たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

スウェーデンの選択 <自然は誰でも享受できる><税金は喜んで払う><世界遺産で散骨><森林資源をIoTで>などを考えてみる

2018-08-03 | 心のやすらぎ・豊かさ

180803 スウェーデンの選択 <自然は誰でも享受できる><税金は喜んで払う><世界遺産で散骨><森林資源をIoTで>などを考えてみる

 

NHK関口知宏のヨーロッパ鉄道の旅」は今週からスウェーデンに入りました。これまでも私の知らないヨーロッパ各地を垣間見せてくれ、毎日楽しみです。

 

今週からスウェーデンを10日間旅するのですが、30年近く前の話を思い出し、少し触れてみたくなりました。

 

その頃、バブル全盛の頃でしたか、スクラップアンドビルドで、東京は日々様子が変わっていました。周辺だけでなく、地方に産廃が不法投棄される状況もよく報道で取りざたされていました。他方で、金余りの日本企業は、世界各地で不動産を買い占め、わが世の春を謳歌しているかのようでもありました。また、東南アジアをはじめ途上国の天然資源を買いあさり、自然破壊をする一方で、大量にわが国に輸入し、そして大量消費、大量生産、大量廃棄の異様な大循環を増幅させていたように思います。

 

そのころ、スウェーデンの日本大使館かに勤められていて、帰国されたお名前はちょっと失念しましたが、その方の講演がありました。そのエコロジカルな生き方、高い税金ながら高福祉を充実させ、安心して暮らせる社会を作っていくやり方など、示唆に富んだ話だったと思います。ただ、わたしはたしか人口900万人くらいの国だからできるけども、わが国では現実味がないという印象をぬぐえず、評価しつつ、日々の仕事の中で次第に薄れていったように思います。

 

その後、スウェーデンについてのさまざまな調査や研究が持続的になされ、時折意識しつつも、すぐに忘れてしまうことの繰り返しでした。

 

今回知宏さんがスウェーデンを旅してさまざまな人と出会う中で、再び、まったく異なる国ですが、やはり参考にしてもいいのかなと思いながら見ていました。

 

軽い運動をしながら見ていて、メモもとっていませんので、記憶を辿りながら(情報が多すぎてすぐに忘れてしまいます)、そのうちのいくつかを取り上げてみようかと思います。

 

スウェーデンはとても広大な国ですが、人口は少ないですね。ですから知宏さんが駅の近郊を歩いていて、首都や観光地を除けば、滅多に人と会うこともない感じです。

 

どこだったか、森の続く中に湖があり、そこに一人の男性がたしか魚釣りをしていたのでしょうか、声をかけると気安く対応し、いまから自宅でパーティだと言って知宏さんを誘うのです。

 

彼は長年ためたお金で、郊外にホテルを建て、地域の再生に役立ちたいと言った希望を話したかと思います。その家族パーティでは、食卓に出たのは森の中などで自由に採取した果物やキノコでした?そういった食材がだされていたかと思います。そこで「アッレマンスレット」という言葉が突然出てきたのです。たしか関東弁護士連合会が90年代にスウェーデンの環境法典をはじめ環境規制を学ぶ中で、この言葉を象徴的に掲げていたか、あるいは私の記憶の奥底に刻まれたのか、ともかく懐かしい名前に遭遇したのです。

 

和訳すれば、自然享受権ともいうべきものでしょうか。日弁連が80年代に森林や自然破壊を守るために「自然享有権」を提唱しましたが、この「アッレマンスレット」は、開発に対抗する権利と言うより、個々人が自然の恵みを受けることができる生来的な権利・利益といった趣旨でしょうか。このような考え方は北欧ではそれぞれの国の言葉で認められています。

 

わが国では多少似通った言葉として、入会権がありますが、これまた多様ですし、やはり北欧の自然享受権とは相当違うように思うのです。

 

ともかくスウェーデンでは、だれもが森にある果樹や木のみ、キノコといった自然の恵みをとってもよい、また自然の中に立ち入っても良いことが認められているということが共通の認識であるようです。それは森や自然に対する考え方として、私たちも十分参考にして良いのではと思うのです。

 

わが国のように農地ばかりか、山林まで、異様なほど細分化され、またあちこちに散在するような土地所有形態となった今、このような考え方は容易に導入することはできませんが、意識改革もあってもいいのかなとふと思うのです。

 

話変わって、知宏さんが若い女子学生さん3人と意気投合し、彼女たちの健康的でのびのびした印象に魅入られたのか、彼女たちの借りている家に案内されました。とても広い居室で、たしか家賃が12万円で、3人で居住しているので3分の14万円を負担するだけだそうです。その3人は異なる地方からやってきて偶然一緒になったそうです。こういったシェアハウス的な利用、「コレクティブ」といった呼称だったかと思います。

 

そして一ヶ月の生活費は12万円弱とのことで、では家族からの仕送りも結構な金額かと思いきやまったくないとのことでした。それはすべて税金でまかなわれているというのです。たしか給付金が4万円(返済しなくても良い?)、奨学金が8万円(就職後返済)だったように思います。それで彼女らいわく、付加価値税でしたか高いですし、所得税もたしか50%くらいだったと思いますが、国民にとって全然高くなく、喜んで払うというのです。

 

日本の国税庁職員が聞くと垂涎の話でしょうか。たしかに負担した以上に、見える形で給付があればそれは嫌な負担とは思わないでしょうね。

 

他方で、両親とかは、子供に仕送りせず、自分たちの生活維持に使うことになる、まさに個人主義的な生き方の一つがここで現れているようにも思うのです。こういった考え方は国によって多少違うでしょうけど、西欧では割合多いのではと思うのです。

 

もう一つ、親子ずれが入れるコレクティブの賃貸用集合住宅にも招待されていましたが、きっかけは私が見ていないときにあったようです。ともかくその住宅は、若い親子が利用しています。母親と子だけの世帯もあるようですが、夫婦と子の世帯が普通のようであったかと思います。そこには幼いお子さんが遊べる部屋があり、そこには誰か必ず親が世話しているそうで、とくに担当がきまっていない雰囲気でした。そして紹介されたのは働く母親でしたが、彼女は仕事が遅くなって子供の食事や世話ができないとき、電話すると居住者の誰かが代わってみてくれるというのです。こういったコレクティブ住宅が人気を呼んでいるそうです。

 

それは子育てでも、親子でできなければ祖父母が世話するという日本的な対応ではなく、社会・国家が面倒を見るというスタイルとなっています。社会で育てるということでしょうか、さて虐待とか少ないといいのですが、おそらくそうではないかと思うのです。

 

他方で、祖父母はというと介護施設とか、高齢者施設に入居され、日本流の世代同居ということはないそうです。それは北米でも普通のような印象です。わが国ではそのような傾向はあまり見かけませんが、次第にそういうまったく関係ない人同士の共同住宅が増えてくるかもしれません。

 

この子育てにおいても、母親が子育てを担当するといったことはなく、夫婦が平等に自分たちの権利と責任?といった意識で、ともに担うという考えが普通のようです。ですので、共働きが97%くらいでしたか?ともかく両親とも働いている中、子育てのため、夫婦併せて480人の育児休暇が認められ、交互にとるようです。その間の給与も80%とか90%?ちょっとしっかり記憶していませんが、かなりいい金額でした。これもまた高い税金のおかげだそうで、皆さん、税金を払うことに嬉々としている?ような雰囲気です。

 

死後の世界はどうでしょうもついでに話すと、首都ストックホルムから電車で30分もかからないところにある、「スコーグスシュルコゴーデン」は現代の墓地としては唯一ではないかと思うのですが、世界遺産登録されています。

 

ここの礼拝場の建築様式もすばらしいですが、やはり森に囲まれた墓地、芝生の中に立てら得た墓標の様な塔、そして森に散骨され、自然に帰るなど、そのあり方は首都の墓地としてとても印象深いものです。木々の中で散骨される様子は、個々の遺骨・遺灰を問題にすることなく、自然への回帰を、森の民として望んでいるのかなと思わせるものです。

 

世界遺産での散骨というあり方も、とても象徴的です。

 

それはスウェーデンが森と湖の国であり、またバイキングを生んだ海に囲まれた国でもあるところに淵源があるのかもしれません。

 

ところで車窓から見る森は、それまでヨーロッパ各国の森とはまた一段と異なり、まさに平地に森が広がっています。知宏さんはある林業現場を訪れますが、わが国の普通の林業地と異なり、人はほとんどいません。SF映画に出てくるような大型ロボットのごとき最先端高性能林業機械があっという間に伐倒、造林、積込、運搬を一貫性をもって行っています。

 

私も最近日本で言う高性能林業機械の一つハーベスターの作業を見ましたが、従来通り、建設機械の土台にアタッチメントの伐採・造林機械を取り付けているもので、本来的な林業に特化したものではありません。移動部分はキャタピラで、どんどん森の中に押し進むといったものではないのです。ま、それでも一人がチェーンソーで伐倒、造林するよりは格段に早いことは確かです。

 

しかし、ホイールハーベスターと呼ばれ、車輪がたくさんつき、一定の段差や斜面にも対応でき、そしてキャビンは冷暖房付きで、しかもIoT機能が搭載されているのが北欧やEUではどんどん使われているのですね。(参考にコマツの<スウェーデンの森は、IoTの森だった>の末尾に動画がありますので、興味のある方はご覧ください。すごいですよ)

 

知宏さんが目にしたその機械も、わが国ではまだほとんど利用しているところがないのではと思われます。すごい勢いで長大木を伐倒したかと思いきや、立木当たらないように倒しつつ水平にして、IoTで入手した原木市場で求められている大きさを把握し、それに応じた長さ・太さにあっという間に裁断するのですね。

 

このような平坦に近い場所で膨大な森林があれば、こういった機械が有効に働くでしょう。

 

さて森林のもつ温暖化防止機能を発揮させようと、環境省・林野庁は林業生産の促進を図っていますが、日本の現状にあった対策が期待されるでしょうし、期待したいものです。

 

今日はこの辺でおしまい。また明日。


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はじめまして。 (やさしい鬼嫁@べたーはーふ)
2018-08-07 14:41:37
共働きの比率が凄いですね♪
日本もそんな風になってほしいですね。

コメントを投稿