2015年一発目の映画。
ここで躓けないぞ、と慎重に作品選びをしたところ、
大当たりを引いたと思います。
去年観ていたら、トップ10入りだったでしょうね。
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32歳の一子(安藤サクラ)は実家でだらしない毎日を過ごしていたが、
離婚して実家に戻ってきた妹の二三子といざこざを起こし、
一人暮らしをすることに。
100円ショップで深夜労働にありつき、
相変わらずな日々を送っていたものの、
ボクサーの狩野(新井浩文)と恋に落ちる。
狩野との幸せな日々はすぐに終わってしまうが、
ある日、たまたま始めたボクシングが一子の人生を変える。
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正直、ありがちなロードムービー的な邦画かと思っていたんですが、
どちらかと言うと、スポ根です。
導入部の安藤サクラの演技見て、あ、これは良い感じだぞと思いましたが、
後半はもう、ボクシングに興味なくても、
話というより、画面にグイグイ引き込まれる感じというか。
強いて言えばですが、
「ボーイズ・オン・ザ・ラン」を観た時と似ています。
が、ちょっとだけ違いました。
主人公・一子(いちこ)32歳。
家を出て、一人暮らしをして、労働して。
三十路超えて処女捨てて、初彼氏と同棲して、若い女に乗り換えられて。
人生の中では、結構大きめなイベントが続く中、
三十路女は、哀しみさえも静かに受け入れ、毎日を生きてゆくのです。
10代の乙女みたいに、一喜一憂してられない。そんな時間も、体力もない。
哀しいには違いないんだけど、それよりも生活が大事。
私は今、一応自ら生計を立てている身なので、
一子の静かな哀愁に、物凄く、共感してしまったのですが。
でもそれだけじゃなかった。
キッカケは、初恋の人が辞めたボクシングだったけれど、
多分、一子が惹かれたのは、狩野でも、ボクシングという競技でもなくて、
誰かが何かに一生懸命になるということ、だったはず。
だから自分も飛び込んでみた。
他の人はどうだか分からないけれど、
私のような、良くも悪くも平坦な日常を送る三十路女には、
一子の頑張る姿は、眩しくて、でもものすごく勇気を貰いました。
映画表現的な是非は分からないけれど、
王道ながらも、爆音のロックで走る一子の姿は、
今まで観たどの映画のヒロインよりもカッコ良かったです。
試合シーンも、リアルなボクシングを観たことない私にとっては、
迫力もあり、人間ドラマもしっかり描かれて、途中で、何回も泣きました。
結果も分かってはいたけれど、分かっていながら号泣ですよ。
ラストシーンも、是非はさておき。
最後の最後で、三十路にも夢を見させてくれるというか、
いいじゃん、映画なんだもの、という前向きな結末。
ドラマチックさとリアリティが、
バランス良く散りばめられた、良い映画でした。
役者については、もう、安藤サクラ!!!!!としか言えないです。
彼女が素晴らしい女優だということは知っていましたが、
2番手・3番手でこそ存在感を放つイメージだったんです。
が。
主演も文句無しですね。
若い世代で、また1人、出演作を見逃せない女優さんが増えました。
日本アカデミー賞では別作品で主演女優賞にノミネートされてますが、
本作は選考対象ではないのかしら?
2作品あれば、間違いなく最優秀主演、獲れると思いますが。
観て損はない作品だと思います。
男子よりも、私世代の女子にオススメしたい映画。
レイトショーで、上映が続いておりますゆえ、
女子の皆様、お見逃しなきよう。
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