オーディオ彷徨録~JBL4331AからALTEC620A~

今までのオーディオの改良や音楽の遍歴に、今後の改善も紹介。いい音に繋がる方法を色々模索したことや、好きな音楽を紹介する。

2017.6/18 芦屋フィルハーモニー管弦楽団 第7回 定期演奏会

2017-06-18 18:49:44 | クラシック
 先週は、神大のサマーコンサートに行きましたが、その会場で芦屋フィル 第7回 定演のチラシを貰い、プログラムの最後に私の大好きな、ショスタコーヴィチのNo.5があったので、迷わず聴いてみました。チケットが1000円というのも有難いです。

 ■1)会場”芦屋ルナホール”について
 会場は、芦屋ルナホールです。着いてから気がついたのですが、このホールには、娘が小さいころバレエの発表会に出るので来たことがあるということです。阪急芦屋川を下車7分です。外はこんな感じです。

 大ホール(700名収容)でしたが、中は、こんな感じです。カルメン終了時。音も非常に良かった。

 定在波対策としては、舞台奥の横方向の2本の金色の円柱曲面と、側壁にある3本の縦方向の金色の円柱曲面である。観客側の側壁面ももっと曲率の大きい紺色の円柱曲面で構成されている。又天井は、一部を吹き抜けにして高くなっているので、定在波にも残響にも良い効果を期待できる。
 最近聴いたコンサートホールを並べてみると、
 4/25 "いずみホール”の大ホール    821席  音が良く響きも自然
 6/12 "神戸文化ホール”の大ホール  2043席  若干こもった感じ。
 6/18 "芦屋ルナホール"の大ホール   700席  残響は少し短めか。音がダイレクトに飛んでくる。非常に満足。   
 ということになるが、比較的小規模のホールの方が、私にとっては音がよく聴こえる。

 ■2)芦屋フィルハーモニー管弦楽団
 平成11年12月設立のアマチュアの管弦楽団で常任指揮者は、今回も指揮を執っておられる ”坪井 一宏”氏です。

 ■3)ミニコンサート
 14時から開演ですが、その前にクラリネットでミニコンサートをロビーで聴けました。以下は、13:40の光景

 ”星に願いを”、他3曲を聴きました。

 ■4)プログラム
 14時開演で、16時終了でしたが、プログラムは、以下

 ①歌劇 『魔弾の射手』序曲 ウェーバー
 ②歌劇 『カルメン』 組曲 ビゼー
 ③交響曲 第五番  二短調『革命』 ショスタコーヴィチ
 指揮 坪井 一宏 (②では、ヴァイオリンも披露)尚、②と③は秘密の関係がある。■7)参照。

 ■5)『魔弾の射手』の感想
 前回も書いていましたが、私は、ジャズファン、クラシックは門外漢ですので、感想といってもあてにはなりません。クラシックの良し悪しを論ずる程の見識はありませんので。

 ①歌劇 『魔弾の射手』序曲 ウェーバー  ~17分
 ボヘミアを舞台としたメルヘンを基に書かれたオペラ。領主の侯爵に仕える森林長官の2人の部下マックスとカスパールのマックスは、長官の娘アガーテと相愛だったが侯爵の命で射撃大会に優勝したものが、アガーテと結婚することとなる。マックスは玉が当たらないことに絶望する。カスパールは、狼谷で悪魔に頼みこみ、自分の玉の7発中6発が命中し、残りの1発は悪魔の望むところに命中するという魔弾を作る。しかし、当日は逆にマックスが魔弾で優勝し、最後の1発はアガーテに向かって発射されるが、森の隠者からかぶらされた花冠でアガーテは守られ、カスパールに命中し死ぬ。事情を聴いた侯爵は、激怒し、マックスの追放を命ずるが、隠者が現れマックスを許すように諭す。侯爵は従い、マックスとアガーテは結婚を許される。
 演奏の感想:最初は、荘厳な弦と管の交歓、これは、森の神秘を表す。その後、Hrの主体の賛美歌にも使用されるゆっくりした旋律が現れる。そこからは、不気味でスリリングな旋律、これは、悪魔の動機か?アップテンポに変わり、マーチ風の弦から管が加わった合奏。ここは、狼谷のシーンか?その後、Clと弦(ピチカート&弓)の交歓があり、テンポアップする。これは、アガーテのテーマ?一転、静かになる。ここは、カスパールの死?かマックスの絶望か?ブレーク後に、ダイナミックなクライマックスが来て、2人の結婚が許される。

 ■6)『カルメン』の感想 
  ②歌劇 『カルメン』 組曲 ビゼー
 カルメンは、最近、NHKのクラシック音楽会でも外人歌手も招聘したオペラで聴いたので、ストーリーは省きます。皆さんもご存知の方が多いでしょう。エスカミーリョが闘牛場に入った後、復縁を迫ったドン・ホセが、惚れたカルメンに指輪を投げつけられ、激昂したホセは、カルメンを刺し殺し呆然とするという、人類の普遍的なテーマです。今回は、9曲を演奏されましたが、1曲目、5曲目、7曲目、9曲目の感想を下記します。
 1曲目『第一幕への前奏曲』、2曲目『アラゴネーズ』、3曲目『第三幕への前奏曲』、4曲目『セギディーリャ』、5曲目『ハバネラ』、6曲目『ミカエラのアリア』、7曲目『闘牛士の歌』、8曲目『衛兵の交代』、9曲目『ジプシーの踊り』

 1曲目『第一幕への前奏曲』
  アップテンポのお馴染みの気忙しいテーマが、ほぼ全楽器で演奏されてから、弦主導のテーマへ。途中、CymやTGも加わって、これからカルメンが情熱的な歌で工員の男たちを魅了して争いを起こすことを予期させるような、メリハリの利いた演奏です。
 5曲目『ハバネラ』 (この曲と、次の6曲目で指揮者がVnを非常に美しく弾いた。)
  チェロの重厚でリズミカルなテーマで始まる。管(Fl、Cl等)がこれに続く。Tgも時に入る。民族音楽風でコミカルな舞曲風のテーマが繰り返され、コミカルに突然のエンディングを迎える。
 7曲目『闘牛士の歌』
  これもお馴染みのメロディがほぼ全楽器で演奏されてから、TbからTpへ移り、Tpの物憂げなセレナーデ風のテーマからマーチ風の力強い行進曲風のテーマで突然エンディング。
 9曲目『ジプシーの踊り』
  FLの軽快でリズミカルなテーマをFlと弦(ピチカート含み)で舞曲風に交歓していく。管は、ClからFgに移って、Tgやタンバリンも現れた後、Tpがアップテンポでテーマを奏してから、クライマックスへ突入する。シロホンも加わって、全楽器が爆発する。この爆発はアマチュアと言えど、凄い迫力であった。
 カルメンが終わり、『革命』を演奏する前の音あわせ時の舞台です。


 ■7)交響曲 第五番  二短調『革命』の感想⇒指揮者談、ここまでの大作は初めてとのこと。
 ③交響曲 第五番  二短調『革命』 ショスタコーヴィチ
 作品の構想に関しては今なお謎が多いが、2000 年のベンディツキーの論文をはじめ、近年「引用のカモフラージュ」について興味深い指摘がなされている。ショスタコーヴィチには1934 年来、エレーナというロマンスの相手がいた。エレーナは、1932 年に結婚したばかりのショスタコーヴィチが真剣に離婚を考えたほど熱烈に愛した女性であったが、作曲家に長女が生まれ、またエレーナが密告で逮捕されたことなどから、2 人の関係は終わったという。その後、1936 年に出所した彼女はスペインに渡り、著名な映画監督ロマン・カルメンと結婚する。「プラウダ批判」による絶望・恐怖と、エレーナへの愛ここからベンディツキーは秘められた「愛と死」のテーマを指摘し、「愛」の側面の音楽的根拠として、ビゼーの《カルメン》との関連を第1・第4 楽章で指摘した。そこでは冒頭からの明らかな引用を避けつつも、《カルメン》の音列・リズム・テンポ・調性を巧みに変化させている様子が観察されている。2003 年、2007 年に刊行されたショスタコーヴィチ新全集の解説でもこの解釈が踏襲され、さらに第2 楽章においても両者の関連性が指摘されている。さらに終楽章のコーダでは、ラの音(ロシア語では「リャ lya」)を連呼することによって、エレーナの愛称であった「リャーリャyalya」とロシア語で「私」を意味する「ヤー ya」が同化されている。(N響の2015.2月号での新主席指揮者パーヴォ・ヤルヴィの紹介の下に続く(中田朱美)さんのショスタコービッチNo.5の解説から)

 私は、今までスターリンを打倒する革命をひそかにテーマとして隠していると前回のブログで考えたと記載したが、最近調べたところの上記では、不倫の恋人との愛をNo.5に隠していたとは、驚きです!愛は革命より強し、とはこのことか??意外に艶っぽい。イヤハヤ参りました。この曲の作曲動機については種々の解釈があり真偽論争が決着していないということであるが、この辺に真実があるのかもしれませんね。そんなことは関係なく、私はこの曲が大好きです。いやより好きになりました。指揮者の坪井 一宏さんは、きっと上記を知っていて、②カルメンと、③No.5を選んだんでしょう。音楽的に聴いてこれを判る人は尊敬します。

 第1 楽章 モデラート ニ短調 4/4 拍子。
 変形したソナタ形式。呈示部では①序奏主題、②フリギア旋法(ラ―ソ―ファ―ミ♭―レ)の第1 主題、③これら2 つの主題からなる派生主題、④第2 主題と、4 つの個性的な主題が登場する。展開部の末尾は序奏主題と融合し、派生主題のユニゾンでクライマックスを迎える。再現部で第1 主題はもはや姿を現さず、《カルメン》〈ハバネラ〉の旋律へと変容した第2 主題が登場する。(中田朱美さんの解説)
 弦の勇壮なテーマで始まる。様々な楽器を経て、管(Fg~Hr~Ob)と弦のユニゾンから、Hr~Ceのパルシブなメロディに、Ob~Hpの綺麗な音色も加わり、やがて静かになり、Flが静かな問いかけを弦に投げ弦がそれに長いトーンで反応し、Clもそれに応えて、CeとCbの弓~ピチカートが不安を呼び覚まし、Tpのメロディを起爆剤にして、弦(Ce)のピチカート~弓の緊迫した演奏の後、管も加わって、Cymの号令と共に、行進曲風の爆発が起こる。その爆発にシロホンもティンパニーも連打で爆発。

 第2 楽章 アレグレット イ短調 3/4 拍子。スケルツォ。3 部形式。
 冒頭主題のあと諧かいぎやく謔味あふれるエピソードが続く。一瞬、フラメンコのリズムも。真中のトリオで流れるヴァイオリンからフルートの旋律は小鳥のさえずり。(中田朱美さんの解説)
こちらも弦の重厚なテーマで始まる。木管が活躍する舞曲、金管の祝典的なファンファーレの後、一転してVn~Flの美しいソロへ移って、後は弦と管の交歓後、木管のリズムで弦のピチカートからTpの高らかなファンファーレ、その後の打楽器(Sn~TIMP)からObが続く、ユーモラスで気取った感じの楽章。
 
 第3 楽章 ラルゴ 嬰ヘ短調 4/4 拍子。
 一転して葬送行進曲風で、3 つの主題と派生したエピソードがモノローグ的に流れる。追懐、哀しみ、慟どう哭こくなどの感情を映し出しているかのよう。(中田朱美さんの解説)
 Vnの静かな旋律から、哀愁を帯びた美しいテーマが奏される。民衆の苦しみを表しているような悲壮感が漂う。HpやTimpのアクセントを伴った弦と管のしめやかな何回かの交歓の後に、シロホンの高らかな合図とともに弦と木管の盛り上がりがあって、弦の静かなテーマを経て、Hpの物悲しいメロディでエンドとなる。ここは、民衆の苦しみと思っていたが、上記恋人との別れの悲しみかもしれない。

 第4 楽章 アレグロ・ノン・トロッポ
 ニ短調 4/4 拍子。緊迫した冒頭の第1 主題やその派生主題が、中間で登場する広大な第2 主題を経て、ファンファーレ的なコーダへと昇華する。(中田朱美さんの解説)
 最も有名な楽章。ティンパニーの行進のリズムとダイナミックなメロディは数々の映画で使われてきた。前半でテンポアップしてティンパニーの連打で一気にクライマックスで様々な楽器の爆発へ駆け上がるが、Hrソロのゆっくりとした優しいテーマの中間部となる。弦のメロディが消えうせる瞬間、Hpのアクセントを伴ったスネアーとTimpのリズムが現れ、そのリズムに乗って曲はまた盛り上がり、最後は”ラ”の連打音に乗って金管(Tp等)の高らかな吹奏の後、”レ”の強奏で爆発のエンディング。CDでは判らなかったが、バスドラの連打と思い込んでいたが、実際はティンパニーの連打の後、最後にバスドラが来る。これが”レ”なんですかね。エレーナの愛称”ラ”を連呼したのは、この頃彼女が出所してスペインへ渡れたことを安堵した勝利の雄叫びなんですかね。

 ■8)全体的な感想
 演奏者が音楽を楽しんでいることが、こちらにも伝わってくる熱気を感じた。小泉潤一郎氏ではないが、素晴らしいと感動した。③とアンコールの後に、ブラボーも飛び出した。こんなに素敵な音楽への熱い心のこもったプレゼントをくださった演奏者の方々に感謝!(金管等で少々ミスはあったにしても、この熱意あふれる素晴らしい演奏は感動に値する。)

コメント
この記事をはてなブックマークに追加

神戸大学 交響楽団 サマーコンサート 2017

2017-06-12 18:35:16 | クラシック
 今回は、娘の友人2人が6/11(日)の上記コンサートのヴァイオリンで出演すると言うことで、家族で聴きに出かけたのでその話です。前に大阪チェンバーオーケストラについて上げましたので生の音、第二段です。やはり、たまには生の演奏会を聴かないと耳が偏ってしまいます。入場料も1000円と安いので気軽に行けます。6/18(日)には、同じく1000円で私の大好きなショスタコービィチのNo5があるので、芦屋ルナホールに行こうかなと思っています。(芦屋フィルハーモニー:14時~)

 ■1)公演情報
 日時は、6/11(日)18時開演で20時終演で演目は下記。

  ①”エグモント”序曲 op.84  (8分) ベートーベン    小川 拓人 指揮
  ②”交響曲第四番” ニ短調op.84 (30分)シューマン    蔵野 雅彦 指揮
  ③”交響曲第四番” へ短調op.36 (42分)チャイコフスキー 蔵野 雅彦 指揮
  ④アンコール  ハチャトゥリアン: 組曲「仮面舞踏会」:ワルツ 蔵野 雅彦 指揮

 ■2)公演会場”神戸文化ホール”の大ホールの感想・音の印象

 場所は、高速神戸駅下車の、”神戸文化ホール”です。以下、建物の写真

 大ホールでの演奏前は、こんな感じ

 アンコール後は、こんな感じ

 多目的ホールと見えて、壁や天井の拡散板等はあまり見られません。音響の印象は、舞台に音が拘束されている感じで、直近で聴いたクラシック音楽専門の”いずみホール”に比べると音が観客席に広がってくるという感じが少ないと思う。大ホールで中央より後ろの席であった影響もあるのかもしれません。

 ■3)演奏を聴いて
 前回も書いていましたが、私は、ジャズファン、クラシックは門外漢ですので、感想といってもあてにはなりません。クラシックの良し悪しを論ずる程の見識はありませんので。

 ①”エグモント”序曲 op.84  (8分)  ベートーベン    小川 拓人 指揮   
 スペイン国王の圧制に苦しむオランダで英雄が出現、しかし、そのエグモンド伯爵は抵抗するも逮捕され、牢獄に入り絞首刑が決まる。しかし牢獄の中で夢を見たら、恋人のクララが女神で現れ、彼の死がオランダに自由をもたらす事を教えてもらう。
 演奏は、最初は荘厳なテーマが弦によりスローでスタート。直ぐに荒れる海を想起させる荒れたテーマが管によりリレー(HR~FL~FG)で奏される。ここは、エグモントの抵抗と逮捕のシーン。その後、管のゆったりとしたテーマ(これは、牢獄の夢の中か?)、音は柔らかいトーンでソフトに耳元でささやく。CLとFLが寄り添っている。その後、徐々に盛り上がりティンパニーも入ってくる。弦中心に時折、HR&FGが参入し、クライマックスには、全楽器のファンファーレ、勇壮で強いトーンの行進曲風にエンディング。この最後は、彼の死と引換のオランダの自由を示している。指揮者は、学生さんですが、非常にがんばっていたと思います。

 ②”交響曲第四番” ニ短調op.84 (30分) シューマン    蔵野 雅彦 指揮
 シューマンが妻にプレゼントした曲。結婚後の2番目に作曲したが、初演での反応がイマイチ。それで大規模な改定を加えて再演されたところ、好評を得た。今回は、改訂版。改訂版には楽章の切れ目が無いため、切れ目が曖昧ですが、4楽章になっている。
 イントロは、ティンパニーに伴われた弦でテーマがスタート。Tp以外が鳴る勇壮なテーマより始め、Tpも加わる。最初は若くて希望に溢れる力強いテーマで、そこから一転、暗いパートになる。ここは人生の苦しい時、そこを切り抜けて何回も再生する。運命に苛まれる人生の物語を表すように、勇壮な行進曲風のテーマと、セレナーデ風のテーマが交互に繰り返す。最終的に、セレナーデ風のテーマからPPになって、そこから快活なテーマになるが、ここが人生の充実期を表しているようだ。その後、指揮者が天を指し、クライマックスとなり、一瞬のブレークの後、全体が爆発的に鳴り響く。ここは妻との人生の喜びを表しているように思われる。

 ③”交響曲第四番” へ短調op.36 (42分) チャイコフスキー 蔵野 雅彦 指揮
 世に言う名曲で圧倒的な演奏回数を誇る。独的な作曲技法とロシア民謡を用いた独自の音楽を構築するチャイコフスキーが期待を込めて作曲した白鳥の湖が、失敗に終わり、大きな壁に突き当たっていた時期(1877年作)の作。私的にも妻との同居生活も破綻し、モスクワ川に身を投げたが一命をとり止め、妻から逃げる為スイス、イタリアに逃亡。公私共に最も過酷な時代だったが、それでも混乱した精神を落ちつかせ、音楽家として再生できたのは、パトロンであるメック夫人を中心とした周りの支えがあったからとか。こうした激動期に彼女らの支えにより書き進められたのが本作。冒頭のファンファーレは、”運命”に例えられるが、熱狂的な勝利を祝うフィナーレに至るまでの42分は作曲者の心情を投影しているということです。

 第一楽章 へ単調 序奏付きソナタ形式
 悲劇的な暗さ、真摯な激しさ、そして複雑な構成を持つ。Cbが悲壮な、不安なテーマを奏す。しばし、弦も管も不安を唄う。管のリレー(FG~CL~FL~OB等)の後、最初のティンパニーに先導されたクライマックスから落ち着いた調子の管(FG~FL~OB等)のテーマへ移る。ここからは、その繰り返しで、最終的にティンパニーの連打を伴うクライマックスでエンディング。

 第二楽章 変ロ単調 複合3部形式
 寂しさや憂いに満ちた甘いメロディが魅力的な極めて歌謡的な楽章。作者が語るには、”悲哀のもう一つの相を表す。仕事に疲れた夜の憂鬱な感情です。こんなにも多くの色々なことが皆過ぎ去ってしまったというのは何と悲しいことでしょう。”
 演奏は、甘美なOBでスタートし、管(FL/FG・CL等)の寄り添いで弦へバトンが渡る。ダンス音楽のように優美なテーマ。第一楽章で味わった苦悩とはうって変わって憂鬱というよりは、穏やかな愛を感じる。第一Vnのテーマに第二Vnのピチカートが寄り添い管も加わって、管と弦の交感でエンディング。

 第三楽章 へ調調 3部形式
 表題のスケルツォは、弦楽器のピチカートに彩られ、その軽快なリズムと音の配色により独特の音楽的効果をもたらすとのこと。作者が語るには、”ここにあるのは、気まぐれな唐草模様。酩酊の最初の段階で、我々の脳裏に滑り込んでくるぼんやりとした姿です。”
 演奏は、CBを始めとする弦のピチカートで早いテンポで始まる。管(FL~OB~CL~Tp等)のテーマに弦のピチカートが寄り添う。ホルストの”惑星”で言えば、丁度、”水星~翼のある使者”のムード。ここで彼の心が癒しに向かっていることが判る。

 第四楽章 へ調調 自由なロンド形式
 強烈な全合奏によるffで幕を開ける。第二テーマロシア民謡の”野に立つ白樺”をモチーフにしたもので、この美しいメロディが様様な形に解され、そして絡まりながら進行する。緩むことのない緊張感、目まぐるしく変転する喜怒哀楽、その果てに、ティンパニーやシンバルの連打による躍動的な嵐のフィナーレを迎え強烈に全曲を結ぶ。
 演奏の感想は、上記解説の如く、いきなりの、”クライマックス”…バスドラ・ティンパニー・シンバルのバーン、私の隣でスヤスヤと寝息を立てていた学生君も流石に起きた。でも彼は又寝たが…ブレーク後、TGも鳴りだす。又、バーン~管(OB~FL)~弦と強い調子のテーマが来て、一転静かなテンポへ。そこから又速くなったりと、静と動を繰り返す。最後は、指揮者が天を指し、クライマックスとなり、ティンパニーが爆発的に鳴り響く。ここは彼の苦しい境遇に打ち勝った喜びを表しているように思われる。


 
 
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

ホルスト ~組曲《惑星》op.32~

2017-06-06 21:46:13 | クラシック
 今回は、ホルスト ~惑星~です。テーマの壮大さは他に追随を許しません。第4曲の木星(ジュピター)は、平原綾香さんが歌ってヒットさせましたので皆さんも良く知っていますね。先ずは、作曲者から。

 ■1)アバウト ホルスト
グスターヴ・ホルスト(Gustav Holst / Gustavus Theodore von Holst, 1874年9月21日 - 1934年5月25日)は、イギリスの作曲家。最も知られた作品は管弦楽のための組曲『惑星』であるが、全般的に合唱のための曲を多く遺している。またイングランド各地の民謡や東洋的な題材を用いた作品、吹奏楽曲でも知られる。1913年頃の占星術への傾倒がきっかけとなり、代表作の組曲『惑星』を作曲した。これをはじめとする多くの作品がこの地で生まれたが、『惑星』の後にそれ以上に名声を博す作品を遺すことはなかった。

 ホルストと言えば、やはり、”惑星”なんですね。彼は、占星術へ傾倒して惑星を作曲したんだ。

 ■2)~惑星~で、どのCDが良いのか?
 これを、購入する前に検討しました。ネットで色々と調べて、名盤と言われているのをリストアップしたのが、下記です。

★①ジェイムズ・レヴァイン指揮/ シカゴ響(1989)
 ②ペーター・マーク指揮/ ミラノRAI響(1980)
★③ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ ベルリンフィル(1981)
 ④チャールズ・グローヴス指揮/ ロイヤルフィル(1987)
 ⑤エードリアン・ボールト指揮/ ロンドン・フィル(1978)
 ⑥ウィリアム・スタインバーグ指揮/ ボストン(1970)
 ⑦ネヴィル・マリナー指揮/ アムステルダム・コンセルトヘボウ(1977)
 ⑧ヴァーノン・ハンドリー指揮/ ロイヤル・フィル(1993)
 ⑨シャルル・デュトワ指揮/ モントリオール響(1986)
 ⑩コリン・デイヴィス指揮/ ベルリンフィル(1988)
 ⑪ユージン・オーマンディ/ フィラデルフィア(1975)
 ⑫ゲオルグ・ショルティ指揮/ ロンドンフィル(1978)
 ⑬サイモン・ラトル指揮/ フィルハーモニア管(1980)
 ⑭ロリン・マゼール指揮/ フランス国立管(1981)
★⑮ズービン・メータ指揮/ ロサンジェルス・フィル(1971)
★⑯小澤征爾指揮/ボストン交響楽団(1979)

 ★は、You Tubeでフルアルバムが聴けたので、とりあえず聴いてみた。そしたら、断然①が良かった。★以外は、上がっていなかったので聴いていないが、聴いた中では①が、金管の煌びやかさが際立っていたので、購入した。録音が比較的新しいということも現実に聴くとなると重視します。例えばジャズで言えば、バードが幾ら天才的な演奏をしたと言っても、録音がモノラルで音もしょぼい音だったら、聴く回数も減るし、それよりステレオ録音でそこそこの演奏を聴きます。下記はジャケット写真


 ■3)ホルスト ~惑星~を聴いてみて
 620A+2405Hで聴くと、金管の煌びやかさと、弦の優美さのコントラスト及び鐘の音の濁りの無いリアルさが堪能できる。
1.火星~戦争をもたらす者  (マーズ:ローマ神話の神マルス、ギリシア神話の軍神アレース)
 火星は昔 から『火星が地球に接近するとどこかで戦争がおこる』 と多くの民族から言われてき ています。 これからわかるように火星は戦争の象徴とされてきています。変拍子、4分の5拍子です。2度の大戦の戦車の戦いの映画でBGMに使われたと言うのも頷ける勇壮な曲。特に金管とバスドラの激しい応酬のエンディングは、重戦車が塹壕を物ともせず、驀進するかのような重厚な響きがもたらす不安、或いは恐怖に満ちている。
 
2.金星~平和をもたらす者 (ヴィーナス:ローマ神話ではウェヌスと呼ばれている美と愛の女神)
 火星とは打って変って穏やかで叙情的な曲。戦いの後の束の間の平和と言う感じがする。最後は、静かな惑星空間にひっそりと佇んでいる気分になる。

3.水星~翼のある使者 (マーキュリー:ギリシャ神話では神々の使者である伝令の神・ヘルメスに相当)
 軽快でユーモラスなイントロで始まる。流麗で飛翔感に溢れる曲で、ホルストは、心の象徴と語っている。

4.木星~快楽をもたらす者 (ジュピター:ギリシア神話の「天空の父たる神」ゼウス、英語における木星の形容詞 jovian は、「陽気な、愉快な、幸せな」等の意味を持つ)
 歓喜に満ちた輝かしい嘉悦感に満ちた曲。テーマは、民俗舞曲風であったり、民謡風であったりで、祝典的な気分が満ち溢れる輝かしい曲である。一度聴いたら忘れない、思わず踊りだしたくなるような曲。

5.土星~老いをもたらす者 (サターン:ローマ神話の農耕神サトゥルヌスに由来。太陽から遠く運行が遅いこと から年老いた神の名が付けられた)
 ホルストは、この曲を最も好んでいたとのこと。フルートの憂いを湛えた調べに導かれ、コントラバスが沈痛なテーマを奏した後、金管がそれをモディファイしたテーマで登場し、ゆったりと行進しながら次第に盛り上り、途中から鐘も加わりクライマックスになった後、遠ざかるように静まりエンディング。

6.天王星~魔術師 (ウラノス:ギリシア神話の天空の神ウラノス。巨神族の父親でゼウスの祖父。大地の女神ガイアと共に天と地を創造した。)
 金管のファンファーレに先導され、最初のテーマは、ファゴットが、次のテーマは、飛び跳ねるようにホルンと弦が、そして更に次はチューバが来て、躍動的にバスドラも加わり、盛り上るが、突然オルガンのクリッサンドがそれを中断し、静寂が戻ってくる。ホルストの魔術的な管弦楽法が鮮やか。

7.海王星~神秘主義者 (ネプチューン:ローマ神話の海の神。ギリシア神話では海神ポセイドン。クロノス(土星)の息子でゼウス(木星)の兄。)
 全楽器がピアニシモで演奏される幻想的な曲。最初のテーマはフルートで始め、途中、ハープ、チェレスタ、弦による天国的な雰囲気を醸し出す中、無歌詞の女性の合唱も聞える。更にクラリネットが次のテーマを奏し、瞑想的な雰囲気となり、何億光年の彼方”例えば死の世界”に消え去るような冷厳な気分になってエンディング。占星術へ傾倒したというのが判るような神秘的な雰囲気に満ちている。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

大阪チェンバーオーケストラ 4/25公演

2017-04-26 20:38:02 | クラシック
 今回は、たまには生の音も聴いてみるかなと、関西室内楽協会の創立40周年記念演奏会として、大阪チェンバーオーケストラ 4/26公演を聴いてきましたので、その話です。

 ■1)きっかけ
 切っ掛けは、妻の習っているヴァイオリンの先生が出演されているので、”聴いてみる?”と妻から聞かれたので、生音を聴く機会はオーディオを趣味とする者として必要と思い、行くことにしました。以前の大阪市長の市政で文化予算が削られて在阪のオーケストラは結構厳しい状況もあるようですので、少しでもお役に立てればという意味と、生の音の確認という意味と、先生の演奏を聴いてみるという3つの意味が今回あります。

 ■2)大阪チェンバーオーケストラと、今回のプログラム
 これは、4/26の公演のプログラムを以下に載せます。

 左側が、大阪チェンバーオーケストラについての紹介で、指揮の河野さんが代表で、右側が今回のプログラムで、どの曲も演奏される機会が少ないとのことです。大阪チェンバーオーケストラは、約40年の歴史があり、室内楽・バロックが得意のようです。
 
 ■3)今回の演奏について
 私は、クラシックについては、ほぼ門外漢で、ジャズ・オーディオファンが聴いたクラシックはという観点での感想ですので、純粋なクラシックファンの方には参考にならないと思います。

 ①ストラビンスキー 小管弦楽のための組曲第一番・第二番
 これが、終わった時に、妻に、”ほとんど寝ていたね!”と言われたのですが、仕事の終わってから来たので、疲れがたまっており、この曲は、確かに記憶しているのはバスドラが何回か”どーん”と空気を切り裂くように、炸裂すると言う感じで鳴っていたことだけです。思い出したのは、ストラビンスキーがディアギレフのバレエ団の為に書いたバレエ”火の鳥”でこれも、バスドラが同じようにイントロや要所に効果的に鳴っていましたね。トロンボーンのグリッサンドは、今回は多分無かったと思いますが、何分寝ていたので確かではないです。私の大好きなストラビンスキーが聴けなかった。コンサートは19時からですが、仕事は休むべきでした。(反省)次の曲からは、覚醒しました。しかし、ストラビンスキーは、バスドラ使いだと言うことが判りました。

 ②O.レスピーギ リュートのための古風な舞曲とアリア 第一組曲 作品109
 第一曲(小舞踏曲)は、流れるような弦楽のテーマの中に時折管楽器(フルート・オーボエ・ファゴット等)が対話を試みる。流れるようなテーマは、荘厳で遥かな地平から流れてくるような幻想的な感覚。
 第二曲(ガルアルダ)は、アップテンポの3拍子の舞曲。ピアノのイントロからスタートする。綺麗で華麗な音色のオーボエが、テーマを奏して弦楽との対話・交換が続いて、テーマが、フルート~オーボエと変わっていく。弦楽になった時に、ハイライトとして、チェロのソロが入るが、これが素晴らしい哀愁を帯びたビブラートを聴かせる。他の弦楽でのピチカートもいいアクセントを醸しだす。
 第三曲(ヴィラネッラ(田舎風に)、第四曲(パッソ・メッツオと仮面舞踏会)共に原曲の作曲者は不明で古い音楽に新たな色彩が加わっている。ミディアムファーストのテンポの管楽器のテーマに弦楽が対話のように交換して、ジャズで言う4バース風に、フルート~トランペット~ファゴット~チェンバロ~オーボエ~らと弦楽の交換を繰り返す。最後の方は、舞踏会のような軽快なダンス音楽になっている。

 演奏後に、ソロを取った、オーボエ、フルート、チェロ、トランペットの方が、ハイライトで挨拶。特にチェロの女性が素晴らしい情感豊かな滑らかなソロで気に入った。

 ③W.A.モーツアルト セレナータ・ノットゥルナ ニ長調 K.239
 ⇒この曲のみ吹奏楽は抜けた。
  第1楽章)行進曲 マエストーソ 男性ヴァイオリンソロのテーマにティンパニーが絡む展開。弦楽でのピチカートもいいアクセントを醸しだす。これは、如何にもモーツアルト。
  第2楽章)メヌエット 
 ヴァイオリン主体の弦楽のテーマが行進曲風でテンポよく、躍動感に満ちたセレナーデ風の響きに溢れ、心地よい。
  第3楽章)ロンド~アレグレット これも、ヴァイオリン3名がテーマを弾いて、ティンパニーが時にリズムを刻む。ソロは、3人の中で左の男性(芦原充氏)が取り、途中、コントラバスのソロ(弾む低音、うなる音ブーン)は流石に低い音で、その後、ヴァイオリンが、会話をすると思ったら、今度はソロを3人(男性⇒女性⇒女性)で回していって、ティンパニーのソロも入る。

 演奏後に、ソロを取った、ヴァイオリン3人、ティンパニー、コントラバスの方が、ハイライトで挨拶。

 ④R.シュトラウス 組曲『町人貴族』作品60
 これは、第十曲まであるので、特に印象に残った第十曲(宴会)について感想をお話します。
 宴会たけなわを表すように、全員がテーマを演奏。何でもありのドンチャン騒ぎで、全楽器で、派手なシンバル、トライアングルも鳴りぱなし、ティンパニーの連打から、オーボエのソロ(寄り添うのはコントラバスとハープ)になり、その次は、チェロのソロとなるが、ファゴットの寄り添いをバックに、叙情的な哀愁が漂う美しいビブラートが感情を細やかに表している。その次は、フルートと弦楽との交換に移るがコントラバスのバックで、ヴァイオリンも呼応する。最後は、又最初のように全員の演奏に戻り、トライアングルの合図で全員のフィナーレとなる。(繰り返しになりますが、このチェロのプレイが本当に素晴らしい)

 ③と④でヴァイオリンを弾かれた芦原さんが、③ではラフな黒い服装で、④では正装と服装をチェンジされていたが、作曲家に合わせてということなんですかね?それとも曲によってなのでしょうか?

 ■4)生のオーケストラと私のオーディオの音との差
 これを、客観的に評価するのは、非常に難しい。620A+2405Hで今日の演奏を録音したものを家で聴けることが出来れば、ある程度は感想も言えるのだが・・・家で聴ける今日の演奏と比較できるものとして、4/23の”題名のない音楽会”の演奏と比較してみた。4/23の曲は、B.ブリテンの作曲した”青少年のための管弦楽入門の音楽会”でした。これが比較対象とした理由は下記。

 1)ホールの状態が、ほぼ似ているのではないかと推測。今日は、大阪城ホールに近いところにある、住友グループのクラシック音楽専門の”いずみホール”というホールで非常に音が良いホールでした。中規模の821席のホールですが、クラシック専用でパイプオルガンも写真のようにあります。天井には、音の拡散のための、反射板が多数貼り付けていましたので残響等の音響特性も良いです。題名のない音楽会のホールは、4/23は、東京オペラシティですが、ここは1600席もあるので、規模は2倍ですが、同じクラシック専門でパイプオルガンもありで、ホール形状が似ていて残響も似ているのではと推測。
尚、会場の”いずみホール”は以下のような所です。(撮影禁止のアナウンス寸前の1枚)

 2)ほぼ同じ管弦楽の楽器を揃えている。また、TVでは司会の石丸さんが、一つ一つの楽器を解説してくれた。

 上記の2点を根拠として、比較してみた。差があったと感じたのは、バスドラの空気を切り裂く炸裂音である。これは、生だともろに腹にドスンと響く。そこまでのエネルギーは620A系(+2405H)でも得られない。他のスピーカーでは多分よりプアーだと思う。ヴァイオリン等の弦については、生は、全くストレスフリーな耳に優しい刺激のないソフトトーンの音がする。620A系の方も題名の方の弦で聞き比べると、そこそこの音だがこれは大きな差は無いと判断した。吹奏楽も同じく大きな差は無い。トライアングルが若干の音質の差がある。2405Hでも生のトライアングルの”キュイーン”という音のイの部分が若干不足しているように聴こえる。また全体的には、残響が生の方が、長めであるが、これは部屋自体の差であるので、どうしようもないが、録音の方の残響の入れ方もあるので、それにも関わってくる。また、良いホールは音が広がって定位感はない。クラシックは上手く録音できていれば、620A系でもそういう聴こえ方であるし、ホールでも極端に前の端席では、前にある楽器のみが大きく聴こえたりする。今回は、J20というド真中の良い席を取って頂いて素晴らしい音楽と出会えた。

 ■5)アンコール
 普段はしないが今回はしてくれたとのこと。マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」から間奏曲
 先ず、弦楽の美しいスローなテーマにオーボエが絡んで、次にフルートが来て、ファゴットも加わり、更にハープもクラリネットもコントラバスをバックに加わる。非常に美しい、癒されるメロディでおやすみ前にどうぞという感じの曲。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

ショスタコーヴィチ 交響曲 第五番 ~6/18アップ分に作曲動機の新解釈~

2017-04-12 14:04:09 | クラシック
 今回は、ショスタコーヴィチ 交響曲 第五番を最近よく聴いているのでそれについてお話します。FMで流れているのを聴いて、これは良いなと思ったので、CDを購入しました。その時に聴いたのが、レナード・バーンスタインのニューヨークフィルが、1979年6月3日、4日に東京文化会館で録音したライブです。カップリングで、ヨー・ヨー・マとオーマンディのチェロ協奏曲も後半に収録されています。

 ■1)ショスタコーヴィチ 交響曲 第五番 (ソニーミュージックジャパンSICC365)
 先ずは、ジャケットを載せます。

 ジャケットも芸術的ですが、この音楽も素晴らしいです。今は、ショスタコーヴィチが一番のお気に入りです。ライナーノーツの説明では、36年1月にプラウダから形式主義的だと非難され、社会主義では、簡潔・明確・真実をモットーとした作品が望ましく、形式的には、民族主義、内容的には社会主義的であるべきだと指摘されて、彼が、その方向を追求してその反省のもとに作成したとある。そのために、彼は反省し、新様式確立のため、書法や要素も捜し求めた。そうして危機を乗り越え克服した第一弾が、36年に書かれた第四番であったが、過渡的な作品で、練習は重ねられたが、初演は中止された。まだ十分完成されていないと考えたのだろう。そしてこれに続く交響曲として37年に第五番を書いたとある。そういうプラウダの批判から生まれたとかいうことは別にして、この作品は素晴らしいと思う。ジャズでもこういう物語性を含有した作品はあることはあるが、例えば”ミンガス”の”直立猿人”などもその類であるが、スケールが一段大きいと感じる。また、ライブだと言うことが最初判らず、スタジオ録音と間違えた程、録音が良い。録音は、ジョン・マックルーアという人で、この方は、2回このコンビのこの曲を録音しており、ニューヨークフィルの特質を音として捉えるのに冴えた感覚を持っているとのことであるが、ジャズでいえば、ルディ・バン・ゲルダーのような存在ですね。

 ■2)副題
 私は、”革命”と思っていました。ウィッキペディアによると、下記です。日本(および韓国、中国)ではこの作品の副題を「革命」としている場合があるが、ショスタコーヴィチ自身はそのような命名は行っておらず、欧米のコンサートでもベートーヴェンの交響曲第5番における「運命」と同様にこの副題を見ることはない。

ソ連と欧米諸国では、ショスタコーヴィチ自身がモスクワ初演の数日前に発表した『私の創造的回答』という文の中で、この交響曲についての「正当な批判に対する一人のソビエト芸術家の実際的かつ創造的な回答である」というある批評が「私を喜ばせた」と表明したことから、副題はないが「正当な批判に対する、ある芸術家の創造的回答」が非公式な副題のようなものとして浸透し、この副題はソ連よりもむしろ西側諸国でより喧伝されたという。

 ■3)私が好きなところ
 第四楽章の最初の金管楽器のマーチの勇壮なカッコイイ行進とラストのクライマックスがバスドラ含めた様々な楽器群の行進曲風の勝利の感情を持った大爆発でこれを期待して聴くのであるが、それまでの山あり谷ありの羽陽曲折の物語がそれまでにこれでもかと言う位にそれを感じるときに上手く布石として散りばめられている、その構成力が素晴らしい。第一楽章の中にもそのような展開(後半の行進曲風クライマックス)があるので、展開の多重化も潜んでいます。もちろん、様々な楽器のコンビネーション含めた使い方やアンサンブルの妙も含めて。ショスタコーヴィチは、後年、第5交響曲について、”強制された歓喜”と言ったとされる。”さあ、喜べ。それがおまえらの仕事だ”と鞭打たれた人々の歓喜がこの楽章から聴こえてくるということであるが、私にはまだそういう歓喜は聞こえない。プラウダの強制に対する抵抗の意味を込めて彼がそう言ったのか?またはソ連が、この交響曲に、ベートーヴェンの第5交響曲『運命』と同じ「苦悩→闘争→勝利」という構図を見出し、それをそのまま社会主義の歩みの構造として曲解し、この“ソ連の第5交響曲”を、世界に向けて社会主義のPRに利用できると考えたことへのささやかな抵抗の狼煙だったのだろうか?

 ■4)ヨー・ヨー・マとオーマンディのチェロ協奏曲 1982年5月3日 The Scottish Rite Hall
 これもライナーノ-ツからの受け売りに近いが、ヨー・ヨー・マは根っからの明るい性格と頭脳明晰で表情豊かな人間性・好奇心豊かにして先入観やこだわりの無い関心と積極的に理解しようとする姿勢を持った人・・彼は人を惹きつけて離さない魅力を持った興味深い人であるようだ。そのパーソナリティ通り、彼のチェロもとても明るい響きだし、良く鳴る。明るいだけではなく表情豊かである。ジャズで言うと、ホール・チェンバースというところかな?これを聴いているとあっという間に終わってしまう。時間がたつのが速すぎる位素晴らしい。ジャズでは、演奏者がテーマを自らのアドリブで崩していくのを楽しむが、この場合は、ショスタコービッチが作ったテーマの崩しを、”マ”がアドリブをしていくように感じる。勿論、アドリブのアイデアはショスタコーヴィチのものであるが。無論オーマンディ指揮のフィラデルフィア管弦楽団の好サポートもいうまでもない。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加