽章:後ろ髪を引かれるような、ピアノ伴奏にヴァイオリンが流されるように
 して入ります。
 ポツリと何かをつぶやくピアノにヴァイリンがしなやかに合わせると、
 切なく悲しいメロディを歌っていきます。
 どこかうしろめたさを感じるような、ヴァイオリンの響きは、
 何かを切々と語りかけてくるようにも聴こえます。
 少し盛上がっても決して興奮する事はなく、理性を持って真剣に語っている
 ように聴こえるヴァイオリンに、憐れみを感じてしまいます。

 第2楽章:少し落ち着いた様子のピアノは、疲れた目をそうっとあけて、
 ただ、ただ虚空を見つめているような、そんな滑稽な風にも聴こえます。
 ヴァイオリンが寄り添うようにしなやかに合わせる響きはとても澄んだ響きに
 聴こえます。
 やがて、ピアノの明るく可愛らしいソロが始ると、ヴァイオリンもその後に
 続き、明るい表情を覗かせてきます。
 そこからは、とても軽やかに続き、とてもさわやかなフレーズを続けていきます。
 おだやかで、ゆるやかなフレーズが落ち着ける曲調を聴かせてくれます。

 第3楽章:どこか不安を感じるようなヴァイオリンから始ります。
 何かに追われているような、後ろからひたひたと迫るような感じが、どこか
 焦りを感じているようにも聴こえてきます。
 しかし、途中で立ち止まって振り返ってみると、何も無い?!
 安心してゆったりと伸びやかなヴァイオリンが中盤では聴けますが、
 いざ、前を向いて歩き始めると、やはり不安は消えず残っています。
 不安が募り思わず走り出すように早いテンポになり、必死に逃げ出していきます。
 しばらく走って、また後ろを振り返ると…やっぱり誰もいない?
 そして、そんな不安を抱えながら逃げ出すように走り去ってしまうようにして
 終わります。

決して激しくは無いんですが、誰もが持っているような、ちょっと気になる不安を抱えたまま、先に進んでしまうような、そんな感じの曲ですね。明るくも無く、暗くも無く激しい感情を見せる事もありませんが、・・・でも、何故か気になるフレーズは、ちょっと魅かれてしまう不思議な曲でもあると思います。


≪オススメCD≫
グリュミオーでどうぞ
ベートーヴェン : ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ長調作品12の1
グリュミオー(アルテュール), アラウ(クラウディオ), ベートーヴェン
ユニバーサルクラシック

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆★★★
怒:☆☆☆★★
哀:☆☆☆☆★
楽:☆☆☆★★

≪おすすめシチュエーション≫
ちょっとした不安でも、気になりだすとどうしようもなくなる事ってありますよね。


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ロンドンデリーの歌 (アイルランド民謡)

2007年04月29日 | ちょっとした曲
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はアイルランド民謡:ロンドンデリーの歌です。


この曲はアイルランド民謡です。別名では「ダニー・ボーイ」という名前で呼ばれる事もあるこの曲は、のんびりとゆったりしたメロディで、こころも和む名曲ですね。“歌”というタイトルが付いていますから歌詞もあるようですが、どうやらかなり数多くの歌詞がこのメロディに対して作られているようです。

特に有名なのものは上に上げた「ダニー・ボーイ」で呼ばれる歌詞が有名なようです。このタイトルでニューヨークから発行されると、親しみのあるメロディから世界中で愛されるようになったようです。

厳密に言うとクラシックの部類には入ってこないのかもしれませんが、ヴァイオリンやピアノなど、その他にも様々な楽器のために編曲されたものを聴く事ができます。
なので、初心者にもしっとりと聴けるメロディはこころにしみる一曲だと思います。

…で、今回は、下の≪オススメCD≫からヴァイオリンとピアノの演奏でクライスラーが編曲した作品を紹介してみようと思います。()

 ピアノのしんみりとした前奏から、低いヴァイオリンが入ります。
 のどかな雰囲気と、こころも安らぐメロディがしっとりと響きます。
 じわじわと懐かしさを感じるヴァイオリンの響きは、控え目なピアノ伴奏を
 いたわるように、やさしく切なく聴かせてくれます。
 オルゴールのようなピアノの可愛らしい間奏が終わると
 二回目のヴァイオリンは高音の美しいメロディを聴かせます。
 同じメロディですが、高く艶やかに響くヴァイオリンの音色はとても繊細に
 それでいて力強く清らかな音で始終しっとりとしたメロディを奏でて
 くれます。
 高音が頂点に達すると胸を締め付けられるような熱い想いが伝わって
 くるように聴こえます。


やっぱりこの曲は、ヴァイオリンの音色がしっくりきますね。個人的にはこのスタイルが一番好きです。
他には、映画「ブラス!」でも管楽器のオーケストラが重厚な演奏で、ググッとくるような演奏をしていたのも印象に残っていますし、魅力的な演奏はこの他にもたくさんあるんだと思います。同じメロディでも楽器が変わると印象もそれぞれ、微妙に変わってくると思いますが、いずれもメロディが熱く語ってくれる曲なんだと思います。
そんな感じで、演奏違いのものを聴き比べてみるのもいいかもしれませんね。
ちなみに最近「アコム」のCMでもピアノのメロディで流れてたと思います。
 

≪オススメCD≫
ヴァイオリン
オムニバス(クラシック), ブラーバ(リンダ), レネハン(ジョン), エルガー, サレルノ=ソネンバーグ(ナージャ), リバース(サンドラ), クライスラー, ポマーズ(レオン), マスネ, レビン(マイケル)
東芝EMI

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≪映画ブラスのDVD≫
ブラス!

アミューズソフトエンタテインメント

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆★★★
怒:☆★★★★
哀:☆☆☆☆★
楽:☆☆★★★

≪おすすめシチュエーション≫
しっとりと聴ける一曲です。


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「楽聖」ベートーヴェン(第10話)

2007年04月28日 | 作曲家の生涯
たまには、作曲家の生涯にふれてみてはいかがですか?

今日は「楽聖」ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(第10話)です。

≪作曲家の肖像≫
ベートーヴェン:交響曲第1番&第7番
クレンペラー(オットー), フィルハーモニア管弦楽団, ベートーヴェン
東芝EMI

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【Ludwig van Beethoven】

パトロンの不幸な出来事が重なり、年金が打ち切られてしまうベートーヴェン。今日はその続きからです。

(第10話)【裁判】
年金が底を付きかけたベートーヴェンはウィーンで、年金の再開交渉をはじめます。そしてルドルフ大公から、どうにか、いくらかの金額を受け取ると当面の生活をしのぎます。

この頃、イギリス軍のウェリントン将軍がフランス軍を破ったという報せがウィーンに届くと、この報せに便乗した友人メルツェル(メトロノームを発明した)の勧めで、この勝利を題材にした曲を作曲する事を提案します。これを受けてベートーヴェンは「ウェリントンの勝利」を作曲します。そして演奏会を開き「ウェリントンの勝利」や「交響曲第7番」を初演します。

すると、この演奏会は大成功を収めます。「ウェリントンの勝利」が人気を集め大喝采を受けたベートーヴェンはこれ幸いとばかりに、次々に演奏会を行うとこれも大成功し、新聞にまで聴衆の大喝采が取り上げられていたようです。

ウィーンの聴衆はおそらく、ベートーヴェンの曲にというより、それまで占領の憂き目に遭っていたフランス軍を打ち破ったウェリントン将軍の勝利に酔いしれ、ベートーヴェンが便乗した形を取ったこの曲に、強く共感を抱いていたようです。

そんなウィーン貴族の思惑はともかくとして、これがきっかけでウィーンの劇場からもベートーヴェンの人気を再認識する形となり、演奏会を依頼を受けるようになります。

ところが、この曲が人気を呼んでいたいた事に目をつけるたメルツェルは、もともとは自分の勧めで作曲したこの曲には自分に所有権があるとして、オーケストラ団員のパート譜からスコアを作り、ミュンヘンで勝手にこれを演奏してしまうのでした。
その事を知ったベートーヴェンは直ちにメルツェルを訴え、友人関係も絶縁してしまいます。

そんなこんなで、ウィーンでの名声を一気に高めることになります。しかし、一方で出版社シュタイナー社からも作品の依頼をせかされます。実は1813年に弟カールが重病になったときに同社にも借金をしており、期日までに返済できない場合は、新作を無償で提供する事と未発表の作品十数曲の版権を譲渡する条件になっていたのでした。

結局、返済する事が出来ていなかったベートーヴェンはこの条件に従って同社に作品を譲渡していたようです。

シュタイナー社との契約は決着を付けたものの、1815年弟カールの病状は更に悪化し結局11月には亡くなってしまうのでした。
弟カールには同名の幼い息子カールがいて、弟カールは生前からこの息子カールの後見人を兄ベートーヴェンに決めていたようですが、弟カールの遺書には「息子のために母ヨハンナも後見人とする」という追記が見つかると、その後見人の資格をめぐって裁判が起きるのでした。

第一回の裁定では、母ヨハンナを正後見人に、ベートーヴェンは副後見人という結論が出されます。これに不服を申し立てたベートーヴェンは翌1816年に単独後見人としてみとめられると、甥カールをひきとる事になるのでした。


恋多きベートーヴェンですが、失恋が続き、気付けばもう40代になっていましたから、せめて子供が欲しかったのかもしれません。でも裁判まで起こすなんて…、何をやっても情熱的になってしまうんでしょうか?
さて、このつづきは数日置いて、また来週。

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「楽聖」ベートーヴェン(第9話)

2007年04月27日 | 作曲家の生涯
たまには、作曲家の生涯にふれてみてはいかがですか?

今日は「楽聖」ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(第9話)です。

≪作曲家の肖像≫
不滅の恋~シネマ・ベートーヴェン
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団, ベートーヴェン, ショルティ(サー・ゲオルク), シカゴ交響楽団, アシュケナージ(ウラジミール)
ユニバーサルクラシック

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【Ludwig van Beethoven】

ベートーヴェンが恋人に宛てて送った手紙は、誰に宛てたものだったんでしょうか?今日はその続きからです。

(第9話)【不滅の恋人へ】
ベートーヴェンが書いた手紙は「不滅の恋人」に宛てられた手紙でした。長年の研究により、1812年に書かれたとされる3通の手紙は7月6日の朝晩にそれぞれ一通、そして7月7日の早朝に一通の三通とされているようです。

しかしこの手紙・・・、肝心の宛名が書かれていなかったため、現在でもこれが誰に宛てて書かれた手紙なのかと言うことが議論の的になっているようです。

でも、それだとこのブログのお話が進まないので、今回はこの手紙が書かれた年に一番関わりのあったとされる、アントーニエ・ブレンターノへ宛てたものとしてお話を進めていく事にします。

という訳で、この手紙にはベートーヴェンが相手に宛てた情熱的な言葉が、書かれています。更に手紙にはお互いの強い想いがあるにも関わらず、それを抑えなければならない苦しみや、相手に寄せる思いやり、そして強い愛情を切々と語っています。しかし、二人の愛を成就させるべきなのか?それとも、今のままの関係を続ける事がお互いにとって最善の方法なのか、冷静に考えるべきだとも書いていたようです。

残されたベートーヴェンの手紙を見る限りでは、既に二人の関係は進んでいて、お互いの愛情を確かめた上でのやりとりがあったようにも見れます。しかし、手紙にもあるように冷静に判断した結果なのか?それともやはり「身分の違い」を乗り越える事が出来なかったからなのか?二人はそれ以上の関係になる事は無かったようです。

しかし、この手紙がアントーニエに宛てて書かれたものだとすれば、頷ける気もします。彼女は既に結婚していますし、夫フランツは貴族の家柄ですから、ベートーヴェンがいかに偉大なる作曲家だったとしても、当時の状況としては太刀打ちできなかったとしても不思議ではありませんし、仮に身分がこれほど離れていなかったとしても、生真面目で、熱血漢のイメージが強いベートーヴェンが、既婚者の妻を奪うという事は本人のプライドが許さなかったのかもしれません。

いずれにせよ、今回の恋も実る事はなく、時間とともに薄れていったようです。

そんな中、ボヘミア地方テープリッツからウィーンへ戻ると作曲に取り掛かります。交響曲第7番、第8番などを書き上げていきますが・・・、

1812年11月、ウィーンでベートーヴェンのために終身年金を送ってくれていた貴族の一人が落馬により急死してしまうと、年金額がそれまでに比べ少なくなってしまったようです。更に1813年になると、弟カールが病に倒れると、経済的な援助が必要になり更に圧迫されてしまいます。
加えて終身年金のメンバーだった別の貴族の一人が劇場経営に失敗してしまうと、年金支給が完全にストップしてしまうのでした。

ベートーヴェンは一気にその財源の大きな部分を占める後ろ盾を失ってしまいます。


ベートーヴェンが「不滅の恋人」としたのはアントーニエの他にヨゼフィーネやテレーゼが挙げられる事もあり、現在でも誰に宛てたのかは謎とされているようです。
しかし、年金の支給元である貴族たちの不幸により、恋にうつつを抜かしていられない状況になってしまうベートーヴェン。このつづきはまた明日。


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「楽聖」ベートーヴェン(第8話)

2007年04月26日 | 作曲家の生涯
たまには、作曲家の生涯にふれてみてはいかがですか?

今日は「楽聖」ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(第8話)です。

≪作曲家の肖像≫
ベートーヴェン : ピアノ三重奏曲第5番 「幽霊」&第7番 「大公」
ビルスマ(アンナー), インマゼール(ジョス・ファン), ベス(ヴェラ), ベートーヴェン
ソニーミュージックエンタテインメント

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【Ludwig van Beethoven】

失恋したベートーヴェンには、もう音楽しか残されていないのでしょうか?今日はその続きからです。

(第8話)【出会い】
テレーゼとの恋に破れてしまったベートーヴェンでしたが、その後すぐに新しい出会いがあったようです。
ベートーヴェンはゲーテの詩を題材にして歌曲を作曲していたようですが、そのゲーテと親交のあったベッティーナ・ブレンターノという女性がベートーヴェンの元を訪れます。
彼女とは親しく付き合っていたようですが、ある日、彼女の兄フランツ夫妻がウィーンを訪れます。フランツの妻アントーニエの父が亡くなったため、夫妻は遺産の整理のためウィーンへ来ていたのでした。

ベートーヴェンはフランツ夫妻と親しく交際をするようになりますが、父を亡くしたアントーニエのショックは大きく、病床に臥せる日々が続いていたようです。はじめのうちベートーヴェンは、気に病んだアントーニエを元気付けるために、話を聞いたり、ピアノを弾いたりしていたようですが・・・、熱心に彼女を励ますうちに、それはやがて愛情に変わってしまうのでした。

そんな中、1811年頃にはピアノ三重奏曲「大公」を完成させます。更にそれまでに作曲していた作品のを出版するため忙しい日々を送っていたようです。しかし、あまりに忙しかったせいなのか?アントーニエへの想いからくる悩みからなのか?ベートーヴェンは体調を崩してしまいます。主治医の勧めでボヘミア地方へ湯治のために出かける事になります。

ボヘミア地方の都市テープリッツで養生し、体調を回復させると秋にはウィーンへ戻り、交響曲第7番の作曲に取り掛かります。

1812年にはフランツ皇帝が建設させていた国立劇場が完成し、のこ劇場のけら落としの曲をベートーヴェンに依頼します。このイベントのためにベートーヴェンは「アテネの廃墟」「シュテファン王」の2曲を作曲します。
国立劇場のこけら落としでこれらの曲が演奏されると見事に成功を収めていたようです。

こけら落しが無事に終わると7月には再び保養地テープリッツへ向かいます。テープリッツでは、かねてからベッティーナを通して、手紙のやりとりのあった文豪ゲーテが、この地を訪ね、二人の会見が成立します。

二人は芸術論についてお互いの意見を戦わせ、またベートーヴェンがピアノを弾いてゲーテに聴かせるという有意義な時間を過ごしていたようです。ゲーテはこのときのベートーヴェンに会ったときの感想を「音楽の才能には驚くばかりだが、その正確は社交性には問題がある」と、手紙にしたためていたようです。

そしてベートーヴェンもこの頃、ある女性に宛てた手紙を書くのでした…。


新たな出会いと、文豪ゲーテとの出会い。有意義な出会いの時期を迎えるベートーヴェンですが、ここでベートーヴェンは誰かに手紙を書いていますが、これは一体誰に宛てて書かれた手紙なんでしょう?このつづきはまた明日。


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「楽聖」ベートーヴェン(第7話)

2007年04月25日 | 作曲家の生涯
たまには、作曲家の生涯にふれてみてはいかがですか?

今日は「楽聖」ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(第7話)です。


≪作曲家ゆかりの曲≫
エリーゼのために~P名曲集
オムニバス(クラシック), 横山幸雄, ショパン, 中村紘子, 小山実稚恵, ドビュッシー, リスト, ベートーヴェン
ソニーミュージックエンタテインメント

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【Ludwig van Beethoven】

「運命」「田園」交響曲の初演が失敗するベートーヴェンですが、今日はその続きからです。

(第7話)【エリーゼのために】
散々な演奏会を終え、明けて1809年1月、ウィーンの聴衆から見放されたと感じたのか?ベートーヴェン自身が、演奏会の失敗からウィーンに魅力を感じなくなったのか?
ドイツ西部のヴェストファーレン(ウェストファリア)地方の宮廷楽団の楽長としての誘いを受けると、これに応えてウィーンを去る決心をしていたようです。

しかし、これに驚いたのはウィーンの音楽愛好家たちでベートーヴェンを支持する人たちでした。当時ベートーヴェンが部屋を借りていた家主のエルデディ伯爵夫人は、ベートーヴェンの音楽を愛する貴族や王侯を集め「行かないで!ベートーヴェン計画」を練り、有力な貴族が終身年金をベートーヴェンに毎年与える事で、どうにかベートーヴェンをウィーンに引き止めるのでした。

こうしてウィーンでの生活も落ち着きを見せたように思えましたが、この頃にはフランス革命の余波がウィーンにも及び、ウィーンはフランス軍に占領されてしまいます。ウィーンの多くの貴族が疎開したようにベートーヴェンも弟カールの住まいに難を避けるのでした。

そして数ヵ月後に、ようやく占領が解かれるとベートーヴェンは再び作曲に取り掛かり、ピアノ協奏曲第5番や弦楽四重奏曲「ハープ」などを作曲します。そして、疎開していた貴族の一人ルドルフ大公に贈られる事になる、ピアノソナタ第26番「告別」の作曲にも取り掛かっています。
1810年、大公が疎開から戻ると無事にルドルフ大公に献呈されます。

そして、ベートーヴェンは名曲を生み出しながら、またしても恋に落ちるのでした。40歳を迎えるこの年に、ベートーヴェンが愛した相手は17歳のテレーゼ・マルファッティでした。そして、あの有名なピアノ曲「エリーゼのために」を贈っていたようです。想いを募らせるベートーヴェンは、ついに1810年、彼女に結婚を申し込みます。

しかし、ここでもやはり「身分の違い」が障壁となってしまいます。マルファッティ家では、ベートーヴェンの音楽には理解を示し、尊敬もしていたようですが、やはり一介の音楽家風情では貴族の身分とはつりあわないと考えたのでしょう、テレーゼも数年後に貴族と結婚してしまいます。
こうして、またしても失恋してしまうベートーヴェンでした。


またしても身分の高い人に恋焦がれ、またしても失恋するベートーヴェンですが、そんなベートーヴェンの恋が実る日は来るんでしょうか?このつづきはまた明日。

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「楽聖」ベートーヴェン(第6話)

2007年04月24日 | 作曲家の生涯
たまには、作曲家の生涯にふれてみてはいかがですか?

今日は「楽聖」ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(第6話)です。

≪作曲家の肖像≫
ベートーヴェン:交響曲第5番《運命》/第6番《田園》新ブライトコップ版
内藤彰, ベートーヴェン, 東京ニューシティ管弦楽団
delta classics

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【Ludwig van Beethoven】

恋に破れたベートーヴェン。作曲は多くの名作を生み出していきますが、今日はそのつづきからです。

(第6話)【新作交響曲】
1806年弦楽四重奏を3曲完成させると、これをリヒノウスキー侯とも親交の深かった、ラズモフスキー伯爵に献呈する事になります。

同年9月にはリヒノウスキー侯とボヘミア地方へ旅行をし、2ヶ月ほど滞在します。ここで作曲に取り組むと「ヴァイオリン協奏曲」などの名曲を生み出していきます。
12月に行われた演奏会のプログラムとして既に予定されていた「ヴァイオリン協奏曲」でしたが、ベートーヴェンはギリギリまで作曲をしていたようですが、このヴァイオリン協奏曲を初演した、ヴァイオリニストのフランツ・クレメントは、この曲をほぼ初見で弾きこなし、見事に初演を果たしていたようです。

1807年3月には、それまでに書き溜めた自作の演奏会が、ロプコヴィッツ侯邸で開催されます。ここでは、交響曲第4番やピアノ協奏曲第4番が初演されると、現在でも名曲との評価を受けるこの曲が、とうじもやはり評判を呼び、地元新聞の記事にも取り上げられる程の成果を上げ、演奏会も大成功を収めたようです。

こうして、名作が次々と生み出される中、いよいよ彼の代表作交響曲第5番「運命」そして「田園」が作曲される事になります。
1808年12月にウィーンの劇場でこの2曲を含むベートーヴェンの作品による演奏会が行われます。しかし、この演奏会は大失敗に終わってしまうのでした。

失敗の原因はかなりたくさんあるようです。ベートーヴェンは2曲の新作交響曲の他にもピアノ協奏曲やミサ曲、合唱曲などをプログラムに入れていたようですが、交響曲2曲だけでも、かなり演奏時間が長いのに、これだけの曲を演奏するには4時間ほどかかりますから、夕方6時に始った演奏会は、夜10時を回ってようやく終わるというかなり長いものだったようです。しかも、暖房設備が充分ではなかった当時の12月に、深夜に及ぶ演奏会は、演奏を聴く環境としてはあまり好ましくはなかったようです。

更に、新作交響曲の練習を充分に行えなかった事もその原因になっているようですが、そんな状態で本番に臨んだため、演奏者がミスをするとベートーヴェンが本場にもかかわらず「ダメだ!もう一回」とかなんとか言って、演奏をやり直していたようです。

加えて、「合奏幻想曲」でソロを歌う歌手が急遽、出演できなくなり、代役の歌手が力不足で、充分に歌いこなせなかったのでした。

せっかく新作の交響曲2曲を初演した演奏会でしたが、これらの理由により、交響曲の出来がどう、とかいう以前の問題になってしまい、演奏会自体が大失敗に終わってしまうのでした。


ベートーヴェン、そして、クラシックを代表する名曲の交響曲「運命」「田園」が同時に初演されるという、驚きのプログラムですが、それにしても、踏んだり蹴ったりの初演が大失敗に終わったベートーヴェン。このつづきはまた明日。

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アニメ「のだめカンタービレ」12・13話

2007年04月23日 | テレビでクラシック
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今日はアニメ「のだめカンタービレ」12・13話です。

4月の番組改編で、少々放送が延びてしまったようですが、4月からようやく再開となったこの番組。ひきつづき追いかけていきたいと思います。

(第12話)
前回から、のだめ、千秋、サエコの微妙な三角関係がはじまりそうな、どうなのか?
千秋がAオケとラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」を見事に演奏したのを聴いたのだめは、「自分も弾きたい!」と寝ずにピアノを練習して千秋に泣き付いてきます。

のだめを連れて学校へ行く千秋、2台のピアノでラフマニノフを演奏します。なかなかどうして、ピアノ連弾のラフマニノフも聴き所ありますよねぇ~。なかなか面白い展開でした。2台のピアノの合間にオケのサウンドが入ってきたりして・・・。

一方、サエコも千秋に未練があり、新しい男と付き合っても千秋が諦められないようです。しかし、千秋はサエコと付き合っているときも、分かれてからもサエコに与える評価は音楽に対してだけだったのでした。う~ん微妙な乙女心が読めない千秋に苦しむサエコちゃん。ちょっと切ないかも。

恋敵?の、のだめは一度千秋とピアノ連弾をすると、それで満足してしまったようです。「先輩と演奏したじゃないですか~♪」と明るく話すのだめに、呆れ顔の千秋でした。

千秋はリストのメフィストワルツ「村の居酒屋での踊り」を卒業発表で演奏するため練習に励むのでした。そんな中、千秋の才能を高く評価した音楽雑誌の記者と評論家が卒業後の千秋の進路が国内で大学院に進学するだけ・・・という事を知った二人は、「才能を海外で発揮しない」事を痛く惜しみますが・・・、千秋は「オレが何をしようと勝手だ!」と憤慨してその場を立つのでした。

しかし、よくよく考えると、千秋自信もピアノの才能をもてあましているのだめに「もっと上をめざさないんだ!」と叫ぶと、わが身を振り返って自分の身の振り方を改めて考えてしまう千秋でした・・・。

(第13話)
卒業演奏会が近づくと、峰くんはSオケの延長として、ニナ・ルッツ音楽祭で出会ったヴァイオリンの「沙悟浄」(本名が今のところわからない)を読んで、アマチュアオーケストラを結成することを千秋に持ちかけます。

しかし、千秋はその話には乗らず、峰くんの誘いを軽く断ります。
そこへ、三木清良が登場!(長野の音楽祭で知り合ったヴァイオリニスト)ドラマでは初めっから居ましたが、アニメではようやく登場!

清良ちゃんが、「千秋くんと一緒に演奏したい。」とオーケストラの話を持ちかけると、峰くんのときとは、違い、即答で「やる!」と返事をします。長野のメンバーに声を掛けて結成を計画するオーケストラに、峰くんもすぐに「オレと沙悟浄も入れてくれ」と、せがみますが、千秋はAオケに入る事を条件として言います。

そして、いよいよ卒業演奏会当日。真澄ちゃんの伴奏者が病欠の連絡を入れると、急遽千秋がピアノ伴奏を行う事になります。そして曲目は・・・アンドレ・じょびる??って誰??全然知らん!!(打楽器だからかもしれないけど・・・、)なかなかシュールで近代チックな曲だった気がします。

その後千秋の演奏で演奏会を無事終えると、みんなで打ち上げに繰り出すのでした。そして、そこでも千秋の新しいオーケストラに入りたいと希望する人が少なからずいたようです。しかし、「Sオケの延長線上にはしたくない」とする千秋はSオケメンバーの新オケ参加を断ったようです。そして、卒業からの新たな道へと歩みはじめていくようですが・・・、新オケはどんな感じになってしまうんでしょうか?


千秋も新オケを結成するようですが、なかなか先の読めない展開になってきましたが、この後がちょっと心配だったりして・・・。
ちなみに第13話からはエンディングもまた新しくなったみたいです。(ようやく旧エンディング曲が発売になったばかりなのに・・・。)
多分来週から新たな展開に入るようですが、峰くんと沙悟浄はちゃんと新オケに合流できるんでしょうか?


≪原作マンガ≫
のだめカンタービレ第6巻
のだめカンタービレ (6)

講談社

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アニメ「のだめカンタービレ」11話の記事はこちら


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交響曲第5番「宗教改革」 (メンデルスゾーン作曲)

2007年04月22日 | その他の作曲家
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今日はメンデルスゾーン:交響曲第5番「宗教改革」です。

この曲はアウグスブルクで開催されるルターの宗教改革300年祭のために作曲されたようです。しかし、この曲が完成して演奏する事になると、その作曲法がパリの管弦楽団からの評価を得られず、演奏を拒否されてしまったというエピソードがあるようです。

そのため、実際には交響曲第1番の次に作曲されてはいたものの、結局生前には出版される事はなく、その死後20年近く経ってからようやく出版された曲のようです。


 第1楽章:静かな雰囲気の中から弦楽器が浮かび上がるようにそうっと流れます。
 フルートがさわやかに響くと、とても心地よいフレーズに聴こえます。
 やがてトランペットや金管楽器が徐々に近づいてくるように大きくなり緊張感
 を持った曲調になっていきます。
 静かな弦楽器のフレーズに響く金管楽器はどこと無く虚しく響くように聴こえます。
 そして、ティンパニ(大太鼓)のドラムロールから、厳しい表情のフレーズが
 始ると、苦悩を表すような弦楽器の激しいフレーズが鳴り響きます。
 激しく強く、訴えかけてくるこのフレーズが鋭い曲調で荒れ狂う嵐のように
 吹きすさんでいきます。
 終盤に、ようやく激しい曲調が収まり再び弦楽器の落ち着いた大人しいフレーズ
 が流れはじめると、絶望感のような感覚さえ覚えてしまいます。
 そしてラストはありったけの力を振り絞って、弦楽器をはじめとしたオーケストラ
 がメインテーマを歌ってティンパニのドラムロールと共に曲を終えます。 

 第2楽章:それまでとは打って変わって、スッキリと晴れ渡るようなさわやかな
 フルートのメロディが明るく流れ始めます。
 そしてホルンで勢いをつけると、弦楽器は更に明るく大きなフレーズを鳴らし、
 曲を盛上げます。大胆なフレーズと、明るく可愛らしいオーボエやフルートの
 音色が絶妙なハーモニーを生み出すと、とても明るく前向きな気持ちになれます。
 
 第3楽章:弦楽器の寂しげな音色が切なく響きます。ヴァイオリンの悲しくも
 美しい音色は何を物語っているのでしょうか?
 繊細で透明感のあるヴァイオリンの音色が、しなやかに曲を作り出すと、
 同情をせずにはいられないような、とても切なく胸を締め付けられるような
 美しいメロディを聴かせてくれます。
 終盤にはティンパニがひとつ、強く何かを投げかけてきますが、力無く、
 打ちのめされるように曲を静かに終わります。
 
 第4楽章:さわやかな朝を思わせるようなフルートの音色が始ると、オーボエや
 クラリネットがフルートを包むように曲を作り出します。
 しなやかな弦楽器が表れると、生気にあふれ、光が差し込むような晴れやかな
 雰囲気になります。
 ティンパニがなり始めると、曲に勢いがつき、ダイナミックなオーケストレーション
 が始っていきます。
 そして、一度フルートが曲を仕切りなおすと、軽やかなメロディラインから
 チェロのしなやかな響き、そしてクラリネットがまろやかなソロを聴かせて
 再び壮大なオーケストラのテーマが流れ出します。
 トランペットが華やかに響き、弦楽器が賑やかに歌うと最後はティンパニが鮮やかに
 鳴り響き見事にラストを飾ります。

一般的には、比較的マイナーな部類に入るこの曲ですが、久々に聴いてみると、なかなかドラマチックな展開があって様々な展開が彩り豊かに表現された聴き所のある曲だと思います。ただ、どうしても第1楽章が暗めで激しいフレーズなので、自分も最初はあまり聴いていない曲だったんですが、改めて聴いてみるといろんな魅力を再発見できる曲なのかもしれません。
作曲依頼の経緯があったので仕方が無いのかもしれませんが、「宗教改革」というタイトルが、どうも堅苦しいイメージを増幅させる感がある気もしますが、曲を聴くだけなら、その辺はあんまり気にしない方が、曲に集中して聴けるのかもしれません。


≪オススメCD≫
アシュケナージとベルリンフィルでどうぞ。
メンデルスゾーン:交響曲第1番・第5番「宗教改革」 アシュケナージ/ベルリン・ドイツso.
メンデルスゾーン, ヴラディーミル・アシュケナージ, ベルリン・ドイツso.
ユニバーサルミュージック

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★
怒:☆☆☆★★
哀:☆☆★★★
楽:☆★★★★

≪おすすめシチュエーション≫
それぞれの楽章の移り変わりが聴き所かも


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「楽聖」ベートーヴェン(第5話)

2007年04月21日 | 作曲家の生涯
たまには、作曲家の生涯にふれてみてはいかがですか?

今日は「楽聖」ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(第5話)です。

≪作曲家ゆかりの曲≫
ベートーヴェン:交響曲第3番
シカゴ交響楽団, ベートーヴェン, ショルティ(サー・ゲオルク)
ユニバーサルクラシック

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【Ludwig van Beethoven】

耳の病に苦しみながらも、まさに決死の覚悟で音楽に身を投じるベートーヴェン。今日はその続きからです。

(第5話)【英雄交響曲】
ハイリゲンシュタットで音楽に懸ける決意をして、多くのスケッチ(曲の下書き)を書き溜めると、1803年にはウィーンに戻ります。このときには既に難聴を他人に隠し通す事ができなくなり、弟カールを補佐役として、一緒に暮らすようになります。

やがて、ピアノ協奏曲第3番を完成させると、4月には、この曲と交響曲第2番を含めたプログラムで演奏会を行います。演奏会が成功を収めると、数日後にリヒノウスキー侯爵からヴァイオリニストのジョージ・ブリッジタワーを紹介されます。彼がウィーンで行う演奏会のためにヴァイオリンソナタを依頼されると、これに応えヴァイオリンソナタ第9番「クロイツェル」を作曲します。
ブリッジタワーが演奏会でこのヴァイオリンソナタを演奏すると好評になり、彼にソナタを献呈しようとしますが、ブリッジタワーとは些細な事から不仲となってしまったため、結局フランスのヴァイオリニスト、クロイツェルに献呈される事になるのでした。

そして、いよいよ交響曲第3番「英雄」の作曲にとりかかります。作曲に専念していると、パリの有名なピアノメーカーから音域の広い新型のグランドピアノがプレゼントされるのでした。そして1804年ベートーヴェンは早速この新型ピアノでピアノソナタ第21番「ワルトシュタイン」を完成させます。そして更に交響曲第3番「英雄」を完成させるのでした。

フランス革命の後、混乱したフランスをまとめ、その勢力を拡大しつつあったナポレオンに尊敬の念を抱いていたベートーヴェンは、当初この曲に「ボナパルト」(ナポレオンの名前)を付けてこの作品を献呈しようとしていたようですが、ナポレオンが皇帝に即位すると、市民の期待を裏切られた感のあったベートーヴェンは、「ボナパルト」のタイトルをかき消して、献呈を取り止めたという説と、「英雄」交響曲には第2楽章に「葬送行進曲」があるため、ナポレオンにこれを献呈するのは失礼にあたると考え、献呈をやめてタイトルも変えたという説があるようです。

英雄交響曲を作曲すると、次には「レオノーレ」の作曲に取り掛かります。この頃ベートーヴェンはレオノーレとは別に「希望に寄せて」という歌曲を作曲しています。そしてこの曲をヨゼフィーネに献呈していますが、実は数年前からピアノのレッスンを行っていたようですが、既に結婚しており子供も居たようです。しかし、二人の親交はレッスンを通じて深まっていったようです。

そして、運命のいたずらか?1804年ヨゼフィーネの主人ダイム伯爵が突然亡くなってしまうのでした。こうなると二人の関係はより親密なものになっていくのでした。ベートーヴェンはヨゼフィーネに宛てた手紙に「私の愛するJ」と綴り、想いを募らせていきます。一方、主人を亡くしたヨゼフィーネも、ベートーヴェンの熱い想いを受け止め、心のよりどころにしていたようです。

しかし、この頃の多くの作曲家がそうであったように、二人の間には「身分」という壁が立ちはだかります。ヨゼフィーネは貴族で伯爵夫人、一方、今でこそ世紀の作曲家と呼ばれるベートーヴェンですが、いくらずば抜けた音楽の才能を持っていても、所詮は宮廷楽師のひとり。その身分の違いを乗り越える事はできず、やがてヨゼフィーヌはベートーヴェンとの距離を置き、数年後にはシュタッケルベルク男爵と再婚します。

こうして、ベートーヴェンとの親交も次第に薄れ、ベートーヴェンの叶わぬ想いは幕を引いてしまうのでした。


音楽に打ち込むベートーヴェンは、遂に大作の「英雄交響曲」を完成させます。私生活では、やはり身分の違いから恋愛ではうまくいかないようです。さて、今回も少し長くなりそうなので、明日は少し間を入れてこのつづきはまた数日後。

【その他の作曲家の生涯はこちら】

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