花と竜
下巻は一日で読み終えた
痛快無比、理屈抜きで面白い
読み終えた翌日・・・何の因果か・・・TVで放映・・・
石原裕次郎版ですが
これは一時の任侠ブームにも乗っかったようですが
何作も映画化された小説です
古くは藤田進から始まり
裕次郎+浅丘ルリ子、中村錦之助+佐久間良子、高倉健+星由里子、渡哲也+香山美子、村田英雄など
他TVドラマとしても取りあげられています
原作とは勿論違う部分もありますが、意外と盛沢山にエピソードが挿入されています
主人公玉井金五郎は松山の出身
養子先の白痴的大女に迫られても、妖艶な壺振師お京やその娘お葉にいくら言い寄られても
据え膳は一切食わなかった、自制心の強い?男です
マンは広島の出身で、拾ったタバコの葉で罪に問われ九州に飛びだします
小屋で襲われそうになっても、必殺キン掴みで男を撃退します
浮気した金五郎もやられました
菊の花が好きです 刺青にも菊を入れます
お京
道後の賭場で初めて出会い、生涯に渡って金五郎を慕い、金五郎も心ではずっと想っている
聯合組の遠足で武蔵温泉に向かうが、そこで再開した二人
金五郎に刺青をしたいお京
竜のように中国大陸で羽ばたきたい金五郎
ようやく決心し昇り竜を彫る
マンの好きな菊も入れる
後に分かることとなるが、刺青の中にお京は密かに・・・「京」の文字を入れる
岩崎加根子もこの頃は美しい
マンにプレゼントする金五郎
キセル煙草吸いだから 懐中ランプとか点火器というもの
今で言うライター
このあとライター欲しさにチンピラに襲われるが、海に投げ込んでしまう
怒ったチンピラに得意のキン掴みで撃退する
ヤクザもんの巣若松 その最大勢力の親分 吉田磯吉
石炭の積み出し港として栄えた若松で混乱をまとめて発展に貢献したと言われる
後に衆議院議員となり、若松には銅像まで建っている
盃を素直に受けなかった為か、あとあとまで対決する場面もあったようだ
向かって左が生涯の宿敵友田喜造
小説の下巻では、この生死をかけた対決場面が出てくるが
映画ではなんとも中途半端な終わり方としていて・・・ガッカリした
これがないと・・画竜点睛を欠くと思うのだけど・・・
昔の侠客には女もいたようだ
「ドテラ婆」という大女
後に金五郎が瀕死の重傷を負うが、その黒幕だと疑われ
身に危険が及ぶために見舞いに行くが
密かに短刀を抜いて背に隠して狙うマンにビビって・・・震える
マンさんは凄い人だ
ウチの母親を思い出す
チンピラに絡まれた時に
「叩くなら叩いてごらん!わたしゃお父さんにも叩かれたことはない!叩けるものならやってみなさい!」
とビシ!っと言い放ったことがある 自慢の母親だ
快く思わぬ連中に殴りこみをかけられる
手下には一切手を出すなと2階に押し込め、一人で待つ
ありったけの提灯に火を灯し
大きなたらい桶に水を張り
大刀2本 その様に・・・襲撃者はみんな尻尾巻いて逃げ去る
ラムネ好きというのが面白い
手下にラムネ屋をやらせたりしている
実は金五郎は暴力が嫌い
ヤクザの集積場のような若松で、争いを避け
卑怯な親分には寄りつかず
働く者の為に組合を作り
若いころから皆に慕われた人物だったらしい
その為に妬ましく思うものも少なからず・・・
組を張り、組合を作って益々男をあげていく金五郎
嫉むチンピラに斬られる・・・
コレラ流行の時にも感染しなかった強靭な身体・・・こんなに斬られても・・・死なない
映画が・・・怪我が治ったところで・・・終わった
なんなんだよ~
確かに小説でも大正期は抜けていて、いきなり市会議員になって上京する場面から始まる
あとがきでは
火野葦平もそれに至る大正期も書きたいと書いてあったが、、果たされなかったようだ
下巻では宿敵友田との一騎打ち
お京の娘のお葉
お京との再会
なかなか見どころがあって、ここを省かれたんではたまらない
文句言ってもしょうがないが・・・
昭和20年 強制疎開によって玉井組の家は無くなったが
こんな標識板もあるようです
なんともタイミングの良いTV放映でした