水の門

体内をながれるもの。ことば。音楽。飲みもの。スピリット。

星合

2006年07月02日 19時36分03秒 | 言葉に寄せて
もうすぐ七夕。星が美しい季節がやってきた。
約2000年前、キリストが生まれたとき天にひときわ輝く星が現れたそうで、これを目撃した羊飼いや占星術の学者達が生まれたばかりのイエスを訪れてその誕生を祝ったと聖書にある。
旧約・新約を通じて聖書では占いを厳しく戒めているが、今回は敢えて禁を犯して、占星術とイエスの生誕について少々私見を述べさせていただきたい。
12月25日は実際にイエスが生まれた日でなく、古代ローマの冬至の祭りがキリスト教に引用されたものだというのは、大方のクリスチャンも認める通説である。イエスの真の誕生日については10月の頭だったとか9月15日であるとか諸説が飛び交っている。以前図書館で借りた本で、大学の先輩にあたる鏡リュウジ氏が、イエスは双子座生まれだったのではというユニークな説を披露していたのを見かけたこともある。
その真偽に関して私はどちらでも良いと思っている。むしろ私が気になるのは、12月25日がキリスト誕生の日として結び付けられ定着した背景である。
旧約時代ユダヤ教世界では、人間の罪は動物のいけにえを捧げることで清められるという律法が遵守されていた。レビ記の16章には雄山羊にイスラエル人の全ての罪責を負わせて荒れ野に追いやる儀式が規定されている。世に言う「スケープゴート」の由来となった箇所である。この儀式を踏み台に、「山羊=悪魔に魂を売り渡したもの」という図式がイスラエル人の意識に次第に刷り込まれていく。その後、羊が神に従う純真な人々(または御子イエスそのもの)、また山羊が神に背いた穢れた人々(または悪魔そのもの)のシンボルとして、聖書の中にたびたび登場するようになる。
ところで当の12月25日だが、西洋占星術では山羊座にあたる。山羊座の支配星は土星、守護神は、かのサタンなのである(ローマ神話)。クリスチャンにはこれを聞いて眉をひそめる方もいるかもしれない。
占星術で、土星は「制限」を意味する。神の子イエスが肉となって地上に生まれたということは、自体、全能の神が人間の限界の中に生きることを強いられたということに他ならない。イエスは、この世の神サタンの影響下に置かれながら、十字架上で全人類の罪を贖ういけにえとして自ら命を捧げた。汚名を着せられ人々の罪を担う姿は、全き聖なる「子羊」と呼ぶより、苦渋の中もがき生きた「山羊」の名を冠するにふさわしい。
七夕を前に、そんなイエスに思いを馳せ、音楽を選んだ。ケイト・ラズビーの『Underneath the Stars』である。アリソン・クラウスにも似た小鳥のさえずりのような歌声とアコーディオンを軸にした柔らかなカントリー・サウンドは、あくまでも耳に優しい。

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