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【辛淑玉[人材育成コンサルタント]・野中広務[元・衆議院議員]著、『差別と日本人』】
戦後処理。「野中 私にとっての戦後処理とは、わが国が他国を侵略したんだと。中国にも日本が軍隊を送ったんで、中国が日本に軍を送ったわけではないわね。・・・どうも、自らが戦後問題の処理をしようという意欲が欠けているのではないか。それが一番大きなこと。/・・・/中国置き去り日本人やその孫や連れてきた人たちと、拉致被害者の人たちとを比べると、・・・。そういう実態をみるにつけ、日本の政府っていうのは都合のいい時には日本人にし、都合が悪くなると日本人じゃないとする」(p.180)。
「辛 ・・・結局参政権をつぶし、その上日本国籍取得の話もなくなっていった。・・・/野中 ・・・そういう連中が、いま若手で何もかもムチャクチャにしてるんですよ、渡辺喜美とか中川昭一とかさ。/辛 あれ、ほんと悪いですよね。/野中 ともかくね、先の戦争で日本がやってきたことに対して、さきほどいったような認識や罪の意識が日本人にないというのは、これは非常に後世のためによくないことだと思っておるわけですね」(p.184)。
「野中 うちの女房は買い物も映画も僕と一緒にはいかないです、いまだにですよ。・・・/・・・うん。寂しいよ。このごろ余計に寂しくなった、年と共にね。俺の八十三年間の努力は何だったんだろう」(p.193)。
野中さんの「あとがき」。「ハンセン病訴訟で・・・国民から一定の評価を受けたが、当時、旧植民地の皆さんが切り捨てられていたことを、辛さんに指摘されて初めて知った。当時国会議員の職にあった者として恥じいるばかりだ。どうして気づかなかったのか、悪かったなと心底思った。」(p.196)。
「・・・戦争ごっこみたいに自衛隊の軍備を拡大しようとする声があがる。/街では非正規雇用の人たちが餓死寸前になっているというのに、そういうところには気前よく税金を投入する。政治家の目はどこを向いているのかと言いたくなる。弱者や虐げられた人に対する政治家の「鈍さ」は、差別と根っこでつながっていると思うのだ」(p.198)。
「・・・辛さんが御自分の体験や心情を包み隠さず話してくださった・・・辛さんは・・・時に嗚咽を堪えながら、また言葉も切れ切れに本心を語ってくださった。私も差別されてきた体験とそれと闘ってきた体験を持つだけに、彼女の気持ちが痛いほどわかり、思わず言葉を詰まらせた。心と心、魂が触れあうような気がした」(p.199)。
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