久しぶりに読んだ村上春樹の大作。
ハードカバーで3冊でしたが(僕が読んだのは単行本6冊)でしたが、けっこうサクサク読めてしまう筆力はすごい。
今僕らが住んでいる世界と何かが違う世界で起こる・・・・ラブストーリーでいいかなぁ、表現は。
主人公は予備校講師の天吾(♂)とフィットネスインストラクターの青豆(♀)という小学校の同級生だった二人。
二人は女子高生の書いた摩訶不思議な小説「空気さなぎ」によって、今ある世界とは違う世界「1Q84」(そうです1984ではなく、ほんのちょっと違うね)で事件に否応なしに巻き込まれていくという、村上春樹的ワンダーランドのお話。
ネタバラシ的になりますが、天吾と青豆が再び出会うまでのお話なんですが、そこには数々の仕掛けがあってビックリ!
これはある読んだ方と共通の見解だったんですが、上前篇(単行本でいうとこの1冊目ね)のこの巻だけだけが読むのに若干時間がかかる。
世界が変わっていることに読者も戸惑うからだと。
後はジャンジャンいけますよ!
目に見えるものは全く同じはずなのに、何かがちょっとづつ違う世界。
小学校5年生以来逢うことも無かった二人が「空気さなぎ」によって吸い寄せられるていく。
空気さなぎの謎、リトルピープルとは?
何処かの分岐点が今の世界とは違う世界で起こる冒険物語。
村上春樹ということもあって文章の読みやすさは抜群です。
いつもそうなんですが、村上春樹の小説を読むと無性に小説を書きたくなる。
美味しいクッキーを食べた後に作りたくなるようなそんな気持ち。
読みやすいこそ難しいことに気づかせない、そんな文章です。
ストーリーはファンタジーでもない、リアリティーがそこかしらにありながらどこか不思議な物語。
働くということや、セックス、お腹がすくこと。
それらもちゃんと描写されながらも、空気さなぎが紡がれるシーンはとてもファンタスティックで幻想的、それでいてどこか不気味。
「ノルウェイの森」はどこか今の世界に馴染めない人達とのどこか悲しい物語だった。
鼠が出てくる「羊をめぐる冒険」、「ダンスダンスダンス」は今回と同様今と同じでありながら何かが違う世界の物語。
世界観や文章は共通しながらも今回は純愛を描いているところが新鮮。
春樹流ラブストーリーなんだぁ、って思った。