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中国メディアよ、アベノミクスの停滞を腐している場合か?

2016年08月21日 10時26分11秒 | 国際・社会
不良債権急増で引火目前の自国経済に目を向けよ!

 最近、中国メディアでは安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」の不調をあげつらう記事が目につくが、中国も火種を抱えている。習近平指導部が掲げる構造改革だ。過剰生産の解消や競争力の強化を目指して国有企業の再編に乗り出しているが、中国経済の病巣を一気にあぶり出しかねないリスクもはらんでいる。

アベノミクスは停滞

 「日本経済、刺激だけで改革なし」「日本経済 活性化しようとするほど危険な状況に」「日本経済が低迷、アベノミクスも『起死回生』ならず」

 人民網(日本語版)にはこんな見出しで日本経済の現状を分析する記事が相次ぐ。

 具体的には「日銀主導の金融緩和策が効果を失いつつあり、政策の余地が狭められている」「社会保障改革が進まず、財政一体改革にいたっては後退している」などとし、「アベノミクスの停滞」を指摘。「日本経済は安楽な衰退を続け、好転の兆しは少しもみえず、経済を活性化しようとするほど危険な状況に陥るという不可思議なループに一歩ずつはまりこんでいる」と断じている。

 確かに、日本経済はデフレ脱却が遅れ、安倍首相も自らアベノミクスは「道半ば」と認めている。民需主導の持続的な成長につなげる官民の努力が急務なのはいうまでもない。

 だが、そんな日本にとっても気がかりなのは、中国経済の先行きだ。中国メディアは日本経済を憂えるほどには、自国経済の問題に頓着していないようにみえるが、中国経済の失速は世界経済の足を引っ張りかねないだけに心配せざるを得ない。


国有企業再編が加速

 その中国では国有企業の再編が加速している。

 ブルームバーグによると、中国政府は国有企業再編の一環として重機メーカー、中国第一重型機械の親会社と新興際華集団との統合を検討。統合計画は予備的段階で、変更の可能性もあるが、昨年時点の資産は合わせて約1700億元(約2兆6231億円)に上る。

 新興際華集団の主要事業は金属精錬・加工や繊維、衣料品の製造など。中国第一重型機械は鉄鋼、電力、エネルギー、自動車、鉱業分野の製品やサービスを提供している。両グループの董事長(会長)は劉明忠氏が務めているため、再編に関わる協議は円滑に進む見通しという。

 中国政府は大手製鉄各社を2つの巨大鉄鋼グループに再編することも検討している。鉄鋼業界をそれぞれ同国の北部と南部に拠点を置く2グループに集約する計画だ。

 生産量で中国最大の河北鋼鉄集団と首都鋼鉄集団を統合し「北方中国鉄鋼集団」を設立。生産量2位の宝鋼集団と武漢鋼鉄を統合し「南方中国鉄鋼集団」を設ける。小規模の鉄鋼各社も順次、2社に吸収される見通しで、中国の鉄鋼業界は欧州の同業大手アルセロール・ミタルなどに規模の面で並ぶことになるという。

 国有企業の再編をめぐっては、昨年に2大鉄道車両メーカーが合併して世界2位の中国中車集団が誕生。今年2月には、海運2社のの統合で世界4位の中国遠洋海運集団も発足した。

 9月には浙江省杭州で20カ国・地域(G20)首脳会議があり、再編の加速は議長国として「改革姿勢をアピールする狙いがある」(アナリスト)との見方も強い。


ゾンビ淘汰にリスク

 国有企業の再編は習指導部が打ち出している供給側構造改革の柱だ。鉄鋼や石炭などの過剰生産設備を整理して赤字体質の「ゾンビ企業」を淘汰し、実質経済成長率で年6・5%以上の「中高速成長」に軟着陸させるシナリオを描いている。

 中国の過剰生産は特に世界の「鉄冷え」の元凶として問題視されている。中国で余った鋼材が安値で海外市場に流れ込み、世界の鉄鋼メーカーの業績に悪影響を及ぼしているためだ。7月下旬に中国で開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議でも、世界的な課題として位置付けられるなど、日米欧は過剰生産を解消するよう圧力を強めるが、中国側は「世界経済の低迷が原因」などと反発している。

 ただ、中国としても過剰生産はなおざりにできない問題だ。中国の4~6月期国内総生産(GDP)成長率は物価変動を除く実質ベースで前年同期比6.7%増と7年ぶりの低水準だった1~3月期から「横ばい」で、景気減速がひとまず下げ止まったことを示した。しかし、「過剰生産能力を抱える製造業では、投資抑制が続くことが見込まれるため、このまま回復に向かうほどの勢いはない」(伊藤忠経済研究所)。

 国有企業の再編による過剰生産の解消は今後、地方政府の支援でどうにか生き延びているゾンビ企業の淘汰にどこまで踏み込めるかにかかっている。中国では景気減速で企業の資金繰りが悪化して不良債権が急増しており、日本総研の独自資産では昨年末の潜在不良債権比率が8.6%と公式統計(1.7%)の5倍に達した。

 杏林大の馬田啓一名誉教授は世界経済評論IMPACTで「中国政府がゾンビ企業の淘汰を急げば、それによって潜在的な巨額の不良債権が一気にあぶり出される。それが信用収縮につながり中国経済への下振れリスクが強まることを中国政府は最も恐れている」と指摘する。

 構造改革の一段の加速は中国にとってイバラの道となるのは避けられそうにない。

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