あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

詩『小さな質問』を読む

2018-12-07 10:40:51 | 日記
先日、仙台自主夜間中学の「言葉の時間」で、四つ目の詩『小さな質問』の
読み合わせをしました。高階杞一さんの詩です。


   小さな質問
 
           高階 杞一

 すいーっ と 空から降りてきて
 水辺の
 草の
 葉先に止まると
 背筋をのばし
 その子は
 体ごと
 神さまにきいた

  なぜ ぼくはトンボなの?

 神さまは
 人間にはきこえない声で
 そのトンボに言った

  ここに今
  君が必要だから

この詩を取り上げた理由は、人間をはじめとするこの地球上に存在するいのちある
全てのものが、どれもなくてはならない 必要とされる大切な存在なのだ という
メッセージが込められているからです。

とんぼの神さまへの問いは、
『なぜ ぼくはトンボなの?』であったのに
神さまは、
『ここに今 君が必要だから』 と 答えます。

この神さまの答えを聞いて、トンボはどう思ったのでしょう?

神さまの答えの中に、トンボが知りたかったトンボである理由は語られていません。
それは、トンボであることに対する疑問(小さな質問)をはるかに超えたところで、
神さまは、トンボの存在をとらえているからなのでしょう。
トンボであるか人間であるかなどといった外側の区別は無用な問いであって、君の
存在(生きて在ること)そのものが、『ここ』という場所に『今』という時間の内に
『必要』なのだと…。

高階さんの詩に、こんな作品もあります。

   空への質問
        
         高階 杞一

 ここへ ぼくを呼んだのは
 なぜですか

 ここに今 ぼくのいるのは
 なぜですか

 ここに今 ぼくのいる意味は
 なんですか

 この広い宇宙の中で
 ぼくは 
 なんですか

 なんだろう

この詩の『ぼく』の問いの答えが、ある意味では『小さな質問』の詩なのではないかと
思います。

ここに今 ほくがいる理由も 
ここに今 ぼくのいる意味も
広い宇宙の中で ぼくは何者なのか という問いの答えも

ぼくが 『ここに 今 必要』とされる 存在なのだから なのだと。

それはまた、この世界においては 誰一人として必要とされない存在などないのだ
という 作者のメッセージでもあるのだと思います。

生きることの意味を自問し立ち止まった時、この『小さな質問』の詩がその答えを語りかけ
てくれるような気がします。
また、この地球上の誰もが この世界のいのちあるもの全てが 大切でかけがえのない存在
であることを 空の向こうから 語りかけているような…。













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