たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

古代に惹かれる <謎に挑む、盗掘を阻む><『新しい古代史へ1 地域に生きる人びと>などを読みながら

2019-04-28 | 古代を考える

190428 古代に惹かれる <謎に挑む、盗掘を阻む><『新しい古代史へ1 地域に生きる人びと>などを読みながら

 

今日は連休2日目ですか。田舎は静かです。静寂といってもよいでしょう。聞こえるのは鳥の声くらいでしょうか。連休をあちこち出かけて混雑に拍車をかけるのもそれぞれの感性ですのでそれもよいでしょう。今朝の毎日一面で大きく取り上げていたいのは<西日本豪雨10連休、被災地で汗 岡山・真備で写真洗浄/広島・呉で畑を修復>でした。こんな連休の過ごし方もいいですね。

 

さて、今日の花はトリアシスミレ。<トリアシスミレの花は>に写っている花とは少し違う感じですが、葉の形が変わっていて、先端で細く別れていて、鳥の足に似ていると言われると、はあ、と思いつつも、まあ、ネーミングですからOKでしょうか。花弁の色・形を無視しているところがちょっと面白いです。その花言葉は<「誠実、小さな幸せ」>ですか。

 

さて、古代においても誠実さはやはり評価されたのかもしれません。塩野七生著『ローマ人の物語I ローマは一日にして成らず』をざっとですが読み上げました。登場する人物が多すぎて地理も不案内なためまだぼやっとしたところにあります。次は途中をとばして一挙に『ユリウス・カエサル』を今日から読もうかと思っています。というのはアマゾンのプライムビデオでは、ROMEというタイトルで、紀元前50年ころから30年ころまでのローマを、カエサルやアントニウスなどを中心に長編ドラマとして描いていて、最近これを時折見ています。カエサルのような独裁官といった人たちの生活や考え方を描くだけでなく、ローマ市民、市民権のない庶民、奴隷などの生活や考え方が色濃く描かれていて面白いです。

 

わが国の歴史小説なり映画・ドラマではどうしても武将とか英雄、天皇・貴族といった人が中心になっていますね。庶民の生活は江戸時代くらいにならないと資料不足で描けないのでしょうかね。むろん澤田ふじ子・瞳子両氏のように、奈良・平安・室町まで庶民や奴隷をリアルに取り上げた作品もあるので、皆無というわけではありませんが、歴史家が慎重である分、小説家は大胆な仮説で描いてもらいたいと願うのです。

 

塩野氏のローマ物語Iは紀元前10世紀くらいから4世紀くらいまで長丁場を扱い、全体の総括的な意味合いもあるのでしょうか、リアルな状況描写はほとんどありませんが、全体を理解するのに論理的で解説も丁寧で面白く読みました。ROMEでカエサルの人間像を含め多層な社会構造のリアルな状況を多少理解しているので、読み進めるのを楽しみにしています。

 

前置きがまたまた長くなりましたが、今朝の毎日記事<ストーリー謎に挑む、盗掘を阻む 混乱続くエジプトの考古学者たち>は、いくつかの点で古代(西洋における)研究の最近の状況の一端や、新たな魅力を浮き上がらせてくれます。

 

篠田航一記者の熱意あふれる記事です。私の関心をまず惹いたのはピラミッドの建設がどのように行われたかでした。<紀元前5世紀の歴史家ヘロドトスは著書「歴史」の中で、カイロ近郊ギザにある巨大ピラミッドを建設したクフ王(紀元前26世紀)を結構悪く書いている。ピラミッドを造った労働者を奴隷のように働かせた、というトーンだ。>そうですね。映画でも奴隷がムチで叩かれたりしてまさに苦役を課され、それでようやく完成するといった画像が普通に当然と受け止めてきたと思います。

 

ところが最近の研究では、そうではないという研究成果が生まれているようです。

<最近の研究によれば、建設に従事した人々は奴隷などではなく、綿密に組織立てられたグループ単位で働き、豊かな食生活を営んでいたという。1988年、ギザのスフィンクスが位置する場所から約400メートル南で、当時の人々が住んでいた町「ピラミッド・タウン」の跡が見つかって以降、こうした状況が徐々に分かってきた。定説が塗り替えられるのも古代史の面白さだ。>

 

これまではピラミッドやスフィンクスといった世界遺産にばかり注目がいっていましたが、その建設を担った人たちはどうだったか、「ピラミッド・タウン」といった作業現場・まちの様子にも注目されるようになったわけです。

 

私が以前このブログで紹介した澤田瞳子著『与楽の飯 東大寺造仏所炊屋私記』は、奈良時代の東大寺大仏をつくる建設現場の状況について、飯場を舞台に見事に描かれていると思うのです。聖武天皇や行基の位置づけも興味深いですが、なによりそこで働く人たちの人物像が光ります。

 

また脱線しました。この「ピラミッド・タウン」から、いわゆる仁徳天皇陵とか応神天皇陵という巨大古墳も、もしかして人々がすすんでつくったのではと一瞬、思ってしまいました。日本書紀では、たしか唯一に近い古墳築造の様子を描いている、箸墓築造については、庶民が協力してバケツリレー並みに二上山から土を運んだとか記されていたかと思います。そんなことは・・・と思っていましたが、もしかして・・は一応、考えておく必要がありましょうか。

 

なにせ「仁徳」と何世紀も経った後、諡(おくりな)がつけられたわけですから、そういった伝承があったのかしら。竈の煙の話はどうもと思うのですが。

 

もう一つ、この記事で興味を惹いたのは3人の女性研究者でした。一人は日本人。

<発掘チームの中に、エジプト在住歴17年の日本人考古学者、矢羽多(やはた)万奈美さんがいる。・・・ 「当時の生活を知る上で大切なのは、ゴミ捨て場です。考古学者にとっては宝の山。日本でいえば貝塚ですね」 ・・・ 一般労働者が住んでいたエリアからはヒツジやヤギの骨が見つかった。一方で身分の高い人々の居住区にはウシの骨が多い。「古代人にとってもやはり牛肉は高級だったようです。作業員はビールを飲み、パンを食べ、栄養価の高い食事をしていました。今はヘロドトスが唱えた『奴隷説』は、ほぼありません」 >と明快です。すばらしいですね。女性研究者のアプローチ、地味ですが定説を覆す意欲を感じます。

 

少し冗舌すぎるので、あと一人、<中米ドミニカ共和国出身の女性考古学者キャスリーン・マルチネスさん>を取り上げます。<本業は弁護士だが、古代エジプトに魅せられた幼少期からの夢をあきらめきれず、法廷に立つ傍ら、考古学の学位も取得。05年から私費も投じて発掘を始めた。20カ所以上を調べた結果、アレクサンドリアから約50キロ南西のタップ・オシリス・マグナ遺跡にたどり着いた。>やりますね。

 

で、マルチネスさん、<「自らをイシス神の化身と考えたクレオパトラは、アントニウスと共にここに眠っているはずです」>と、その墓を発見しようと、発掘を続け、いろいろ関係するような遺物を発見しています。アントニウスもクレオパトラも、ROMEでは極端な性的愛好家のような人物に描かれていますが、さて実態はどうなんでしょう。弁護士も十人十色ですが、こういう夢と希望を求めるタイプはいいですね。

 

ところで、もう一つの記事、<今週の本棚磯田道史・評 『新しい古代史へ1 地域に生きる人びと 甲斐国と古代国家』=平川南・著>は、さすがいま話題の歴史家・磯田氏が取り上げるだけの興味深い本です。ただ、西暦800年前後を古代と呼ぶのはやはり少し抵抗がありますが、わが国では仕方ないでしょうね。

 

<古代社会の地方のありよう>を語ると磯田氏は指摘するものの、「武蔵」「等々力」「栗原」という地名の呼び方とか、古代の一戸ごとのマイナンバー制とか、興味のある話ですが、どうも、暮らしの実相とまではいかないような取り上げ方です。ただ、栗原が呉原から来た馬の飼育場を意味する地名というのは分かりますが、等々力はなんでしょうね。昔ある大きな執行事件現場で、なんども下準備で訪れた東京の等々力渓谷近くを思い出しましたが、そこが馬と関係するとは・・・

 

今日はこの辺でおしまい。また明日。

 

 

 


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