本格的といっても、ほんの数センチ、積もる地域に比べれば微々たるものだ。又、俺が此処に来た頃の12年前に比べれば雪の積もる量もずいぶんと減った。このところ12月に入って訪れるお客さんの数もずいぶん減り、今日は日曜日というのにお客さんは来ない。薪ストーブにあたりながら本を読んでいる。ここちいい気分だけど貧乏性のせいか、売り上げと生活費の心配をしながら今ひとつ落ち着かない気分もある。
今「蠅の帝国」を読んでいる。太平洋戦争の知られざる一面を描いている。たくさんの資料を読み込み、何人かの軍医の戦争時の生活を描いている。個々の軍医になりきって声高でなく、平行な目線で淡々と。戦争のありえて欲しくない日常が伝わってくる。
これを読んでいて、若い連中はどう感じるか、又、手にとってたくさんの若者が読むだろうかと思ったけど、あまり期待は出来ないように感じた。若者にとっては江戸時代、明治時代と同じ遠い過去の出来事となるのではと思う、ちょっと諦観的になるけど。
今を体験、享受する若者にとって、IT事情についていけないおじさん達の今を見ていれば邪魔になってもうらやむことはないし、そんなおじさんたちの過去やそれに伴う感傷(本に対して俺がそう思っているわけではない) などうらやむことはない。ちょっと前のように先人が培った知識や智恵が尊ばれる時代ではない。昔の話をしても貧乏や社畜のどこが幸せなのだと疑い、携帯電話もインターネットのない時代なんて想像できないようだ。
今若者にとって、問題なのはお金を抱え込んだり、いろんな利権や既得権を抱え込んでいるおじさんたちがそれらを手放なさないことで、しかしもう数十年も待てば悲惨なおじさん達(その時はおじいさん)、そのおじさん達を横目で見ながら電脳社会を謳歌している若者(その時はおじさん)が垣間見える、、、と過去を感傷、未来を感傷的に思う俺がいる、雪景色を見ながら少々落ちてしまっのか。しかし景色で心地よくなった分、又もう少し生きてみたいとぐっぐっと力も入る。