国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第6話

2024-01-07 23:52:00 | 国鉄関連_国会審議

昨年の8月17日以来の更新になりますのでいささか間が開きすぎてしまったのですが、改めてご覧いただきたいと思います。

小林議員からの質問に対して、十河総裁が以下のように質問の内容に相違があるとして返答しているわけですが。どのような内容であったのか改めてここにアップさせていただきます。

内容としては、当時の新潟管理局長が新しく管理職に任命をされた分区長に対して、国労新潟地本を潰したいので第2組合を作れと発言した。第2組合を結成できない管理者は降格して貰うと発言しており、新任管理者も困惑したと言った内容でした。

国鉄労働組合新潟地方本部の執行委員長相田一男氏が、新潟鉄道管理局長河村勝殿あてに公開質問状を発しておりますので、それを一つ具体的な説明の内容にかえて私は読み上げたいと思う。
 これによりますと
「一、局長としては第二組合を育成し、国労新潟地方本部をどうしてもつぶしたい。そのためには現場長や助役に頼ってももううまくいかない。今度は諸君らが第二組合を増やすよう頑張ってもらいたい。第二を増やすには諸君が日常組合員と作業の上で緊密に結びついているので一番よい。二、第二組合のないところでは何をしているのであろうか。柏崎保線区は一番成績がよい。諸君らのやることはすぐ結果としてあらわれるから、やっているかいないかすぐわかる。三、このことに異議のあるものはこの場所でいってもらいたい。四、このようなことのできないものは管理者としての資格がないから技術掛、営林掛、工手長に格下げをする。五、自分は新潟地方本部をつぶすまで新潟にいる心算だから頑張ってもらいたい。」
 これらのことは昼食の会食時にもおこなわれ、そのため参会者は異常な緊張感につつまれ、極度の疲労を感じたと報告されています。
 このようなことは明らかに不当労働行為であり、かつ反民主主義的行為であります。貴殿は常に労働情報を通じ新潟地方本部を暴力的とののしり、ばり雑言をあびせかける等の暴挙をおこなっておりますが、これらは第二組合の宣伝と軌を一にしており、今回の分区長会議における貴殿の訓示も第二組合と一体となった暴挙と断ぜざるを得ません。

この質問に対して、十河総裁は行き違いがあるようであるから誤解を招いたとしたらお詫びするとして締めくくっているわけですが、左欄これに対して小林議員は質問を続けて行きます。
この質問によりますと、

○十河説明員 ただいまの御質問の質問状が出ておるということは、報告を受けております。しかしながらその質問の内容については事実と相違しておるという報告を受けておるので、私といたしましては、たとい事実相違のことでも、そういう誤解を受けて、こうやって皆さんにいろいろ御心配いただくことは、はなはだ相済まぬことだと恐縮に存じております。以下、略

○小林(進)委員 私はこれから逐次具体的な問題について総裁にお伺いをいたしたいと思うのでございまするが、中略、総裁が今のような御答弁で、まあ事実と相違しているけれども云々というようなお話で終始せられますると、われわれは残念ながら理事会の申し合せによってさらにまた次にこの問題を追及する別案をとらなければならぬのであります。どうか一つ知る範囲において、こういうむだな時間の浪費がないように、努めて懇切丁寧、具体的に御答弁をお願いしたい、こう思うのでございます。
 具体的な事例をあげる前に、私はまたここで一つ、抽象論になるかもしれませんが、監理局長の任務というものを総裁から承わっておきたいと思うのでございます。これは情報じゃなくて、私が直接監理局長に会ったときの話でありまするけれども、彼は私と二人の対談の中でもちろん泉とかいう総務部長もそばにおりましたが、対談の中においても彼はしばしば、組合には勝たねばならぬとか、この一戦には負けられないとか、断じて勝たなければならないとか、何かこう話を聞いていると戦争か、けんかをしていられるような気がしてくる。はて、初めは私はこの新潟監理局長は戦争の話をしているのかと思いまして、だんだん聞いてみますると、相対立している組合に勝たねばならぬ、負けられない、断じて勝つと、こういう話をしておる。私は、経営者、管理者というものが労働組合というものをけんかの相手や戦争の相手にして、勝つとか負けるとか、死するとも帰らずなどというようなそういう考え方でいって、組合行政なり職場行政をおやりになっていることが、これは監理局長としての本来の職務なのか。国鉄の総裁は、組合に断じて負けるな、その戦いには勝て、そういうような指令を監理局長にお出しになっておるのか。それが監理局長のほんとうの仕事なのか、職務なのか、この点を一つ承わりたいと思います。

○十河説明員 初めに申し上げましたように、事業経営で最も大切なものは人間であります。人であります。私は、私の部下をわが子のごとくに絶えず自分もかわいがっておる。それから私の部下に対しても、そういうふうにかわいがって大事にしなければならぬということを常に申しつけております。従って、そういう敵だなんていうことは、極力ときどき新聞で組合の情報なんかに出て参ります。私は、そういうことは絶対に考えてはならぬということを常々戒めております。河村局長も私の意を体して常々やってくれておると私は今日までも信じておるのであります。

新潟管理局長は組合に勝たねばならないとして何度も言っていたとして、組合を敵視しているではないかと質問しているわけですが、これはいささか主張として誇張した表現ではないかと思ってしまいます。
確かに、組合に対して強い態度で新潟闘争の時も強い態度を取っていますが、言葉尻を捕らえられるような事はしないのではないかと思うわけで、その点は十河氏としてもそのようなことはないのではないかと証言しています。

あくまでも、こうした議事録などでの発言だけで判断するので真相は?となりますが、十河氏の発言は、古き良き時代の鉄道省の頃に見られた大家族主義の思想が背景にあるようにも見受けられます。

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************************以下は、国会審議議事録です*************************

○十河説明員 ただいまの御質問の質問状が出ておるということは、報告を受けております。しかしながらその質問の内容については事実と相違しておるという報告を受けておるので、私といたしましては、たとい事実相違のことでも、そういう誤解を受けて、こうやって皆さんにいろいろ御心配いただくことは、はなはだ相済まぬことだと恐縮に存じております。今後はそういうことのないようにということを戒めておる次第であります。

○小林(進)委員 私はこれから逐次具体的な問題について総裁にお伺いをいたしたいと思うのでございまするが、そもそも、総裁にここへおいで願います前に、本理事会においては、現地の局長とそれに対立をいたしまする労働組合の責任者と両方来ていただいて、そうして一つわれわれ社労委員会において真相の追及をしようじゃないかということで、相当議論をかわしたのでありまするが、権威ある国会において即時に現場の局長まで呼ぶのもどうかと思われるから、まず総裁をお呼びして、総裁から誠実のあるお話を承わってそれでなおかつ納得のいかないときには、次の手段として現場長なりあるいは監理局長なりを呼ぶか、あるいは国会で視察をするかということにして、一応まず総裁においで願おう、こういう話ができ上っておりますので、総裁が今のような御答弁で、まあ事実と相違しているけれども云々というようなお話で終始せられますると、われわれは残念ながら理事会の申し合せによってさらにまた次にこの問題を追及する別案をとらなければならぬのであります。どうか一つ知る範囲において、こういうむだな時間の浪費がないように、努めて懇切丁寧、具体的に御答弁をお願いしたい、こう思うのでございます。

 具体的な事例をあげる前に、私はまたここで一つ、抽象論になるかもしれませんが、監理局長の任務というものを総裁から承わっておきたいと思うのでございます。これは情報じゃなくて、私が直接監理局長に会ったときの話でありまするけれども、彼は私と二人の対談の中でもちろん泉とかいう総務部長もそばにおりましたが、対談の中においても彼はしばしば、組合書には勝たねばならぬとか、この一戦には負けられないとか、断じて勝たなければならないとか、何かこう話を聞いていると戦争か、けんかをしていられるような気がしてくる。はて、初めは私はこの新潟監理局長は戦争の話をしているのかと思いまして、だんだん聞いてみますると、相対立している組合に勝たねばならぬ、負けられない、断じて勝つと、こういう話をしておる。私は、経営者、管理者というものが労働組合というものをけんかの相手や戦争の相手にして、勝つとか負けるとか、死するとも帰らずなどというようなそういう考え方でいって、組合行政なり職場行政をおやりになっていることが、これは監理局長としての本来の職務なのか。国鉄の総裁は、組合に断じて負けるな、その戦いには勝て、そういうような指令を監理局長にお出しになっておるのか。それが監理局長のほんとうの仕事なのか、職務なのか、この点を一つ承わりたいと思います。

○十河説明員 初めに申し上げましたように、事業経営で最も大切なものは人間であります。人であります。私は、私の部下をわが子のごとくに絶えず自分もかわいがっておる。それから私の部下に対しても、そういうふうにかわいがって大事にしなければならぬということを常に申しつけております。従って、そういう敵だなんていうことは、極力ときどき新聞で組合の情報なんかに出て参ります。私は、そういうことは絶対に考えてはならぬということを常々戒めております。河村局長も私の意を体して常々やってくれておると私は今日までも信じておるのであります。

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