TINKERBELL BLOG

茨城県取手市「美容室アトリエティンカーベル」ティンカーベルのスタッフを身近に感じていただければ嬉しいです

第5回 みちのく潮風トレイル 2日目

2021年11月24日 | Weblog
金華山を無事クリアした僕は、そのまま女川港の駐車場でもう一晩お世話になることにしました。

第4回で区切りをつけた浦宿駅からここまでの「大六天山」を越えるルートを歩くためです。

同じく大六天山界隈もヒルが多く生息する場所としてハイカーたちを悩ませています。
ヒルが活動しないこの時期に歩いておきたいルートの一つです。

結局夕食にも温泉にもありつけなかった僕は、このままマイカーで食事を作り、車内を食堂車にしました。
カレーとライスパックを湯煎して食べました。
食後のおやつも行動食を半分食べちゃいました。コーヒーも入れてね。

夜はまだ風が強く、日が暮れてもシーサイドにあるスケートボードパークに子供たちがたむろしていました。
スケートボードがパークを擦る音がうるさいのでちょっと気になりなかなか寝付けませんでした。

そのあとは暴走族まがいの空ぶかしの排気音(コールと言っていますよね)が激しく耳につきました。
女川にもいるんだなぁ。
でもまだあまり上手くふかせないようですし、台数も4~5台と小規模です。
でもまあとてもうるさいのです。

そんなことを考えているうちに眠りにつきました。
今夜も車が揺れるほど風が強いのです。
そういえば地震もありました。
震度3でしたが、この場所だと恐いです。


午前4時15分起床。
目覚ましが鳴る5分前に自然に目が覚めました。

まず女川駅に向かいます。
駅まではおよそ10分です。
めちゃくちゃ寒いです。
真冬の格好ではないので余計にですね。
気温は3℃でした。

車に積んであったカップ焼きそばと豚汁を朝食にしました。
コンビニもあったけど、もうどうでもよかったのです。


女川から浦宿まで1区間電車で移動します。
6時の始発に乗りました。

浦宿駅に降りると路面が濡れています。
『まじかよ、雨降ってる』

雨粒も小さく降り方もさほどでもないのでこのまま行きました。


万石浦を背にしたここからがトレイル本線となります。
つまり前回の続きです。
6時過ぎているのにやっと薄明るくなった程度でした。

当然のことながら森に入るとまだまだ暗いです。
植林地を行きますが、分かりにくい低山の登山道のためトレイルテープが数多く見受けられました。
本当によく手入れされたトレイルです。


鉄塔が多い山です。
ここにこれを建てるのも大変でしょうね。
人間のやることにはいつも驚かされます。


植林地から抜け出るとこんな感じになりました。
相変わらず雨は降っています。
けっこう濡れるのでついに傘をさすことにしました。


展望台3分とあります。
今日は時間があるので行ってみることにしました。


ふむふむなるほど。


こんどは2分。



へ〜、きれいじゃないですか。
石巻市街がごちゃごちゃっと見えています。


トレイルテープに導かれて大六天山山頂を目指します。


分かりにくいですが、虹が出ました。
もっと濃くなればいいけどな… とカメラ構えるとどんどん薄くなっていきました。

でも、なんか得した気分です。


古い展望台があるピークを抜けて…


コースからちょっとそれると大六天山の山頂です。
ここは東北電力の電波塔がありました。


コースに戻ってこんな落ち葉の路を下っていきます。

すると…


『おお〜』っと思わず声があがりました。
怪しげな雲の向こうは太陽に照らされて輝いて見えました。
こんなに美しいんだね。


コバルトラインが見えてきました。
一般道を少し歩いてまた山道に入って行きました。


きれいに刈払いされています。
トレイルボランティアの人たちのおかげなのかな?
ありがとうございます!


今日は誰とも会話することなく一日を終えました。
女川港にゴールです。

結局、朝ごはん食べただけで食料の補給はしなくて済みました。
水分も気温が低かったので2日間で500mlペットボトル1本飲みきらずに終わりました。

さてこのまま帰って我が家温泉に入ろうかなー。
帰りはなぜかあまり遠く感じませんでした。

女川で日本酒を2本女房のお土産にし、友部のサーヒスエリアでお魚の干物を買って帰りました。

今回も往復で700kmを越える運転をしました。
そして女房から『お風呂洗ってあるからねー』とラインが入りました。
いつもありがとう。


おしまい。

歩行距離 12.7km
所要時間 4時間45分
累計標高差 +802m
33,800歩
累計日数 7
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第5回 みちのく潮風トレイル1日目 その2

2021年11月23日 | Weblog
11時15分、金華山港に到着しました。

一番に下船し、鳥居を抜けて舗装路を登ります。
これは結構な登りなので一般の方たちはキツいと思います。

グイグイ登って黄金山神社のところで右にそれます。
右に行ったのは僕1人だけでした。

ここから登山道に入っていきます。
さすがにヒルの姿は全く無く、ゲイターすらいらないと思いました。

小さな沢をいくつか越えたところでニホンザルがいました。
とても大人しく、僕が来ると少しずつ動いて避けてくれます。


小猿がいました。
木の影に隠れていますがよく見ると子供のくせにやけに大人顔のイケメンでした。


その先には群れがいました。
『ごめんねー そっち行くよー 通らせてねー』
と言うとのそのそと避けてくれます。
なんだかとても穏やかでした。


とにかく鹿も多いのでしょう、登山道には鹿の糞がおびただしい数でばらまかれています。
踏まずには歩けないと思った方がよいです。


島にはトレイルテープや案内標柱は少ないです。
でも迷いやすそうなところはおさえてありました。

鹿によって草が食べられてしまうようで、芝ぐらいしか残っていません。
そこに落ち葉が乗っていて道が分かりにくいところがありますが、よく周りを見て踏みあとを探せば問題ありません。


はい、お馴染みのこれね。
見つけるとホッとするのはトレイルを歩く人共通のものでしょう。


間もなく山頂へ続く稜線に出ます。


ここから山頂まで眺めの良い道が続きます。


けっこうキツい登りだと感じるのは僕だけかなぁ。

おひとり先行者が見えました。もう1隻出航したからそれに乗って来た方かな?
今日は同行者は欲しくなかったので途中の岩に腰掛けて少し休憩しました。


こんな感じ。


地球が丸く見えます。


新奥の細道の道標がありました。
そうか、こんなところもルートになっているんですね。
ちょっと興味あります。


はい山頂。
ここまで約1時間15分でした。

山頂には神社側から来たご夫婦? がいました。
『けっこうあっさり着くのかと思ったら大変だったー』と言っていました。

下山して神社も見てみたいので、座らずに降りていきます。
こちら側から登って来る人と10人ぐらいすれ違いました。


島の北側を見ながら降りていきます。


吸い込まれるように下っていきますが、岩が多くあまりスピードは上げられません。
それでも下りはやっぱり得意みたいで、何人もパスしていきました。


黄金山神社(こがねやまじんじゃ)到着です。
中では多くの人が参列していました。

新嘗祭(にいなめさい)は新穀を感謝するもので、他の地域で行われる秋祭りと同様なのだとか。
五穀豊穣を祈念する祭りと対になっていて日本古来から伝わる祭典だということです。


降りてきました。


鹿と目が会うと寄ってきます。
ここでは鹿は神の使いという位置づけになっています。

とても人懐っこいのは食べ物をねだっているのかな?


レンズを替えて撮ってみました。


終わったのかな?
降りてきましたね。


待合室のような建物がありました。
ここでおにぎりを食べました。

この日およそ100人ほどが島に入って来ています。


弁財天にはお金を洗うところが設けられています。

みんな洗ってましたね。
ここ黄金山神社に3年連続でお参りすると、一生お金に困らないというのですが… まあそうだといいですね。


僕?
僕はお金なんか洗いませんよ(笑)


あ、ポスト発見。
回収時間が書いてあるので出せるんだと思います。


御神木なのだそうです。
金華山は東奥三大霊場のひとつです。

さて港まで行きましょうかね。
神社には30分ぐらいいました。 スルーで抜ければ1周約2時間弱ってところでしょうか。


乗船は15分前ですが、その30分前でも十数人並んでいました。

帰りは行きより少ない人数でした。
おそらく宿泊されるのでしょう。

こんどは船室の方に座ってみました。
快適で眠くなりました。
(快適といってもエンジン音はうるさいし揺れは同じです)


今回お世話になった運行船「ベガ」です。
楽しい時間をありがとうございました。

さて、このあと時間はたっぷりあるので温泉入って海鮮に舌づつみといきましょうかね。

まず女房に地酒を買って〜
道の駅が新しく復興を遂げているので行ってみましょう。

お酒は買えました。
が、5月1日の地震災害の為温泉は休業中。
なんと道の駅は16時30分でしたが終わってました。
なるほどそういうところか···。

仕方がないのでコンビニとも思いましたが、持ってきた賞味期限が切れたライスパックとカレーで終わりにしました。
風呂ももういいや。
ま、こんなもんでしょ。

おしまい。


歩行距離 6.4km
累計標高差 +647m
所要時間 2時間30分
18,700歩
累計日数 6
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第5回 みちのく潮風トレイル1日目 その1

2021年11月23日 | Weblog
みちのく潮風トレイルは離島に渡るルートもあります。
歩くこと自体は難しくないけれど、船で島に渡らなくてはなりません。

船ってバスや電車みたいにひょいひょい来ないので、問題はどうやってアクセスするかなのです。

ちよっと調べてみると金華山はだいたい1日1往復。ただ、今回に限っては「新嘗祭(にいなめさい)の臨時便」が出るのです。

偶然見つけたのですが、なんと今日は祭日で火曜日(定休日)こんなこと年に1度あるかないかです。
それになんてったって金華山はヒルの山。
気温が低い時期じゃないとウジャウジャ張り付いてきて血を吸われます。
たんまりと血を吸ったヒルは半年ぐらい平気で生きると聞いたことがあります。

しかも血液の凝固を妨げる成分を持っているので、しばらく血が止まりません。
おー嫌だ。

このタイミングを逃したらしばらく金華山には渡れないなと思うと、絶対行くしかないのです。


今回歩いたのはこちらの赤線部分。

さて、問題は天気。
海が荒れると出航は取りやめとなってしまいます。
長期予報と毎日睨めっこしながら一喜一憂して待ちました。

今回の金華山へは「潮プランニング」さんの「新嘗祭運行便」で行きました。
催しがあるので、停泊時間も約3時間と長く(通常は1時間程度)山頂を周回するトレイルのコースにも対応出来ると思います。


出航は10時30分なので朝寝坊出来ます。
車の少なくなる深夜を狙って家を出ました。

遠い。とにかく遠い。
いや、まだ宮城県だぞ。
これからもっと遠くなるんだ、こんな事でめげてはいけません。

深夜2時30分に女川港に着きました。
駐車場は広いので適当に停めようと思いましたが、一番搭乗カウンターに近いところに停めました。

朝7時、LINEの口笛の音で目覚めました。
『そうか今日は親戚の舎弟の誕生日かぁ』
おめでとうと入力してまた寝ます。

さらにピーピューといって通知音が鳴ります。
『起きるか…』
8時20分に身体を起こし、昨夜買ってきたスパゲティサラダを食べました。

トイレに行きたくなり、カウンターのロビーに入ってみるとすでに社員さんたちが出勤していました。
『金華山へはこちらでよろしかったでしょうか?』と聞くと『はい、まだ準備が整っていないのでもうしばらくお待ちください』と感じよく答えてくれました。
『おトイレお借りしてよろしいでしょうか?』

トイレから出てくると発券してくれました。
『金華山往復3,500円です』


いったん外へ出て写真を数枚撮りました。

「はじまりの鐘」といのが設置されていました。サッポロビール社の寄贈だそうです。

·····
あの日 この町は大きなダメージを負った
大切な人を無くした 絶望しかなかった
いまをどう生きるかもわからなくなった
明日のことなど考えることもできなかった

それでも人々は起ちあがった
瓦礫に囲まれたなかでの生活にも耐えた
もう一度町をつくる決意を誓った
次の世代が誇りをもって住める町を目指した
一人ひとりが自分のできることをカタチにし
町をつくるパーツになった
いろいろな形や大きさの
沢山のパーツが集まり未来を目指した
私たちの戦いに共感し
寄り添ってくれる仲間もできた
そして私たちはこの町で
海とともに生きることを選んだ

壊滅的な状況や 深い悲しみに沈んでも
人は起ち上がり 何度でもスタートできることを
私たちは知った
この鐘の音が町の復興を目指した
熱い気持ちを思い出すことに
これから起ちあがる人たちへの
エールとなることを祈ります
·····

鼻の奥がつーんとなった。

さあ、乗船開始だ。
今日は新嘗祭のためほぼ満席となっていました。


船はけっして新しくはなく、船外を再塗装したものでした。
乗る時にタラップを降りると頭をぶつける人がいるので、係の人が逐一注意を促していました。
それでもぶつけてしまう人もいました。


船内は客室とビニールシートで覆ったベンチに分かれていました。
画像はベンチ側です。
写真を撮るなら一番後ろしかないです。
シートは透明ですが、年季が入っているのと雨風で透明感を失っています。
それと、タラップのすぐ後ろは風が入るのでめちゃくちゃ寒いと思いました。

慣れた手つきでロープワークし、トークもなかなか面白い乗務員のおじさんたちは何故かみんな整ったいい顔つきをしていました。


10時30分女川観光桟橋を出航し、リアス式海岸の外へと向かいます。

昨夜まで天気は相当荒れていましたが起きてみると予報通り晴れていました。
ちょっと風が強いので船が揺れるのかなと思いましたが、スキーでコブを滑る方がよっぽど衝撃が強いので大丈夫です。

サスペンションの柔らかい車でうねうねの道路を走っているような感じなので、背もたれに寄りかからず揺れを吸収するような気持ちで遠くの島を見ていると快適です。


11時15分 金華山港に着きました。


その2へ続きます。

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第4回 みちのく潮風トレイル その3

2021年11月12日 | Weblog
工事中の箇所を抜けられないでいる僕。
名取トレイルセンターに電話してみる事にしました。

『はい、みちのく潮風トレイル名取トレイルセンターです』

僕『全線踏破宣言中の高橋と申します。通行止め箇所の迂回路情報を知りたいのですが』
トレ『現在地をお願いします。お手元に地図はありますか?』
僕『牡鹿半島を北上ルートで浦宿駅に向かっています。手元には環境省配布の紙地図があります。現在地は風越トンネルを抜けて上林で折り返す部分です。注意情報を見ても何もなかったと思うのですが···』
トレ『わかりました。少々お待ちいただけますか? こちらで調べて折り返しお電話さしあげます』

なんと、あんなに良い天気だったのに空はいつの間にか鉛色の雲に覆われ、雨粒がボタボタと落ちてきました。
『なんてこった··· 』
思わぬ足止めに追い打ちをかけるように雨まで降ってくるなんて。
今日はやっぱりツイてない日なのか。

電話をただ待つのも嫌なので、来た道を戻り始めました。
雨は普通に降っています。

何だかカッパを着るのも面倒な気分なので、一応撥水加工してあるウインドブレーカーだけ着ました。
ザックカバーぐらいはしておくか··· と思い、ザックを降ろしてザックカバーのチャックを動かそうとしました。

う、動かないぞ。
なんだか白い粉が噴いています。
ありゃりゃ、腐っちゃってるよ。
カラビナかけて引っ張ってもだめ。

もういい。
濡れてしまいなさい。
どうでも良くなった僕でした。

風越トンネルが見えてきました。
『ちぇ、こんなところまで戻って来ちゃったよ』
下に走る道が見えました。
『あの道だな?』

そういえば来る時に踏み跡あったよな?

あ、ここだ。
入ってみます。

なるほど、これは植林地ですね。
ということは作業道が必ずあります。
慌てず尾根を外さないように移動していくと、ほーら降りれるところがありました。

トレイルセンターから電話が入りました。
トレ『現在やはりここは迂回指示が出ています。このまま直進して渡波駅からJRで浦宿駅に向かってください』
僕『わかりました。ありがとうございます。迂回情報が出ていたんですね、見落としていました。でも林業の作業道から万石浦沿いの道に出る事ができました』
トレ『そうでしたか、旅慣れた人で良かった。また何か困ったことがありましたらご連絡下さい』

僕の準備不足を露呈してしまったようです。

ここからは人も車もほとんど通らない道を歩くことになります。

一台の車が前から来ました。
ということは抜けられる事が確定しました。


万石浦が見えてきました。
車も往来しています。

ここまで来れば浦宿駅はあと少しです。

やっとの思いで浦宿駅に到着しました。
さてさて、タクシーは?
そうでしたここは無人駅なのでタクシーも常駐するほど大きな駅ではありませんでした。

近くのタクシー会社を調べます。

あるある、割と近いぞ。

『○○タクシーです』
僕『浦宿駅まで一台回していただけますでしょうか?
タク『ありがとうございます。浦宿駅ですね? どちらまでですか?』
僕『鮎川までお願いします』
タク『あぁ、予約でいっぱいなんですよ』
僕『え? 急にそんな』
電話は一方的に切られてしまいました。

つくづく色んなことがある日だなぁ。

女川駅に出ればタクシーいるかもしれないぞ。
調べてみると今の電話と同じタクシー会社の独壇場でした。こりゃだめだ。

ほかのタクシー会社をあたってみます。
渡波駅に別のタクシー会社がありました。
電話してみます。

僕『もしもし、浦宿駅まで一台回していただけますか?』
タク『浦宿駅ですね?10分ほどかかります。どちらまでですか?』
僕『鮎川までです』
タク『わかりましたお待ちください』

おおお! やった戻れる。

タクシーは捕まらないと本当に困りますね。
今回はこれでなんとかなりそうです。
本当に良かった。

10分後、優しそうな初老のおじさんが来てくれました。

『なるべく近くて早いルートで行きますね』と言ってくれました。

ちょっと話かけてみます。
僕『ここから鮎川まで行くのは遠くて嫌なものですか?』
運転手『いやいや、そんな事ないですよ。だいたい40分ほどで着きます』
僕『そうなんですか。近くのタクシー会社に電話したら断られたんですよ』
運『ははははは、そうでしょ。それでよくウチにも電話かかってきます。ここら辺はあの会社が独占してるんですよ。他の会社の乗り入れに反対したんです』
僕『そういうの、あるんですね?』
運『だから住民も困ってるんです。原発もあるしそっち優先しちゃうからいざという時に使えないんですよ』
僕『住民の方たちはそれでいいんですかね』
運『津波で何もかも変わってしまったんですよ。営業車両も軒並み流されてしまいましたから廃業する会社もあってね』
僕『やはりこのあたりも酷かったようですね。運転手さんのお宅は?』
運『だめでした。まだ建てて7年ほどでした』
僕『あぁぁ、すみません余計なことを聞きました』
運『いやいや、仕方ないですよ。自然には抗えない。でも保険入ってたんで1,000万位は出たんです。あと国から250万。それでも3分の1ですね』
僕『でもまた建てたんですね? すごい』
運『やっぱりね、人生の終盤はやっぱりそれなりのところで落ち着きたいですから』
僕『被害の状況は凄まじいものでしたか?』
運『それはもう。この辺りはリアス式海岸じゃないですか、だから波の力が集約されて力が大きくなるわけですよ。そしてさらに複雑に反射して何度も何度も津波が押し寄せてくるんです。悲惨な状態でした』

本当に凄かったんですね。
運転手さんのお話、思わずメモを取っていました。

運『私はねその時解体の仕事をしていましてね、ダメになった家屋を解体していくんですよ。するとマネキンが転がっているんで、こんなところにマネキンなんて··· と思ったら死体でした。始めは驚きましたが、そのうちいくつもいくつもご遺体にお目にかかるようになって、ついには何も感じなくなりました。だってそこら辺の木に引っかかってたりするんですから。随分とご遺体も運びました

なんということだ。
このトレイルはやはりただのハイキングとは違うんだ···。
そういう道を辿っているんだ。

僕『ボランティアの人達はどうでしたか?』
運『ボランティアの中には泥棒働いちゃう人もいましたけど、本当に助かりました。住民だけではとてもとても片付け切れませんよ。でもね、中○人はすごいですよ。排水溝の継ぎ目あたりの金網持ち上げて顔突っ込んでるんですよ。何やってるのかなぁ〜って見てると、そこに小銭が溜まるんです、それをみな持ってっちゃうんですから。それに避難した家屋に忍び込んで金目の物みんな持っていっちゃうんです。とにかく凄かった』

いろんなお話を聞けて良かったです。
震災の恐ろしさが少しだけ身近になりました。

そうしているうちに鮎川に着きました。
僕『運転手さんここで大丈夫です』
運『もう少し行ってあげるよ港はもう少し先だし、ほらメーター止めちゃったから大丈夫』
僕『実はここからまた歩かなくちゃならないんです。そういうルートになっていますから』
運『そうですか、それではお元気で。気をつけて旅を続けてください』

運転手さんに手を振ってお別れしました。
もちろんお茶代もね。


あたりは間もなく日が暮れます。
まだ17時前なのに、暗くなるの早いですね。

ここからマイカーがある「おしか御番所公園」までオフロード区間を歩きます。

月があるので少しだけ空と森の境い目が分かります。
あとは闇。


ヘッドライト使うことになるとは。
ダラダラと登る道が辛かったです。

舗装路に出ました。
ふと目の前にぼんやりとヘッドライトをつけて歩いています。
なんだ? こんな時間に歩く人いるんだなぁ。
でもやけにヘッドライトの灯りが暗いぞ。

頭が動かない。
えっ? 何?
人?
歩いてるの?
なんで身体が揺れないの?

だんだん近くなる。
おいおい、止まったのか?

追いついちゃうよ。

ん?
んん?

なんだよ、ただの電柱に張り付いてる反射板が木の陰にあるだけじゃん。
ついに幻覚っぽい。

スタートしてから11時間と10分、ついに歩き切りました。


ここは御番所山の山頂でもありました。

真っ暗な海と港の灯りにしばらく立ちすくんでいました。

いろいろあったけど、スルーハイクの若いご夫婦(2度目のスルーだそうです。結婚したからみちのく潮風トレイルを今度は奥さんと歩くんだそうです。すでに40日歩いていると言っていました)にも会いましたし、通行止め区間もうまくすり抜けられたし、タクシーの運転手さんにも恵まれたし、なんだかんだ言ってツイていたんじゃないですかね。

これからルートはさらに難しく厳しくなっていきます。
被災地を身体で感じながらじっくり歩いて行きたいと思います。


おしまい。

歩行距離 41.8km
歩行時間 9時間10分
累計標高差 +1,580m
59,000歩
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第4回 みちのく潮風トレイル その2

2021年11月12日 | Weblog
いくつもの入江や港を越えて行きます。
そう、リアス式海岸なのです。

リアス式海岸とは河川による侵食や隆起沈殿によって創られていった鋸の刃のような形状の海岸ですが、それだけではなく最終氷河期が終わった際の海面上昇によってさらに激しく形造られたと考えられています。
起伏の激しい土地がさらに沈水海岸すると多島海となります。

そして、その激しく入り組んだ海岸は津波に対して漏斗(じょうご)状になるため、その力は増大し、さらに対岸に反射し合うため、その反射波は被害を何倍も甚大なものにしていくのです。

ここ牡鹿半島も例外ではありませんでした。
のちにその証言を聞くことになります。
そのお話はその3で詳しく···。


ルートは墓地の裏から山道となりました。

この辺りは鹿が多く生息し、この時も防災放送で「鹿狩り」が行われるとの放送がありました。
山に入らないようにと促す内容でした。

山を越えるとまた一般道に出るというルートですが、心配していたヒルもさすがにこの気温で影を潜めたようです。
ただの1匹も出てきませんでした。

トレイルテープもあり、迷いにくくなっていますが見落とし注意です。


こんな標柱も登場しました。

道は割と歩きやすいです。
朽ち果てた関東ふれあいの道に比べると新しいトレイルだけに整備にも力が入っているなというのが率直な感想です。


「地震があったら津波の用心···」云々と文字が彫り込まれていました。
昭和八年三月三日、昭和三陸地震の際の震度は5、気象庁の推定マグニチュードは8.1で歴代7位ですが、リアス式地形のためその被害は甚大だったということです。
それも揺れによる被害はさほどでもなく、津波による被害が大きかったようです。

三陸地方では明治、昭和、平成(東日本大震災)と大きな地震が起きており、令和の世の中でもその不安は健在です。


ちょっとだけ紅葉していました。
このあたりの山道はすべてヒル区間です。
鹿が運んでくるんでしょうかね?


再び舗装路に出ます。
いくつもの浜を通り過ぎて行きます。
だんだんここが何浜で次が何浜なのか分からなくなってきます。


大越峠を越える山道です。
ちょっとした渓流沿いを歩きます。
道は分かりやすい方だと思います。


まぁこんな感じです。


桃浦小学校跡地がありました。
門だけ残っています。
普通に山道の途中にぽつんとありました。
え?ここに?という感じでした。


蛤浜(はまぐりはま)。
ここはバス路線が来ています。
けど、これに乗っても戻れないみたいです。


はい〜 蛤浜。
キラキラですね。


「風越トンネル」
けっこう長かった〜。
でも中は明るく歩道も広いです。


トンネルを抜けると「万石浦(まんごくうら)」です。

来る時に車で通った道です。
工事中で片側通行止めが2箇所ありましたが、歩行者はどこ歩いていいのか分かりません。
警備員も遠くに見えるだけなので適当に歩きました。

上林から折り返すように海沿いの道に降りて行くのですが、なんと全面通行止めです。

なにーっ?
聞いてないよぉ。

警備員さんに聞きました。
僕『この下の道に行きたいんですけど、この細い道も通行止めですか?』
警『通行止めです』
僕『迂回路ないんですか?』
警『わかりません』
僕『わからないって···』何のために立ってるんだ。
僕『この下の女川まで行く道のどの部分が工事中なんですか?』
警『全部です』
まさか··· 全部なわけないでしょ。

そうすると逃げるように影の方へ消えてしまいました。
調べに行ってくれたのではなく、逃げちゃいました。
現場放り投げて行っちゃうなんて···。

少し戻ってみることにしました。
するとカードレールにもたれかかっている警備員がいます。
見てるだけです。
交通整理はしていません。

話しかけてみます。
僕『すみません、この下の道はずーっと通行止めなんですか?』
警2『あーそうですねぇ』
僕『ずーっと通行止めなんですか?』
警2『わかんねぇんだよ』
僕『わからない?』
警2『うーん、わかんねぇ』

わからないで立ってるのか。

疲れてきて気が立ってしまったかも知れません。警備員さんの目を睨んでしまいました。

わからないものは仕方がない。
ちょっと戻ってみます。
下は崖のような急勾配でした。

そうだ、名取のトレイルセンターに電話してみよう。
ホームページで調べて電話をかけます。

『はい、みちのく潮風トレイルセンターです···』


その3へ続きます。

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第4回 みちのく潮風トレイル その1

2021年11月11日 | Weblog
今回は「牡鹿半島南部→北部」を歩きました。

今週は第一週の水曜日が祝日でしたので、第二第四水曜日が連休となりました。

このところの火曜日、僕の遊び場はあまり天気がよろしくないのです。
今週も火曜日は雨がらみの天気でした。

おかげさまで仕事も忙しく、お出かけの下調べがまったく出来ずという嬉しさです。
そして寝坊の新記録11時半を達成。

寝坊してみて感じたこと…。
・一日がとても短い
・長く寝ても疲れが取れるわけではない
・やる気が無くなっていく
・食事が二度で済む
・翌日の準備が無いというリラックス感
・そしてなんとも言えない敗北感

つまり、いい事は少ないようです。
さらに二週続けるとクセになってきて、悪魔がささやくようになってきます。

これではいかん。
歩かないせいで腰も痛いし、身体の動きも悪い。おまけに腹が出る出る。

ということで今回のルートはこちら↓


地図をパッと見ただけでもわかる通り、ここからの北上ルートはリアス式海岸で、歩くことよりもアクセスが大変です。

いつものように前夜発。
前日に調べ抜ぬいて位置関係や踏破方法を決めていきます。
結局6時間かけてやっと今回歩くルートを決めることが出来ました。
今日歩くところだけではなく、次歩きやすいところまで調べておく必要もありました。


現地到着は5時間車で走って午前1時30分。
ここにはまだ雨雲がかかっていて、結構な降り方でした。

今夜のねぐらは「御番所公園」の駐車場です。ここは「牡鹿半島」の突端です。

5時に目覚ましをかけて寝ましたが、またもやアラームが鳴らず。
仕事日用のアラームが鳴り、かろうじて50分遅れの起床となりました。

雨は上がっていて、目の前にどーんと海に浮かぶ金華山がそびえていました。

この金華山も再来週には渡航出来る予定を組んでいます。


「おしか御番所公園」にマイカーをデポしてスタートしたのが6時30分です。

急ぐ訳でもないので、ゆっくり行くとしますか。

と、この時までは鮎川港を周回してくる山道と大六天山の2箇所を歩いて終わるつもりで来ていました。

つまりヒル区間をこの季節に歩いてしまおうという計画です。

まずは雨で足元が濡れるのを嫌って、舗装路を鮎川港まで歩くことにしました。
これがのちに今日の行程を変更する事になるとは思いもしませんでした。

鮎川港を左手に美しい色を携えた海を見つめながら先へ先へ進んで行きました。


海岸沿いには簡易な建物しかなく、すべて津波にさらわれた事が想像できました。

GPSのルートに従ってしばらく進んだ時、ルートを確認するため地図を開きました。

愕然としました。

なんと周回するための道はとうに通り過ぎていました。
かなり進んでいたことに対して失敗の念が激しく僕を襲います。

さあどうする。


ここまで来て戻るのは時間的にも労力的にも苦しくなります。

プレハブの商店がありました。
『ボランティアの皆さんありがとう。見ててください小渕浜の底力』と書いてありました。

やはりこの道は今まで歩いてきたほかのトレイルとは気持ちが違いました。
この道を歩き終えた時、僕は何を感じ何を思うのだろうか。


バスはここまででした。
バスを使って戻るという方法も考えましたが、時間が合いません。

『決めた。このままこの鬼門でもあるルートを歩いてしまおう』

鬼門というのは、このルートが鮎川港に島を巡ってたどり着いたところから始まるからです。
つまり僕の短い休みではこのルートをスルーハイク出来ないのです。

夜間に車で移動することでスタート時間を早く設定できる利点にくらべ、電車で移動するとどうしても出発の時間が遅れることになります。
歩ききれないのです。

こうなったら浦宿駅まで行ってやろう。
マイカーに戻るには最悪タクシー使うしかないな。


歩きながらバスが使えるか、浦宿駅までの所要時間の算出をしていきます。

もう一つ問題が···。
地図が無い部分があります。
車には入っていますが、手元には無い。
もともとここを歩くつもりではなかったからです。

スマホにみちのく潮風トレイルのホームページから手元にない部分の地図をダウンロードします。

そしてバス路線はありませんでした。
この時点でタクシー決定です。
やはり駅まで行かないとタクシーは捕まらないでしょう。
呼ぶにしても距離があり過ぎます。

果たして浦宿駅にタクシーは常駐しているのだろうか···。
不安を抱えたまま運を天に任せひたすら歩きます。


その2へ続きます。

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2021七五三

2021年11月06日 | Weblog
抜けるような青空のもと、七五三のお支度をさせていただきました。

幸せ感半端ないこちらのご家族、実は僕の古くからの友達です。

彼女が独身当時にテニススクールで知り合いました。
彼の方は僕のフリースキー仲間です。

とんとん拍子に話が進み、あっという間に結婚しちゃいました。
彼の方はめちゃくちゃ優しいので、男として本当に勧められる人でした。


髪が少し短かったけれど、なんとか日本髪風に結あがったところです。
ご本人ご満悦です。
『可愛い〜』を自分で連発していました。
でも本当に可愛い〜♡


着付け師も可愛い〜可愛い〜と言って止まりません。
終始笑顔でした。


ママが終わるまで読書タイム〜


はい〜
ママ仕上がり〜
ママからは「銀座のママ風に」とオーダーを受けましたが、髪が短くギリギリでした。
でも、かっこいい〜♡


はい仕上がりましたー。

これぞ幸せな家族の見本ですね。
本日はおめでとうございます。
そしていつまでもいつまでも素敵な家族、素敵な親子でいて下さい。


ティンカーベルでは貸衣裳も承っております。びっくり値引きやありえないサービス満載で返却もらくらく。
技術者はヘア、メイク、着付の各分野でスペシャルな仕上がりをそれぞれに担当します。
成人式のご予約もまだあと少し入れそうです。

どうぞご利用ください。





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