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Activated Sludge ブログ ~日々読学~

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●②飯塚事件冤罪者を死刑執行:「死刑存置か? 廃止か?」…話題にも上らない、死刑賛成派8割なニッポン

2017年09月10日 00時00分15秒 | Weblog


(※ その①戻る[←ココ])

NTVのウェブ頁【NNNドキュメント’17死刑執行は正しかったのかⅡ 飯塚事件 冤罪を訴える妻】(http://www.ntv.co.jp/document/backnumber/archive/post-63.html)。
マガジン9の記事【雨宮処凛がゆく!/第424回:もし、冤罪で捕まったら〜「死刑執行は正しかったのか」から考える〜の巻】(http://maga9.jp/karin170906/)。

   『●NNNドキュメント’13:
      『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』

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http://www.ntv.co.jp/document/backnumber/archive/post-63.html

NNNドキュメント’17

2017年9月3日(日) 24:55
死刑執行は正しかったのかⅡ
飯塚事件
冤罪を訴える妻

25年前、福岡県で幼女2人が殺害された「飯塚事件」。犯人と断定された男は、死刑執行された。しかしその後、冤罪を訴える妻が福岡地裁に異例の死後再審請求を起こす。4年前、番組では死刑判決の証拠のひとつDNA鑑定の疑惑を放送。再審は棄却されたが、地裁はDNA鑑定を事実上証拠から排除した。残る証拠を争点に妻は高裁へ即時抗告。今回カメラの前で初めて胸の内を語った。はたして死刑執行は正しかったのか

ナレーター/湯浅真由美 制作/日本テレビ 放送枠/30分

再放送     
9月10日(日)11:00~ BS日テレ
9月10日(日)5:00~/24:00~ CS「日テレNEWS24」
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http://maga9.jp/karin170906/

雨宮処凛がゆく!
第424回:もし、冤罪で捕まったら〜「死刑執行は正しかったのか」から考える〜の巻(雨宮処凛)
By 雨宮処凛 2017年9月6日

 あなたは死刑制度に賛成だろうか、それとも反対だろうか。
 この国では、死刑に賛成する人の割合は約8割だという。それほどの人が「必要」だと思う死刑制度。が、被害者感情などは多く語られても、制度そのものの「欠陥」が語られることはあまりない。
 なぜ、そんなことを書いたのかというと、ある番組を見たからだ。それは9月3日に放送された「NNNドキュメント′17 死刑執行は正しかったのかⅡ 飯塚事件 冤罪を訴える妻」。
 飯塚事件とは、1992年、二人の女児が殺害された事件。その犯人として逮捕されたのが、久間三千年氏。逮捕された彼は一貫して無実を訴えていたものの、06年に死刑が確定し08年死刑が執行される。
 しかし、死刑執行されてから、重要な証拠のひとつに疑惑が浮上するのだ。それがDNA鑑定。当時のDNA鑑定の手法であるMCT118型鑑定の信憑性が大いに揺らぐのである。ちなみに、同じ鑑定方法を用いて有罪とされた足利事件菅家利和氏は、再鑑定によってDNA型が一致しないことが判明し、釈放されている。久間氏の有罪の決め手のひとつとなった鑑定は足利事件と同じ鑑定人によって同じ方法で行なわれていた
 この事実だけとっても「冤罪」の可能性がものすごい勢いで浮かび上がるわけだが、番組では、警察の「見込み捜査」も指摘されている。
 事件現場で目撃されていた久間氏のものらしき車。が、なぜか日が経つにつれ、目撃証言はより具体的になっていく。そして車の型も、最初から久間氏のものに合わせたタイプに絞られているという不思議。その背景には、事故の4年前に7歳の女の子が行方不明になるという事件があった。久間氏はその際、事情を聞かれていたのだ。
 4年前の行方不明事件。捕まっていない犯人。その際に事情を聞かれていた久間氏。そうして不自然な目撃情報と未成熟なDNA鑑定のもと、事件から2年後に逮捕されてしまう。そうして08年、久間氏は無実を訴えながらも死刑執行されてしまうのだ。
 番組を見て、今年5月、冤罪の被害に遭った人々に会ったことを思い出した。
 お会いしたのはこの連載の414回でも触れた、「不当逮捕から54年 狭山事件の再審を求める市民集会」でのこと。
 この日は、狭山事件(詳しくは414回を参照)で逮捕され、31年も獄中生活を余儀なくされた石川和雄さんだけでなく、「冤罪オールスターズ」と呼びたくなる面々が集まっていた。
 67年、茨城で起きた「布川事件」の強盗殺人犯とされ、29年も刑務所にブチ込まれた桜井晶司さん(2011年、無罪が確定)。66年、一家4人が殺害された「袴田事件」で犯人とされ、48年も獄中に囚われていた袴田巌さんの姉・秀子さん。そして90年、栃木で起きた「足利事件」で女児殺しの犯人にでっち上げられて17年を獄中で過ごした菅家利和さん(2010年、再審で無罪が確定)。
 石川さん、桜井さん、袴田さん、菅家さんの4人を合わせた獄中生活の期間は、なんと125年である。
 無実の罪によって、何十年も獄中生活を強いられる。自分の人生で絶対に起きてほしくないことランキングの3位以内に確実に入る事態である。が、私の目の前に、そんな経験を余儀なくされた人たちがいた。そうして、何十年もの人生を奪われていた。「許せない」。足利事件の菅家さんは、集会スピーチで何度も何度もその言葉を繰り返した。
 が、まだ彼らは「まし」な方なのかもしれない――。飯塚事件の番組を見て、思った。なぜなら、久間氏は無実を訴えながらも、既に死刑を執行されてしまっているのだこれほどに「取り返しのつかないこと」って、他にあるだろうか未成熟な鑑定手法。事件解決を急いだ果ての見込み捜査。4年前の女児行方不明事件が解決していない警察の焦りもあったのだろう。この辺りは、狭山事件と非常に似た構図である。
 狭山事件の一ヶ月前には、東京で「吉展ちゃん誘拐事件」が起きていた。この事件で身代金を奪われ、犯人を取り逃がすという大失態を犯していた警察は、世間の厳しい批判に晒されていた。警察の「メンツ」を賭けて、とにかく一刻も早く犯人を逮捕したかったのだろう。そこで捕まったのが、出身の石川和雄さんだった。
 自分たちのメンツを何よりも重んじる「仕事できない」集団の暴走によって、数十年を奪われるどころか命そのものを奪われる――。もし、自分や大切な人の身にそんなことが起こったら。そう思うだけで、怒りを通り越して気が遠くなってくる。
 そんな飯塚事件から思い出したのは、イギリスのある冤罪事件だ。死刑執行後に真犯人が見つかるという悲劇からイギリスでは60年代に廃止論が高まり、死刑執行はされなくなったのだ
 が、この国では、「死刑」についての議論が盛り上がることはほぼない。多くの人にとって、警察の捜査は疑問を挟むものではなく、「冤罪かどうか」などという疑いを持つ人も少ないだろう。が、冤罪についての本などを読むと、決して他人事でないことがよくわかる。自分が犯人でないことから取り調べに適当に応じたり、ちょっとした嘘をついたことがのちのち取り返しのないことになってゆくのだ。
 冤罪などに関心のある人にお勧めしたい本は、NNNドキュメントを手がけた清水潔氏の『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』だ。「文庫X」として話題になったあの本である。足利事件や飯塚事件、そしてDNA鑑定のMCT118などについてがよくわかる。また、このDNA鑑定については、最近出版された青木俊氏の小説『潔白』にも詳しい。ちなみにこの本の帯の言葉は「死刑が誤りだった時、国は全力で真実を隠蔽する」。緻密な取材に基づいたリアリティ溢れる小説だ。布川事件について知りたい人は『冤罪放浪記 布川事件 元・無期懲役囚の告白』を読むといい。狭山事件についてはやはり鎌田慧氏の『狭山事件の真実』だろう。
 これらを読めば、この国の死刑制度や司法、捜査のあり方などに大いなる問題意識を持つことは間違いないだろう。
 まずは、知ること
 普段から「自分が一文無しになったら」「住む場所がなくなったら」などが不安で貧困問題の取材と称していろいろ情報を収集しまくっている私だが、「冤罪で捕まったら」という場合のノウハウまで手に入れられたら、はっきり言って無敵である。この国では、情報の有無が時に生死を分かつ。知っておいて損はないはずだ。

     (左から、布川事件の桜井さん、袴田事件の袴田さんのお姉さん、
      足利事件の菅家さん、狭山事件の石川さん、私)
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●『戦後ジャーナリズム事件史』読了

2009年07月06日 07時27分15秒 | Weblog

『戦後ジャーナリズム事件史』、5月に読了。別冊宝島編集部編。宝島SUGOI文庫。2008年7月刊。

 「田英夫「ハノイの証言」の真実/TBSが「権力」に屈した日 生き証人・田英夫が語り残す「キャスター解任事件」の真実」(pp.50-66)。「イラクを取材して拘束されたフリージャーナリストたちは「自己責任をわきまえない輩」として指弾された。・・・イラクのサマワに日本の取材班はいない」。

 「長崎・本島市長銃撃事件(90年)/「銃撃された市長」スクープ写真 倒れた市長が私に語りかけた「あのひと言」」(p.108-124)。「マスコミの主体性を欠いた報道姿勢、言論の自由を自ら放棄するかのごとき姿勢である。・・・人の口を通してしか天皇の戦争責任に触れえない・・・」。

 吉展ちゃん事件(p.162)。

 寺澤有さん「「なんでもあり」警察組織/わいせつ、暴行、「強制尾行」―――「警察取材」でみる「なんでもあり」の闇世界」(pp.194-205)。ポチ。

 烏賀陽弘道さん「システムとしての「朝日だけバッシング」考/「朝日叩き」が見えなくする「ジャーナリズム腐敗」の本質」(pp.231-236)。「「朝日だけバッシング」の陰で、「やれやれ、矛先がこっちに来なくてよかった」と胸をなで下ろしている連中がいることを忘れてはならない」。
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●『誘拐』読了(1/3)

2008年10月28日 08時02分11秒 | Weblog

『誘拐』、9月に読了。本田靖春著。ちくま文庫。200510月刊。

解説は佐野眞一氏。「吉展ちゃん事件」を取り上げた、「戦後ノンフィクションを代表する傑作」(p.358)、「わが国の事件ノンフィクションの金字塔」(p.361)。「・・・のような誰からも忘れられた人間に何一つ手を差し伸べてこなかったこの国の政治の無策さに、あらためて激しい怒りを覚えることだろう」(p.361)。「高度成長の光がまったく差さない陰画世界の、さらに暗い彩り・・・世間から完全においてけ掘りにされたそうした影の部分に目をこらした作家がいただろうか」(p.360)。非正規雇用で使い捨てていく現在の政治状況下で記者たちはどうだろう?

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