北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

北アルプス国際芸術祭を訪れて ~類似点・相違点~

2017-07-23 | 奥能登国際芸術祭
   

<視察報告No.1>
7月19日から21日まで大町市で開催されている北アルプス国際芸術祭を視察。

3日もかけて?と思われるかもしれないが、珠洲から大町市は実に遠い。
金沢駅からJRで行くと早くても3時間42分(たぶん)。
糸魚川と南小谷での乗り継ぎがうまくいかなければ4~5時間は普通にかかる。
金沢まで出る時間を考えると1日仕事である。
大町市内の移動も多いので自家用車で行くことにする。
車で片道約5時間。
能登空港を使って東京行く方がはるかに速いし、金沢駅から「かがやき」で東京へ行く方が早い。

そこまで時間をかけて視察に行ったのは、9月から10月にかけて開催する奥能登国際芸術祭の課題を学ぶ先進地だからだ。
奥能登と同じく1回目の開催。
北側フラム氏が総合ディレクターを務めるところも同じ。
実行委員会方式もほぼ同様。
「北アルプス」も「奥能登」も単独市の開催である。

大町市が掲げる開催目的も紹介しよう。
①現代アートの力を借りて、大町市の魅力を国内外に発信する。
②観光客誘致により、人々の流動・交流を起こし、地域を交流の場とする。
③市民の参加を地域づくりに取り組む原動力とする。
④地域の消費を拡大し、地域を元気にする手がかりにする。
「大町市」を「珠洲市」に置き換えれば珠洲でも通用しそうな目的である。
地域資源を活かした作品、住民参加の作品作り、地域の「食」をアピールすることも同じ。

さらに加えての共通点は・・・
牛越徹・大町市長も泉谷満寿裕・珠洲市長も早稲田大学政経学部卒で市長になって3期目。
芸術祭を終えた来年夏(牛越市長は7月、泉谷市長は6月で任期満了)に4期目の選挙を迎える(両者とも出馬表明はまだだが)。

   

こんなふうに共通点が多々あると、逆に相違点が際立って見えてくる。
まず大きな違いは予算である。
「北アルプス」は2億円強と、「奥能登」の半分程度。
一方、パスポート売り上げ目標は2万枚。
「奥能登」は4億円の予算で3万人の来場者目標だから、「北アルプス」の方が予算上は費用対効果は上だ。
ちなみに私がパスポートを購入した7月19日時点でパスポート販売は2万枚を超え、しり上がりに来場者は増えっているとのことなので最終的には2万5千枚は確実に超えるだろう。

一方、参加アーティスト数はほぼ同じなのに、予算が半分ということは1作品あたりの予算が大きく違うということだ。
「北アルプス」は32人のアーティストで34作品、それで作品製作費は約1億5千万円。
対する奥能登は39組のアーティストで約2億4千万円の作品制作費(いずれもパフォーマンス系を除く)。
作品ごとのプライスカードはついていないし(私は公表すべきと主張しているが)、芸術的価値は制作費の多い、少ないで決まるものでもないかもしれないが、「奥能登」が概算予算3億と言っていたのが最終的に4億に膨らんだ理由の一つとして市長は一定水準以上の作品の質の確保も挙げてる。
奥能登ではどんなすごい作品が見られるのか乞うご期待だ。

「北アルプス」も奥能登も2回目の開催が決定しているわけではないが、いずれもトリエンナーレ(3年に1回の開催)を目指している。
2回目に向けた両市長の考え方の違いも興味深い。
泉谷市長が複数自治体の開催(文字通りの奥能登芸術祭)を目指す考えを示しているのに対して、大町市は単独開催の方が市民の芸術祭成功に向けたパワーを結集しやすいのではないかとのこと。

作品についても、泉谷市長は作品の蓄積がないことが1回目のハンディとの認識を示しているが、大町市は維持管理費を考えたら基本的には作品は原則一回で撤去を考えているとのこと。

いずれも今後を考えるにあたって大事な論点だ。

   

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 猛暑の中、原告団街宣行動 | トップ | 北アルプス国際芸術祭を訪れ... »

コメントを投稿

奥能登国際芸術祭」カテゴリの最新記事