今回は、八代 一夫さんの”SIDE by SIDE 2.”のお話をします。
八代 一夫さんは、ジャズピアニストで、その”SIDE by SIDE 2.”は、軽妙なタッチと素晴らしい良い音の録音で私のお気に入りです。
■1)アバウト、八代 一夫さん
昭和5年2月、東京生まれ、本名:屋代和雄、通称「やっちん」。
戦中の疎開先で独学でピアノを学び、サラリーマン生活の後、昭和23年プロデビュー、ジャズ・ピアニストとして活動。 オスカー・ピーターソンに憧れ、エロル・ガーナーのナンバーを得意とした。
1950年代に入ってから頭角を現わし、海老原啓一郎とミッドナイト・サンズ、高見健三とミッドナイト・サンズ、小野満とフォー・ブラザースなど日本のモダンジャズ創世記の有名バンドを経る。
特に白木秀雄クインテットでは作曲やアレンジでも活躍し、昭和33年1(1958)には白木秀雄クインテットのピアノの座を世良譲に譲り、八城一夫トリオを結成。後に昭和35年(1960)には渡辺貞夫(as)を加えカルテットとなり、渡辺貞夫がアメリカ留学に出発するまで続いた。
渡辺貞夫留学後は再びトリオに戻し、又、八城一夫クインテットや1986年には7重奏団のスーパー・ジョッキー・クラブを結成し、80年代に入っても意欲は衰えなかった。
全盛期にはジャズクラブは無論、TV・ラジオなどで幅広く人気を集めた。
また、“菅野録音”と呼ばれるレコーディング・エンジニア(現・オーディオ評論家)菅野沖彦の録音による数々の名作を発表した。
主な受賞名〔年〕ジャズ・ディスク大賞(最優秀録音賞 第10回・11回)〔昭和51年・52年〕
没年月日平成3年 7月13日 (1991年) 合掌
■2)”SIDE by SIDE 2.”
【キャッチコピー】
”菅野沖彦氏(菅野邦彦さん(p)の兄)が録音したオーディオ・ラボ・レコード。
1970年代に当時最高の技術を駆使した高品位録音で一世を風靡したオーディオ・ラボの歴史的音源を、ハイエンド・ディスクの頂点とも言える「ダイレクト・カットSACD」として発売。 A面をベーゼンドルファー、B面をスタインウェイで収録しているという、贅沢な趣向、楽器とホールにあわせたアレンジの妙、、そして菅野沖彦氏の録音が出会った稀な名盤がこちらの「SIDE by SIDE」シリーズです。八城一夫は、硬質なタッチから繰り出す最高にスウィンギーなプレイで、戦後ジャズ・ブームに大活躍したピアニストで、自身のカルテットには若かりし頃の渡辺貞夫(as)も参加していました。これぞニッポンのジャズ。
パーソネル:原田政長< b>, 五十嵐武要<ds>, 潮先郁男<g、Eg >, 八城一夫<P>
キャッチコピーでも判る様に、本物のピアノトリオのオーディオチェックは、SIDE BY SIDE2でがいいですね。1975年10月11日録音(SACDハイブリッド)ですが、オーディオラボによる超高音質録音です。全使用マイク(ピアノは、ノイマンU-87×2個(これ欲しいですね)、ベースは、Schoeps CMT-56、ドラムは、AKG-D-24とAltec M-50×2個)から、各楽器のポジションまでライナーノーツに記載されています。また、A面は、ウイーンの名器ベーゼンドルファーで、B面は、ハンブルグの生んだスタンウェイが聞き比べできます。
私は、特許で他社を差別化しオールマイティで高ダイナミックレンジのスタンウェイより、繊細でガラス細工のような音色のベーゼンドルファーの音が好きです。
写真を載せます。

裏もついでに。

■3)ベーゼンドルファーの音が楽しめる、1~6曲目
ベーゼンドルファーは、何回か経営難に陥り、2008年にヤマハの子会社となった。ジャズ界においては、オスカー・ピーターソンが「ベーゼン弾き」としてよく知られている。
ベーゼンは楽器に心があるかのように、「こう弾きたい」っていう志があると「こうしてみるといいよ」と、楽器が教えてくれたり、何も考えないで弾くと、とても酷い音がするというように、奏者を成長させてくれる楽器とのこと。私は、弾けないので分かりませんが。
ここでは、3曲目の”So Tired”が好きなので、印象を。ピアノ、ベース、ギタートリオ
ゴージャスなイントロの後、テーマから入るが、ベースとアコースティックギターのリズムセクションがいいサポートをして、トリオの妙味がある。途中、エレキギターのソロがあるが、軽い感じで洒落たメロディ弾き流し、オールドファッションドだが、癒される。また、ピアノに戻り、テーマをしばし。ピーターソンとガーナーを混ぜて、和風の調味料を加えたような、美しいアドリブフレーズである。ピアノの洒落た節回しでエンディング。
ライナーノーツに、各楽器の位置も記載されている。左にベース、中央奥にピアノ、右にギターである。これを、620A系で聴くと、きっちり、その場所に聴こえてくる。
■4)スタンウェイの音が楽しめる、7~10曲目
スタンウェイは、上手い人はもちろんのこと、そうでない人が弾いてもそこそこゴージャスな音がするので、自分のアイディアを試すにはいいとか。
ここでは、私がこのアルバムで一番大好きな、9曲目の”Joy Spring”の印象を。ピアノ、ベースのデュオ。これ、ベーゼンでも聴きたかったなあ。
ミディアムテンポの陽気なテーマで始まる。ベースのリズムが心地よい。ここからは、掛け合いでアドリブが進行する。ピアノのアドリブに寄り添うベースのリズムが実に聴いていて楽しい。まるで、楽しそうに2人が会話を楽器で楽しんでいるよう。ベストといえる、間でお互いが、お互いを埋めあっている。デュオの醍醐味。途中のベースソロでは、ピアノが、リズムセクションとなり上手く掛け合っている。最後は、ピアノに戻り、エンディングは、テーマをピアノが流しつつベースが合いの手を打ちつつ寄せる波のように何回も寄せて終わる。粋だなあ。
ライナーノーツの各楽器の位置は、左奥にベースで、中央前にピアノで、きっちり定位はその通り聴こえる。
■5)世界三大ピアノ
上記2つのピアノにベルリンのべヒシュタインを入れて、よく知られる三大ピアノになる。べヒシュタインは、ピアノのストラディバリウスとも呼ばれ、リストやドビッシーやジャズでは、チック・コリアが絶賛した。しかし、2002年韓国の楽器メーカー・サミックと提携することになった。提携とはいうものの、本によっては、子会社化したと書いているものもある。これは、第二次大戦によって工場は跡形もなく焼け落ち、戦後再建はされたものの50年も前からアメリカのボールドウィンの傘下に入るなどして命脈を繋いだ。その後はドイツ人の手に経営が取り戻されたものの、往年の栄華を取り戻すまでには至らぬまま、韓国メーカーとの提携に踏み切った。サミックの資力と販売網(そして恐らくは大量生産の技術も)を活用しようという目論見かもしれない。今では、韓国で作られたアカデミーシリーズなるものもあるようです。また、近年の独製のべヒシュタインのグランドも昔の良いものとは音が違うと言う意見もある。この様な事情は、ベーゼンがヤマハの子会社となったのと似たようなもので、スタンウェイも普及品の製造販売を決断し、ボストンピアノが生まれたが、これは、カワイ楽器の製造であり、近年ではさらにその下を担う中国製のエセックスが登場した。尚、この世界三大ピアノを、日本では唯一、杉並公会堂が所有している。
次回は、私の好きなチャーリー・パーカーさんの”ナウズ・ザ・タイム”のお話をします。
八代 一夫さんは、ジャズピアニストで、その”SIDE by SIDE 2.”は、軽妙なタッチと素晴らしい良い音の録音で私のお気に入りです。
■1)アバウト、八代 一夫さん
昭和5年2月、東京生まれ、本名:屋代和雄、通称「やっちん」。
戦中の疎開先で独学でピアノを学び、サラリーマン生活の後、昭和23年プロデビュー、ジャズ・ピアニストとして活動。 オスカー・ピーターソンに憧れ、エロル・ガーナーのナンバーを得意とした。
1950年代に入ってから頭角を現わし、海老原啓一郎とミッドナイト・サンズ、高見健三とミッドナイト・サンズ、小野満とフォー・ブラザースなど日本のモダンジャズ創世記の有名バンドを経る。
特に白木秀雄クインテットでは作曲やアレンジでも活躍し、昭和33年1(1958)には白木秀雄クインテットのピアノの座を世良譲に譲り、八城一夫トリオを結成。後に昭和35年(1960)には渡辺貞夫(as)を加えカルテットとなり、渡辺貞夫がアメリカ留学に出発するまで続いた。
渡辺貞夫留学後は再びトリオに戻し、又、八城一夫クインテットや1986年には7重奏団のスーパー・ジョッキー・クラブを結成し、80年代に入っても意欲は衰えなかった。
全盛期にはジャズクラブは無論、TV・ラジオなどで幅広く人気を集めた。
また、“菅野録音”と呼ばれるレコーディング・エンジニア(現・オーディオ評論家)菅野沖彦の録音による数々の名作を発表した。
主な受賞名〔年〕ジャズ・ディスク大賞(最優秀録音賞 第10回・11回)〔昭和51年・52年〕
没年月日平成3年 7月13日 (1991年) 合掌
■2)”SIDE by SIDE 2.”
【キャッチコピー】
”菅野沖彦氏(菅野邦彦さん(p)の兄)が録音したオーディオ・ラボ・レコード。
1970年代に当時最高の技術を駆使した高品位録音で一世を風靡したオーディオ・ラボの歴史的音源を、ハイエンド・ディスクの頂点とも言える「ダイレクト・カットSACD」として発売。 A面をベーゼンドルファー、B面をスタインウェイで収録しているという、贅沢な趣向、楽器とホールにあわせたアレンジの妙、、そして菅野沖彦氏の録音が出会った稀な名盤がこちらの「SIDE by SIDE」シリーズです。八城一夫は、硬質なタッチから繰り出す最高にスウィンギーなプレイで、戦後ジャズ・ブームに大活躍したピアニストで、自身のカルテットには若かりし頃の渡辺貞夫(as)も参加していました。これぞニッポンのジャズ。
パーソネル:原田政長< b>, 五十嵐武要<ds>, 潮先郁男<g、Eg >, 八城一夫<P>
キャッチコピーでも判る様に、本物のピアノトリオのオーディオチェックは、SIDE BY SIDE2でがいいですね。1975年10月11日録音(SACDハイブリッド)ですが、オーディオラボによる超高音質録音です。全使用マイク(ピアノは、ノイマンU-87×2個(これ欲しいですね)、ベースは、Schoeps CMT-56、ドラムは、AKG-D-24とAltec M-50×2個)から、各楽器のポジションまでライナーノーツに記載されています。また、A面は、ウイーンの名器ベーゼンドルファーで、B面は、ハンブルグの生んだスタンウェイが聞き比べできます。
私は、特許で他社を差別化しオールマイティで高ダイナミックレンジのスタンウェイより、繊細でガラス細工のような音色のベーゼンドルファーの音が好きです。
写真を載せます。

裏もついでに。

■3)ベーゼンドルファーの音が楽しめる、1~6曲目
ベーゼンドルファーは、何回か経営難に陥り、2008年にヤマハの子会社となった。ジャズ界においては、オスカー・ピーターソンが「ベーゼン弾き」としてよく知られている。
ベーゼンは楽器に心があるかのように、「こう弾きたい」っていう志があると「こうしてみるといいよ」と、楽器が教えてくれたり、何も考えないで弾くと、とても酷い音がするというように、奏者を成長させてくれる楽器とのこと。私は、弾けないので分かりませんが。
ここでは、3曲目の”So Tired”が好きなので、印象を。ピアノ、ベース、ギタートリオ
ゴージャスなイントロの後、テーマから入るが、ベースとアコースティックギターのリズムセクションがいいサポートをして、トリオの妙味がある。途中、エレキギターのソロがあるが、軽い感じで洒落たメロディ弾き流し、オールドファッションドだが、癒される。また、ピアノに戻り、テーマをしばし。ピーターソンとガーナーを混ぜて、和風の調味料を加えたような、美しいアドリブフレーズである。ピアノの洒落た節回しでエンディング。
ライナーノーツに、各楽器の位置も記載されている。左にベース、中央奥にピアノ、右にギターである。これを、620A系で聴くと、きっちり、その場所に聴こえてくる。
■4)スタンウェイの音が楽しめる、7~10曲目
スタンウェイは、上手い人はもちろんのこと、そうでない人が弾いてもそこそこゴージャスな音がするので、自分のアイディアを試すにはいいとか。
ここでは、私がこのアルバムで一番大好きな、9曲目の”Joy Spring”の印象を。ピアノ、ベースのデュオ。これ、ベーゼンでも聴きたかったなあ。
ミディアムテンポの陽気なテーマで始まる。ベースのリズムが心地よい。ここからは、掛け合いでアドリブが進行する。ピアノのアドリブに寄り添うベースのリズムが実に聴いていて楽しい。まるで、楽しそうに2人が会話を楽器で楽しんでいるよう。ベストといえる、間でお互いが、お互いを埋めあっている。デュオの醍醐味。途中のベースソロでは、ピアノが、リズムセクションとなり上手く掛け合っている。最後は、ピアノに戻り、エンディングは、テーマをピアノが流しつつベースが合いの手を打ちつつ寄せる波のように何回も寄せて終わる。粋だなあ。
ライナーノーツの各楽器の位置は、左奥にベースで、中央前にピアノで、きっちり定位はその通り聴こえる。
■5)世界三大ピアノ
上記2つのピアノにベルリンのべヒシュタインを入れて、よく知られる三大ピアノになる。べヒシュタインは、ピアノのストラディバリウスとも呼ばれ、リストやドビッシーやジャズでは、チック・コリアが絶賛した。しかし、2002年韓国の楽器メーカー・サミックと提携することになった。提携とはいうものの、本によっては、子会社化したと書いているものもある。これは、第二次大戦によって工場は跡形もなく焼け落ち、戦後再建はされたものの50年も前からアメリカのボールドウィンの傘下に入るなどして命脈を繋いだ。その後はドイツ人の手に経営が取り戻されたものの、往年の栄華を取り戻すまでには至らぬまま、韓国メーカーとの提携に踏み切った。サミックの資力と販売網(そして恐らくは大量生産の技術も)を活用しようという目論見かもしれない。今では、韓国で作られたアカデミーシリーズなるものもあるようです。また、近年の独製のべヒシュタインのグランドも昔の良いものとは音が違うと言う意見もある。この様な事情は、ベーゼンがヤマハの子会社となったのと似たようなもので、スタンウェイも普及品の製造販売を決断し、ボストンピアノが生まれたが、これは、カワイ楽器の製造であり、近年ではさらにその下を担う中国製のエセックスが登場した。尚、この世界三大ピアノを、日本では唯一、杉並公会堂が所有している。
次回は、私の好きなチャーリー・パーカーさんの”ナウズ・ザ・タイム”のお話をします。
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