ザボンの香り

喜びや悲しみ、
ささやかな日常の想いを、エッセイで・・・

聖光学院・歳内投手の涙

2011-08-23 15:10:14 | 高校野球
今年の夏の甲子園。

例年以上に熱戦が多く、
延長戦やサヨナラ、1点差ゲームが多く、
開会式の選手宣誓の通り、本当に、
消えることのない絆と真心を、
甲子園球場から全国へ発信するかのような、
熱く素晴らしい大会だった。

悪い輩は、いるだろう。
“純粋な想い”や“大切な何か”に、
何の価値も見出せずに、正直者を嘲笑い、
破壊と暴力によって、他人を支配することしか考えないような輩は。


 強さだけを求めるならば、プロ野球を見ればいい。


高校野球の価値は、白か黒かの結果だけではない。
それこそ、何万色・南億色と広がる、色あいの豊かさ。

選手たちの躍動や、汗と涙の裏にある、
様々な色あいは、見守る私たちの胸に、きちんと届く。

1年生で立ったマウンドの悔しさを、3年生の夏に晴らした、如水館の浜田投手。

同じく昨夏大敗した点数表を、練習場に貼って、今夏見事に雪辱した、能代商の保坂投手と、攻守で守り立てたナインたち。

延長戦のピンチに、スタンド部員と心を一つにした関商工。

被災地の思いを背負って、粘り強く戦った花巻東と古川工。

そして、本当に強く、優勝候補筆頭の重圧をはねのけた、日大三。

その他多くの選手たちの真心は、見守った全国の人々の胸に、
爽やかに刻み込まれたことだろう。




特に、胸が締め付けられるほど強く、印象に残ったのは、
福島代表・聖光学院。

昨年、2年生にして優勝候補を次々と抑え、
全国の高校野球ファンの瞠目を、一身に集めた歳内投手は、
今年、一回りも二回りも大きく成長して、
甲子園に戻ってきた。

チーム全体が、背負うものは、ずば抜けて重かった。
加えて、原発事故のせいで、
守備練習や実戦経験が不足していたのが、見た目にも明らかだった。

それでも言い訳せず、全力プレーの果てに、
二回戦で甲子園を去ることになる。

試合直後は、泣かなかった歳内投手が、
足腰立たなくなるほど泣き崩れるのは、
応援スタンドの前へ、挨拶に行った時。

きっと、福島の人々の想いが、一気に押し寄せてきたのだろう。

   asahi.com『歳内、涙止まらず』
   ほぼ日刊イトイ新聞『福島の特別な夏』




高校野球とは、そういうものだと思う。
決して、一部の輩の不祥事に、汚されることはない。
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与え合う宝物

2010-08-24 20:22:05 | 高校野球
去年の秋から1年間、緩く見守ってきて、楽しかった高校野球。
クライマックスは、もちろん夏の甲子園だけれど、
7月下旬の、県予選が大詰めを迎える頃が、最も面白かったように思う。

先日も書いたように、全国の地図が毎日塗り替わって、
どこが甲子園に来るのか、本当にワクワクした。
ああ、あそこが負けてしまったか、としんみりもした。

「高校野球の真髄は、県予選にあり」という言葉が、腑に落ちた。

まるで、甲子園が付録であるかのように、
私は、県代表が次々決まっていく様子で、お腹いっぱいに満足した。

岐阜代表を決める、準決勝。
 県立岐阜商1-0大垣日大の試合。
息詰まる大接戦を制した県岐商は、燃え尽きたのか、
翌日、必ず勝てると言われていた土岐商に、敗れてしまった。
もし、決勝と準決勝の組み合わせが逆だったなら・・・・。

県岐商には、国体優勝・昨夏全国ベスト4のメンバー18人中、10人が残っていた。
3年生になった井貝星良選手など、私も甲子園で見たかった。

けれども、タラレバを言えば切りの無い高校野球。
土岐商の、甲子園での活躍善戦を見て、
岐阜県民も、気が治まったことと思う。

甲子園に出場する選手たちは、みんな各都道府県で激闘を勝ち抜いてきた。
あの土を踏むまでが、苦難の道。
踏んで以降は、全国の人々と共に盛り上がるお祭りのようなものかも知れない。

苦しい練習で鍛え上げた体と心と、身に着いた確かな技と、
「ここで終わりたくない。
 まだまだこのメンバーと一緒に、野球を続けたい」
そういう3年生たちの熱い想いが、
研ぎ澄まされた濃密な一瞬を生み、観る人の心を打つ、感動のプレーを呼ぶ。

 人が、人間であること。
 心から心へ、伝わる熱いもの。
 確かな感動を共有できた、という自覚。

高校野球は、世界にも稀有な、最高の文化だ。
担い手が、15~18歳の青少年であることが、
ますます美しさを際立たせる。
見守ることができる私たちは、なんと幸せなことか。
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興南、そして東海大相模

2010-08-23 19:35:41 | 高校野球
2010年・第92回全国高校野球大会は、
沖縄・興南高校の見事な春夏連覇によって、幕を閉じました。

 今年も、たくさんのドラマが展開され、感動をもらいました。

昨年の秋から一年間、
2010年の球児たちを緩やかな眼差しで見守ってきて、
そのゴールを見届けた、という感慨があります。

高校野球は、夏の大会がゴールです。
地方予選でも甲子園でも、負けたその日に3年生が引退し、
翌日から、1・2年生のみの新チームが始動します。

新チームは、来年の夏を見据えた猛暑の特訓に耐え、
秋の県予選を勝ち進み、10・11月の秋季大会の結果によっては、
春の選抜切符を得ることができます。

昨年の9月から、「興南・智弁和・帝京の新チームが強い」という評判が、
聞こえてきました。
けれども、秋の全国(神宮)大会1位2位は、大垣日大と東海大相模でした。
一二三慎太投手の名は、その頃から“期待の逸材”としてメディアに登場するようになります。

しかし、注目を集めた春の選抜、東海大相模は、初戦で敗退。
一二三くんは、夏へ向けて、どん底から再スタートしたことと推察します。
投球フォームを改造し、コントロールに苦しみ、
夏に間に合うかどうか、一か八かの挑戦と、努力の日々だったことでしょう。

神奈川県予選が始まるまで、東海大相模の名は、メディアから消えました。
けれども、県予選中盤、一二三復活のニュースと共に再浮上し、
見事、神奈川186校の頂点に立ち、甲子園へ戻ってきました。

4029校が、夏の甲子園の優勝旗を見据えて、挑んだ日々。
最後の最後に残った2校が、興南と東海大相模でした。

興南の猛攻にさらされ、13点取られても、真っ直ぐ胸を張って投げ続けた一二三投手。
門馬監督は、一二三自ら意思表示しない限り、投手交代させませんでした。
球場は9割方興南の応援、三連投という不利もある中、
打たれても打たれても、強い表情で投げ続けた一二三投手の根性、
そして降板後の穏やかな表情に、私は胸を打たれました。

制球難で評価が分かれるかも知れませんが、
3回戦・土岐商を相手に1安打完封という、会心の試合もあり、
一二三投手は、見事に雪辱を果たしたと思います。

春の選抜で見た時より、どのチームも、
強くたくましく引き締まっていて、高校生の成長に目を瞠りました。

そして、2010年の興南は、一際強いチームでした。
私が知る限り(あまり知りませんが)、史上最強だと思います。
先日も日記に書いたとおり、投・打・走・守が秀いでていただけでなく、
集中力・団結力、人間力までも含めた総合力が、優れていました。
心から、春夏連覇の偉業に拍手を贈ります。
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高邁自主の鐘よ、鳴れ

2010-08-20 15:03:49 | 高校野球
甲子園。
今日の準決勝。
興南6-5報徳学園は、見応えがあった。

 興南の春夏連覇が、鮮明に見えてきた。

絶対エース・島袋投手が、まさかの不調。
毎回ジャストミートされ、序盤にして5-0と差が開く。

一方、打線は――
報徳・大西投手のピッチングに打ちあぐんでいたが、
中盤になって繋がり始め、やがて爆発し、逆転する。

不調のエースを、打棒と機動力が盛り立てて、
総合力で、相手を圧倒してゆく様子が、圧巻だった。


昔、そういうチームがあった。
1976年(私が中3の頃だが)、春の選抜で優勝した崇徳高校だ。
 投手が不調の時は、打撃戦で打ち勝ち、
 好投手相手に打線が沈む時は、
 エース黒田投手が、1安打で完封して見せたりした。

 夏の県予選では、最大のライバル・広島商を、
 なんとノーヒットノーランで破って、甲子園出場。

 春夏連覇の期待が、今年と同じように高まる中、
 怪物サッシー・酒井投手を擁する長崎海星高校と、
 見事な投手戦を繰り広げた結果、1-0で敗れ、
 三回戦で、姿を消してしまった。

 キャプテンは、現在広島カープの山崎二軍監督。
 黒田・山崎・応武(早稲田大監督)・小川と、
 4人ものドラフト指名者を生んだ、大型チームだった。


あの投手力・攻撃力共に並外れていた、34年前の大型チームに、
今年の興南は、似ていると思う。

いや、プラスαの総合力を考えれば、'76崇徳以上の底力を、
今年の興南は、持っていると思う。



明日は、いよいよ決勝戦。
興南の校歌にある『高邁自主(こうまいじしゅ)の鐘』が、
高らかに鳴り響くことを、祈っている。
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中京大中京への拍手

2010-08-15 17:05:58 | 高校野球
今日になって、ここここなどの新聞記事や、
ファンの応援メセージなどを読んで、
私は、自分が恥ずかしくなった。

昨日の日記を顧みて、当事者を心配して、
 >この試合を乗り越えられる日が来るのか
などと、僭越なことを書いているが、
乗り越えられないのは、私自身の方であった。

春も夏も甲子園に出場し、大きな夢を見させてくれた。
どんなにたくさんのことを、君たちから学ばせてもらったことか。
中京大中京、ありがとう。
 去年と同じくらい、今年の君たちが、私は好きだ。
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中京大中京の敗因

2010-08-14 20:53:17 | 高校野球
慢心や気の緩みがどうこうよりも、
不運が歯車を狂わせ、平常心を奪った印象だ。
加えて相手の早実は、見事なジャストミートばかりだった。

  21対6という現実。

TVを観ながら応援していただけの私さえ、強いショックを受けた。
当事者たちの、心の傷を心配する。

あんなに心・技・体とも練り上げられた子たちに対し、
神様は残酷なことをするものだ。
人生も、あらゆる生命も、同じだと思った。

大藤監督も、選手たちも、
この試合を、乗り越えられる日が来るだろうか。

――今はただ、ひたすら疲れを癒してほしい。
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甲子園に繰り広げられるドラマ

2010-08-12 15:26:01 | 高校野球
広陵、まさかの初戦敗退。

左腕の興南(沖縄)・島袋。
右腕の広陵(広島)・有原。
この両投手が、2010年甲子園の双璧だった。

新聞各社も、優勝候補を問われれば、必ずこの両校の名を挙げた。
春の覇者・興南と、豪雨でベスト4に泣いた広陵。

両チームとも鍛え直されて、県予選を勝ち抜き、
充実して、甲子園に乗り込んできた。
“全国制覇”の4文字しか眼中にない、
そして、それにふさわしいチームだった。

 その広陵が、敗れるとは――。

聖光学院(福島)2年生・歳内投手が、有原投手に対抗して、一歩も譲らぬ投手戦。
そして、両校とも無失策の、見事な好守備戦。

明暗を分けたのは、有原投手の何ということない一球だった。
三振に打ち取った球が低過ぎて、捕手が捕れずに後逸。
その間に3塁走者にホームインされて、1対0。



3日前の、中京大中京vs南陽工を、彷彿させる試合展開。
あの試合も、今回に勝るとも劣らぬ、緊迫した好試合。

中京大中京は、不運な先制点を失った直後に、1チャンスで逆転した。
そこには、三塁コーチの隠れたファインプレーがあった。
校歌を歌う選手たちの、晴れやかな表情を見ながら、
「昨年のメンバーと同じくらい、私は、今年の中京大中京が好きだ」
としみじみ感じたものだ。
(南陽工も、良いチームだった)



広陵にも、中京と同じ逆転劇を期待したが、叶わなかった。


   野球の神様が創るドラマに、釘付け。
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第92回 全国高校野球選手権大会

2010-08-05 12:01:18 | 高校野球
我が家のリビングに、一枚の写真が貼ってある。
今から6年前、息子が小6の時に、スポ少ソフトボールで、
市大会優勝した時の写真だ。

息子は中学で他スポーツに転向したが、
写真に写っている13人のメンバーのほとんどは、野球部に進んだ。
しかし、高3になる今年、高校野球連盟名簿に載っていたのは、
下級生も含め、わずかに3人。

スポ少野球から中学野球部に進んだ子は、さらに大勢いたが、
やはり名簿に載っていたのは、5人ほどだった。

あんなに熱心だった野球少年たちさえ、全員が
高校球児になれるわけではないのだ。
好きという気持ちだけでなく、あらゆる運が関わってくるから。

 ましてや、甲子園などはるかに遠く、夢のまた夢だろう。

それでも、私が知ってる彼ら8人は、
別々の高校で、全員1回戦を突破した。
写真にいる2人が所属するチームは、愛知188校のベスト16まで勝ち進んだ。

幼い頃からの夢を諦めず、甲子園に果敢に挑戦した彼ら8人に、
私は心から拍手する。
そして、挑戦したくてもできなかった子たちにも、同じ拍手を贈りたい。
また、野球とは違う道を選んで、進んでいる子たちにも。


第92回甲子園大会の主役は、1992年生まれの3年生たち。
私にとっても特別な大会だ。

明後日の開会が、本当に楽しみ――
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中京大中京、愛知代表へ!

2010-07-30 15:52:55 | 高校野球
TVで、県予選準決勝と決勝を
リアルタイムで観たけれど・・・・もう、感無量。

全国制覇した昨年のチームと、顔つきも体つきも、
そっくりになりつつある今年の選手たち。

大藤監督の指導が、いかに徹底したものか、
優勝しても一本指で勝ち誇らない、マナーの良さを見ても分かる。

今夏限りで、勇退する大藤監督。
「大藤監督と一緒に、なんとしても甲子園へ」という、
強い思いでつながったチームが、
全国の注目を集めるプレッシャーを跳ねのけて、
激戦区・愛知188校の頂点に立った。

磯村主将を先頭に、全員で、真紅の大優勝旗を返還しに行く。

インタビューで
「選手たちに、ありがとうと言いたい気持ちで一杯です」
と、言葉を詰まらせる監督。

「大藤先生を信じて、楽しく思い切って甲子園で戦ってきたいです」
と、抱負を語るキャプテン。

   彼らに、長い夏がプレゼントされますように――

心から、おめでとう。
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高校野球地図

2010-07-26 11:39:48 | 高校野球
ここ連日、朝日comに入り浸りです。
甲子園大会地方予選も大詰めで、今日明日には、
半分以上の地区で、代表校が決定しますね。

春の選抜出場校や、昨年代表校のうち、
現時点で決まっているのは、
興南(沖縄)・聖光学院(福島)の、わずか2校のみ。
いかに各地区で激戦が繰り広げられ、トーナメントを勝ち残ることが難しいか、分かります。

個人的に、甲子園でもう一度見たかった、
自由が丘・帝京・長野日大・日大三・大垣日大・三重が、消えてしまって残念。

勝ち残っている高校のうち、
広陵・北照・中京大中京・智弁和歌山・県立岐阜商
・日本文理・常葉橘・東海大相模あたりは、
ぜひぜひ甲子園に戻ってきてほしいです。

猛暑が続く日本列島。
選手たちも、応援・観戦する皆さんも、
くれぐれも熱中症には気を付けて、心は熱く、燃えてください。
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光抱く若者たち

2010-05-29 16:13:54 | 高校野球
先日の新聞に、愛知大学野球リーグ春の首位打者は、
中京大1年生の山中渉伍選手が獲った、という記事が載っていた。
なんと、4割6分7厘の高打率。

山中選手は、昨年の中京大中京のキャプテンだ。
甲子園では、あまり当たっていなかったが、
攻守の実力は中学時代から折紙付き。

三番打者だった河合完治選手は、法政大へ。
3月に負ったケガから復帰して以降、
1年生ながら、法政大のレギュラー。
公式戦デビューは、ハンカチ王子からの2安打。
東京六大学野球の星になる日も、近かろう。

先日書いた堂林翔太選手の仲間たちは、みんな、
それぞれに頑張っている。

堂林選手自身も、1ヶ月ほど続いた不振から、
抜け出すような特大サヨナラホームランを打った。

若者たちの晴れやかな活躍を知ると、
胸に、涼風が吹き抜ける思い。


(3人が映った動画はこちら ↓)
  『2009年末ニュースハイライト・東海』
 http://www.youtube.com/watch?v=4H1f8EXo-7s
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がんばれ、中京大中京

2010-05-02 20:45:21 | 高校野球
今年の春の選抜高校野球で、
1日だけ、甲子園に観戦に行った。

3月29日、大会7日目。
ベスト8を賭けた第二回戦。
   神港学園(兵庫)- 中京大中京(愛知)
   智弁学園和歌山(和歌山)- 興南(沖縄)
の2試合を観てきた。
(3塁側内野席で、中京と興南を応援してきた)

生まれて初めての、甲子園球場。
スタンドに立った瞬間、思わず
「うわぁ!」
と感嘆の声が漏れた。


 広く、明るく、清らかな、美しい見晴らしだった。


眼下で、中京大中京の選手たちが、
試合前の練習をしている元気な姿を見て、
言うに言われぬ、幸せな気持ちになったものだ。

 ↓試合前の円陣


昨夏王者の重圧は、今年の彼らにとって、
きっと大きなものだったろう。
準々決勝で敗れた時の、辛い表情が、それを物語っていた。

今日の、春季愛知県大会の決勝も、
磯村主将をケガで欠き、敗れてしまったが、
きっと夏は大丈夫。

昨年のあの強かったメンバーと同じように、
引き締まった表情の、成長した彼らに会えることを、
私は心待ちにしている。



こちらは、対岸・智弁和歌山の全校応援。
試合前のエール交換が、非常に爽やかだった。

全員位置に着いて、いの一番に、キビキビした
「フレー フレー 興南!」の掛け声。
それを受けたこちら側のアルプス、大喜び。
しばらくしてから、
「フレー フレー 智弁!」というお返し。
それを受けて湧いて揺れる、Cの人文字、美しかった。


(投手:島袋洋奨、打者:山本定寛、走者:西川遥輝)
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2010・春の選抜高校野球

2010-04-03 21:16:28 | 高校野球
興南vs日大三の決勝戦、素晴らしかったですね。
島袋・山崎両投手の投げ合い、強力打線の打ち合い、
(守りのミスもあったけれど)美技の応酬、
延長12回の間、観る者を飽きさせない、白熱した展開でした。

興南は、昨年の春夏、2年生投手島袋の好投に報いることができず、
初戦敗退した悔しさを、雪辱しようという気迫と決意が、
今年の打線には、一回戦からみなぎっていましたね。

攻守走投と同時に、強い意志が、他校と一線を画していたように思います。

その興南と互角の戦いを見せた日大三もまた、
勝利への意志を強く感じさせるチームでした。

今年の選抜は、雨と寒さにたたられ、
あまり良いコンディションで試合できない日が多く、
盛り上がりが削がれる大会だったかも知れません。

けれど、今日行われた、締めくくりの決勝戦が、
本当に熱く清々しい試合だったことが、嬉しいです。

3月21日に行なわれた開会式(you-tube動画)も、
黄砂と強風のため、導火線花火も空撮もない、寂しいものでした。
昨年の開会式と比べると、よく分かります)

けれども、北照キャプテン・西田くんの選手宣誓は、
歴代最高だったと思います。
文章も、読み方も、間合いも、発声も、全てが素晴らしかった。

(動画がないので、全文書き起こしてみました)
『 宣誓!
 北の大地・北海道から、南は沖縄まで、
 全国4132校の代表として、
 幼いころから憧れた夢の舞台、
 この甲子園でプレーできることに、
 喜びと感動の気持ちで一杯です。
 我々は、常に全力疾走・フェアプレー精神・
 白球を追い求めるひたむきな姿を貫き、
 全ての皆様に感謝の気持ちを伝えます。
 全国の高校球児の想いを背負い、
 野球の素晴らしさを伝えるべく、
 一新された甲子園で
 威風堂々、心を込めて戦い抜くことを誓います。

  平成22年3月21日
   選手代表・北照高等学校野球部主将、
       西田明央(にしだ・あきひさ)』





今大会もまた、たくさんの感動をもらいました。
16歳と17歳の少年たちが繰り広げた、豊かな絵巻物語。

夏の本番へ向かって、彼らはまた、走って行くのですね。
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中京大中京と花巻東

2010-03-16 09:46:04 | 高校野球
先日書いたように、スカパーで長期にわたって再放送していた、
2009年夏の甲子園大会全試合が、ようやく一昨日で完結した。

最後の試合は、準決勝の中京大中京vs花巻東だった。
(決勝戦は、お正月に放送済みなので)

エース菊池雄星投手を、背筋痛で欠いた花巻東が、
結果的には11対1の大差で敗れるのだが、
それでも、見ていて強く胸打たれる試合だった。

それは、両校の戦いぶりの故だと思う。

中京大中京は、攻守走・心技体共に鍛え抜かれた、圧倒的総合力が光る。
春の選抜で優勝候補ながら無念のベスト8に甘んじた、
その忘れ物を取りに、夏の甲子園に戻ってきた。

花巻東は、岩手県や東北六県(ひいては日本中)の希望の星。
春の選抜は、僅差の準優勝。
今度こそ全国優勝旗を岩手に持って帰るという、強い意志で固まっている。

中京大中京の職人技と、花巻東の粘りと懸命さに、
観る者は瞠目させられっ放しだ。

また解説が、選抜優勝した清峰高校の吉田監督で、
自分の体験や気持ちを織り交ぜた名解説で、感動した。

「春の選抜で決勝まで残ると、気持ちが燃え尽きてしまう。
 そこから夏へ向けて、モチベーションや体調を再び高めることが
 なかなか難しい。相手からも徹底的に厳しくマークされる。
 うちのチームも一生懸命戦ったが、県予選を勝ち抜けなかった。
 そんな中で、夏の全国準決勝まで勝ち残った、花巻東は立派だ」

9回・実況アナ
 「キャプテンが目指したのは、
  良い時だけでなく、苦しく負けている時でも、
  みんなが明るく元気よく、笑い合えるチームだそうです」
解説者
 「それが本物であることを、今、証明してくれていますね」

試合終了後・実況アナ
 「花巻東は、誰一人として甲子園の砂を持ち帰りません!」
解説者
 「甲子園の砂以上に、本当に大切なものを、
  おそらくもう、彼らは手中にしたのでしょう」


     泣ける~


とどめに、この時の堂林投手(中京大中京)の勝利インタビュー
「花巻東の懸命なプレーは、僕たち中京全選手が目に焼き付けたので、
 明日の決勝戦は、それを忘れずに、全力を尽くしてがんばります」




菊池くんも堂林くんも、プロへ入団して、
現在、最初の試練と戦っている最中。
未来しか見ていないだろうけど、
そして予想外に苦しいことが多いだろうけど、
確かな過去が、きみたちを支えているよ。
 頑張れ。
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夏の甲子園に浸る幸せ

2010-01-28 15:38:31 | 高校野球
スカパー・スカイAスポーツ+では、昨年10月から、
2009年の夏の甲子園大会・全試合を、
少しずつ再放送している。

今、ようやくベスト8が出揃った所まで来た。
見たかった試合をコツコツと録画して見る時間や、
いらないCMを削除するのが煩わしい作業だなぁ、と思っていたが、
雑誌や『熱闘甲子園』などにより、かなり情報が私の中で成熟してきて、
今では、どこを削るか考えながら編集するのが、
楽しく幸せな時間になっている。

(私と同世代で、完全試合を達成した、
 前橋高校の松本稔投手が、解説席に座る姿を見た時は、
 テンションが上がった。
 知的で爽やかで、非常に分かりやすい解説だった)


「新潟に 岐阜に 岩手に 愛知かよ」

これは、2ちゃんねるで見つけた川柳だ。
2009年の甲子園は、帝京でもPL学園でも智弁和歌山でも、
そして常連の九州・四国勢でもなく、
新鮮な地方の代表が、ベスト4に残った。
そこがまた良い。

私は、中京大中京・県岐阜商・花巻東が特に好きだ。
帝京も魅力的なチームだな、と思う。
智弁和歌山が敗れる試合を昨日見たが、
高嶋監督と選手たち、特に岡田投手との信頼関係に、
胸が熱くなった。
敗れ行く姿の美しさこそ、高校野球の真髄。
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