たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

古墳考 <大阪古墳群、推薦 百舌鳥・古市、19年登録目指す>を読みながら

2017-08-01 | 古代を考える

170801 古墳考 <大阪古墳群、推薦 百舌鳥・古市、19年登録目指す>を読みながら

 

最近は○○女が増えていますが、コーフン?女もその一角に食い込んで頑張っているようです。そういう私も、当地にやってきて、奈良が近いせいもあり、事件で奈良の裁判所に通うこともあり、自然農の学びの場が纏向にあったりで、自然に古墳が次第に身近に感じるようになりました。ま、にわか古墳を含む古代関心派の一人でしょうか。

 

古代の中でも、古墳の研究はかなり深く広範囲に行われていて、とりわけ高齢者には重要な趣味領域になっているようにも思えます。たまに講演会などを訪れると、やはり中心は高齢者でしょうか。古墳女はあまり見かけませんね。

 

今日も雑事というか仕事に追われてしまい、PC上は打ちミスが多いから休憩をという警告?がしきりに出ているというのに、もう6時を回ってしまっていて、今から本日のテーマを考えても、なかなか頭が回りません。

 

毎日朝刊一面に<大阪古墳群、推薦 百舌鳥・古市、19年登録目指す>がそれぞれの古墳分の航空写真とともに掲載されていて、これがいいかと安直に決めました。

 

だいたい「大阪古墳群」って、一体だれが呼称したのでしょう。私は初めて聞くネーミングです。百舌鳥古墳群と古市古墳群を総合する名称と言うことでしょうか。しかし、それだとどこに総合するような歴史的・考古学的な根拠があるのでしょうか。故森浩一氏であれば、苦虫をかみつぶすのではないかと勝手に想像してしまいます。

 

大阪という名称だけでいえば、他にもさまざまな個性的な古墳群があり、たとえば継体天皇陵として考古学の世界では比定されている今城塚古墳(いましろづかこふん)を含む三島野古墳群などはとても外せないように思ってしまうのです。だいたい、継体大王以前と以後では大変革があったとも言われているわけですし、こういった古墳群を外す理由付けも必要ではないでしょうか。

 

翻って、いまなお仁徳天皇陵といた呼称を行政は維持していますが、歴史的・考古学的に支持されるのでしょうかね。そのような根拠のない(あるいは薄弱な)名称で世界遺産登録を求めることは、かえって古墳の価値を歪曲するものになりかねないように思うのですが、いかがでしょう。

 

むろん、私の時代、そのように習ってきましたし、実のところ、当地で古墳に関心を抱くまではそう思い込んでいました。しかし、世界遺産としての歴史的・文化的価値といったものは科学的な裏付けなしには成り立たないと思うのです。宮内庁が立入を禁止したうえ、頑としてその比定した名称の天皇陵とすることに固執する姿勢が変わらない以上、世界遺産の価値をあいまいにすることになるように思うのです。

 

いや、仁徳陵古墳に問題はとどまりませんね。履中陵古墳や反正陵古墳など一つ一つが検討される必要がありますし、古市古墳群も同様ですね。応神陵古墳もかなり有力な異論があると思います。いずれにしても古墳群全体の被葬者が比定されている状況になく、その調査が拒まれていて、将来的にも調査だけでなく、その保全すらおぼつかない状態ではないでしょうか。

 

江戸時代の水争いの裁判例などをフォローしていると、応神陵古墳と指定されている誉田山古墳も、一帯の村々の水利システムに組み込まれていたようにも思われるのです。多くの天皇陵古墳といわれる古墳は大きな壕が周囲を囲んでいますが、長く用水システムの一翼を担ってきたのではないかと思っています。

 

また、この「大阪古墳群」の中にもあったかはいま明確にいえませんが、城とか、畑とか、多様な利用がなされていた時代もあったと思うのです。

 

そういった歴史的な利用の変遷、形態の変化もしっかり見据える必要を感じるような考え方は世界遺産の価値論としては重要でないかもしれませんが、私は古墳がもつわが国特有の価値をそういった側面からもアプローチする必要を感じています。

 

むろん重要なポイントである、なぜ、いつ、だれが、この地にこれだけの古墳群をつくったのか、なんのために、といった事柄がほとんど解明されていないことを踏まえ、これから世界遺産登録に向け、また登録された場合にはその後の保全啓蒙活動として、さらなる調査研究が不可欠ではないでしょうか。

 

少し異なりますが、記事<百舌鳥・古市古墳群 識者の話>では、識者の意見も方向性は一緒ではないでしょうか。

 

当然、古墳内への立入調査が必要となると思います。世界にはさまざまな古墳的な、ピラミッドというか、巨大墳墓があり、ほとんどは専門家による内部調査が実施され、比較検討されてきたと思います。エジプトのピラミッドをはじめ、中国の始皇帝陵をはじめ多くの皇帝陵、アメリカ大陸やアジアなどですね。

 

しかし、わが国の場合、まったくといっていいほど解明されていません。少なくとも被葬者を特定する作業は不可欠ではないでしょうか。それは正しい日本人論にもつながると思っています。

 

ちょうど一時間となりました。そんなわけで今日はおしまいです。