@TOHOシネマズ シャンテ
銀座で試写会(これは別記事にて後日)があり、
見れそうだったので、ついでに10年ぶりくらいにシャンテへ。
TOHOシネマズになってからは初めてでしたが、キレイになってました。
が、土曜だというのに、びっくりするくらい空いてました…。
実は私も、家族ものの映画って、実はあまり好んで見ないのですが、
アカデミー賞ノミネートに加えての好評価をたくさん目にしたので、
やっぱり見とくかと思い、行ったわけなんですがね。
個人的に、家族のお涙頂戴ものは苦手ですが、
父と息子や兄弟の絆、というジャンルは大好物なワタシ。
多分、女子の私とは別分類だから、親近感がなくて憧れがあるんでしょうね。
-------------------------------------------------------------
100万ドルが当たったという通知を受け取ったウディ(ブルース・ダーン)。
それはどう見てもインチキだったが、
徒歩でもモンタナからネブラスカまで金を受け取ろうとするウディに
息子のデイビッド(ウィル・フォーテ)が付き添うことに。
こうして始まった父と息子の4州をまたぐ車での旅。
途中、立ち寄った父の故郷で、デイビッドは父の意外な過去を知ることになる。
-------------------------------------------------------------
まず、事前情報ほぼ無しで行ったので、モノクロ映像に面喰いました。
しかも、穏やかで、静かで、単調な映画だったので、
早起きのために寝不足だった相方を私は、お互い小突きながらの鑑賞。
単調、と言いましたが、退屈、という印象がないのが凄いです、この映画。
鑑賞後、結構日にちが空いてますが、時間が経てば経つほど、どんどん評価が上がっています。
これ、年末までには、1位になってんじゃないの、という勢い。
地味な作品ですが、まごうことなき、傑作ですよ。
「ふたつの」というサブタイトルがついていますが、
父と息子、だけにとどまらない、家族の物語だと思います。
宝くじが当たったと思い込み、当選金を取りに行くと言い張る父と、
勘違いだと分かっていてそれを止める家族、とう構図は、
一見、コメディタッチに描かれていますが、
物語が進むにつれて、それだけではない、優しく温かく人間臭く、群像劇が繰り広げられます。
途中途中のパパの困った行動に翻弄される息子(次男)の姿には同情してしまいますが、
どうしてもパパを憎めない気持ちにも共感。
本編の後半で、ママがパパのことを「断れない人だ」と皮肉的に称しますが、
きっとこれは、少し捻くれた、妻の愛かなと、私は受け取りました。
すごく良い人なんだよね、このパパ。
そんな家族が、旅の途中で立ち寄る、父母の故郷。
宝くじの高額当選という事実(いや、事実ではないのだけれど)によって、
人となりが、見えてくるのが、何とも悲しいです。
昔の借金の話を無理やり持ち出してくる友人や、タカってくる親族。
「端的にいうと、カネが欲しい」とか、せめてもっと回りくどく言ってくれよ!てくらい、
下衆どもは、みんな直接的。溢れる悪意。
もちろん、お金のことを聞いても何も言わない人もいて、
そこで見え隠れする、人間関係の取捨選択の切なさ。
でも、卑しい他人と関わる中で、一枚岩になっていく家族の姿が、
時にユーモアを交えて描かれていて、なんだかとても温かい気持ちになります。
それまでは、デリカシーのない発言の数々で辟易させられたママとか、
両親の面倒も見ずに家を出て、一見冷たいのかなと思わせる兄とか、
最初から最後まで、ちょっと戸惑いながらもパパの味方をしている主人公(弟)に
少しずつ見えてきた、でも本当は最初から変わらずにあった、家族の絆。
陰で金をせびる親族を一蹴するママや、
父母に対する嫌がらせに目を見合わせて仕返しを企む兄弟の姿が、
コメディ要素も交えて、非常に心温まります。
後半、再度ネブラスカへ向かい、そして事実を知った父。
でもそこからの帰り道の、父と息子の会話、そしてその後の息子の行動、には
とても静かな、でも溢れんばかりの優しさを感じ、
そこまで一気に積み上げてきたものがこみ上げて来ました。
ラストのトラックランなんか、本当に号泣必至ですよ。
俳優は、アカデミー賞ノミネートのブルース・ダーンをはじめ、
みなさんとても素晴らしかったです。
特に、ママ役の女優さんはパンチ効いてました。なかなかあの存在感は出せないですよ。
と思ったら、助演女優賞ノミネートされてました。まあ、当然かあ。
鑑賞からずいぶん時間が経ってしまったので、
何だかうまくまとめられないんですが、
今年のアカデミー賞ノミネート作品の中で、地味ながらにこの映画ほど納得の作品はないです。
シャンテ・シネの空きっぷりから鑑みると、あまり見られてないのかなあ。
確かに目立たない映画ですが、これ本当に傑作ですよ。
DVDでも伝わるだろうけど、私はぜひとも劇場で見てほしい作品です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます