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何ともはちゃめちゃな映画『ヘルタースケルター』

2013年04月27日 23時27分08秒 | Weblog

 何ともはちゃめちゃな映画を見た。あのお騒がせ女優である沢尻エリカが主演をした、全身で演技したと評判の映画『ヘルタースケルター』がWOWOWで放映されたのである。しかし、女優として美しくなりたいという本能はわかるが、全身整形をしての「美」は・・・。しかも、その美容クリニックは、ある恨みを秘めて「美」を提供する犯罪者なのである。次第に、美が崩れていく状況に愕然とする。しかし、この映画には沢尻エリカ主演のわきを固める名優たちが多く参加している。その点も見どころである。
 雑誌「フィール・ヤング」で連載され、高い人気を誇る岡崎京子のコミックを実写化した、異色にして衝撃のドラマ。全身整形によって誰もがうらやむ美しさとスタイルを手にしてトップモデルへと上り詰めた女性が、欲望と背徳に満ちあふれた芸能界でさまざまな事件を引き起こしていく。『パッチギ!』『クローズド・ノート』の沢尻エリカが、自ら出演を熱望して虚構の美をまとったヒロインを熱演。メガホンを取るのは、『さくらん』で独特のビジュアルセンスを見せつけた、写真家の蜷川実花。『ハゲタカ』シリーズの大森南朋、『キャタピラー』の寺島しのぶ、『ノルウェイの森』の水原希子ら、実力派や注目株をそろえた共演陣も見どころだ。
  「どうして神様はまず私達に若さと美しさを最初に与え、そして奪うのでしょう」  シェークスピアか何かの引用か? と思いきや、これは岡崎京子の漫画原作中でサブキャラのひとりが吐くセリフである。そして、その言葉は、映画中にも印象的に使われ、蜷川実花監督の絢爛と全くその細部に嘘がないポップの筆致で増幅され、沢尻エリカという女優の力で大きなうねりとなって、もう、そのことは了解済みで現在を生きている女たちをも突き飛ばす。  バブルの余韻がまだあった頃の原作の映画化だが、時代遅れどころか、多くの要素を含んでいることに驚いた。若さと美の状態を引き延ばすりりこの欲望は、大金を積まなくても、進化した化粧品で一般化されているし、当時は芸能人やプロスペックだったつけまつげは、今や、女子高校生アイテム。美容整形のタブー感も加速度的に払拭されて、美魔女が賞賛を浴びるフリークな時代が今なのだ。おまけにそれを手に入れても、全く満足できないし幸せでない、というりりこの”境地”までをも、今の女性たちは体感してしまっている。ラストのりりこの顛末記を、私は当時、ガルシア・マルケスの小説的なファンタジーと捉えたのだが、今や、ソレを現実に生きている女たちは少なくない。  沢尻エリカのキャスティングは、彼女のスキャンダラスな生き様と若さと美のエクストリームなあり方の一致から、これはもう、言うこと無し(復帰作としても、原作が漫画文化の中の伝説的名作なので、話題性は充分)。果たして、スクリーンでの沢尻の演技と存在は、もともと「パッチギ!」ですでに注目されていた才能が、見事に開花したかのようなとんでもなく素晴らしい出来であり、劇中の大写しのりりこの叫びと涙は、まんま観客の女性たちの心の闇が現出したよう。最近の映画で、そこまでの主演女優の「メディア性」を出し得た作品はなかったのではないか。奴隷のように扱われるが、M女の暗い支配性をかいま見させる付き人役の寺島しのぶ、いつもの桃井節が役柄に今回はバッチリ当たった桃井かおりなど、女優脇役の名演も、やはり、女の当事者としての魂がこもってしまっているのでる。


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