HAPPY-GO-LUCKY!

E・コッカーと戯れる浪費派リーマンのゆるい生活

ロングライドに出かけよう

2009-05-08 11:15:38 | サイクリング

 空前の自転車ブームだ。

 週末は派手なウエアのサイクリストをそこかしこで見掛け、

「ジテツー」(自転車通勤)も定着。

ただ、著者の説くロングライドはブームとは一線を画す。

何せ数百キロ単位。

それも一気に走ろうというのだから、尋常ではない。

 

 

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 メタボ対策やガソリン代節約と、

「追い風」はさまざまに理由付けされてきた。

そこにやんわりと異を唱えたのが、前著「自転車で遠くに行きたい。」。

理屈じゃない。楽しいから乗るんだ―。

はるかかなたへ運んでくれる自転車の魅力をそうつづり、

肉体的、心理的な壁を越えるツールと位置づけた。

 

 

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その続編といえる本著の白眉は、

壁を軽々と越える人々へのインタビューだ。

軽量で機能性を追求したロードレーサーとともに、

四百キロ、六百キロ、そして千キロ以上を走る距離感の壊れた面々。

特別なアスリートではない。

著者の友人である、市井の六人の男女。

ただ、そのサドルの上からのつぶやきは味わい深い。

 

 

  「自分の耐久テスト」と、決してリタイアしない「必ず帰ってくる男」、

設定した目標のクリアに賭ける、ちょっと太めの東京大卒男性。

夫と走る三十四歳の女性は

「自己完結しないと本当の面白さはわからない」と、しなやかに自立をうたう。

映し出されるのは、それぞれの人生観であり生きざまだ。

  

  

 距離感を劇的に変えるロードレーサー。

半年前から乗り始めた記者にもその感覚はわかる。

いとも簡単に百キロ以上移動できるツールは、

隣県でさえ「ちょっとそこまで」との感覚にさせるのだ。

 

 そんな壊れた距離感を、著者は是とする。

「行きたいという意思さえあれば、自転車は必ずそこに連れて行ってくれる」と。

既成概念にとらわれず、思考停止に陥らず、そして好奇心のままに…。

 

踏めば自転車は進む。それは人生のようだ。

 

(河出書房新社・一三六五円)

 

 

 

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