http://voicee.jp/2015070411201 より転載
「これで、倒産だ」
2001年のはじめ、私は一大決心して起業を決意しました。
そして、折からのエコロジーブームに乗り、環境保全機器の販売代理店を始めたのです。
以前勤めていた自動車関連企業で営業成績がトップクラスだったこともあり、営業には自信がありました。「自分ならできるんじゃないか」と思っていたのです。
しかし、現実は甘くはありませんでした。チラシを配ったり、飛び込みの営業もしましたが、商品が売れません。ついに融資まで断られ、4カ月後、資金繰りが行き詰まってしまいました。
「これで、倒産だ」
体が震えました。
生活費さえ工面がつかない状況の中、不安と悔しさが入り混じり、生きた心地がしませんでした。
そしてある時、実家にいる弟が「一緒に仕事をしよう」と誘ってくれたので、かなり悩みましたが現実を受け止め、廃業の手続きを進めました。
弟と起業して再出発をはかる
私は、技術士をしていた弟と、制御機器メーカーを立ち上げました。
主な仕事は制御盤の製作や電気工事です。図面を見ながら、ドリルで穴を開けたり、細かい配線もします。営業畑を歩んできた私にとって、すべてが初めての経験で大変でした。
不況で注文が取れず、経営面でも厳しい状況です。給料の未払いが続き、とうとう長男を保育園に通わせることもできなくなりました。質素な食事に、着るものすら買えない生活。不安そうな妻の顔を見る度に、心の中で家族に詫びました。
見通しの甘さにより、手痛い思いをし、一度は会社をたたんだ自分です。「今度こそは持ちこたえなければ」という思いでした。
幸福の科学の支部に通うようになった
その頃、以前から入信していた幸福の科学の支部精舎が新しく建立されると聞きました。
「地域のユートピアづくりに少しでも貢献させていただきたい」
以来、会社と支部の発展を祈念して、「経済繁栄・成功祈願」を毎月することに決め、以前にも増して、今ある支部に通うようになりました。
総裁先生の御法話を学んだり、信者の皆さんと語らっていると本当に心が癒されていきます。支部に行く度に、事情を知っている支部長や法友が失意の私を励ましてくれ、何度となく勇気をもらいました。
復調のきざしが見え始めた
ある日のことです。打開策を求めて書籍『発展思考』を読んでいるときにハッとしました。
「人間の心なるものは、ちょうど磁石のようなもの」
「人びとの幸福を願う心を持っている人のところに幸福が集まる」
「私は、相手の幸福を願っていただろうか。注文を取りたい一心で、自社のこと、自分のことばかり考えていたのではないか……」
やるべき事が見えてきました。
私どもの強みは技術力だったので、それをより生かす方向でサービスを充実させることにしました。
部品の販売から、設計、プログラム作成、配線、工事、試運転まで一貫して請け負う、小回りのきいたサービスを売りにすることにしたのです。通常こういう業界では、大手以外ではあまりやっていないことです。
さらに同業他社が敬遠する納期の短い仕事や現場が遠い仕事でも引き受け、お客様の利便性を考えたサービスを打ち出していきました。
ある機械メーカーから初めて注文をとることができ、一気に目の前が明るくなりました。
その後も試行錯誤が続きましたが、徐々に新規の顧客が増え、経営が安定していったのです。
研修を受けて迷いが消えた
そして、中部正心館で経営に関する研修に参加しました。
研修のなかで、これまでのことを振り返っていきました。
倒産によって辛いことも経験しましたが、「人生は一冊の問題集」という真理に表されるように、私の魂を成長させるために必要な試練だったのだと思います。
そして、多くの方に見守られ、ご指導いただきながら仕事をすることができました。今自分がこうしてあるのも、お世話になった方々のおかげであり、目に見えない世界からの導きであったのだと目頭が熱くなりました。
「私心を去って、仏やお客様が喜ばれる選択をしていくしかない」
その後、経営は軌道に乗りはじめ、売上げは3期連続で倍増。従業員も増え、今は社長としてさらなる発展に向けて挑戦しています。
これからも精進して、さらに企業を発展させ、ユートピア建設に貢献したいと考えています。